城の中のナイトメア(3)
「あ!リーダー達やっと来たー」
待ち合わせ場所には既に俺達を除く全員集まっていた。
「遅れてすみません。」
「私達の方は特に何も無かった。そっちはどうだ?」
「俺の方も何もありませんでした。でもスアンとアンナが…」
イーゼンさんの言葉に被せてスアンさんが話し出す。
「私達見つけました!エネルギー源を!」
「え!?」
ーー20分前ーー
「何もないわねー」
「ですね。」
スアンとアンナペアは城内西側を捜索していた。
「にしても、ヤマトさんとリーダー仲良くしてるといいですね。」
「あの性悪のリーダーを口説いたヤマトなら大丈夫でしょ。」
「スアンさん、こっちの方まだ見てないですよね?」
アンナは古い石の廊下の先を指差した。
「行ってみましょ。」
石や瓦礫を避けながら2人を進んでいく。そして廊下の先にあった部屋に足を踏み入れたその瞬間、二人の目の色が変わった。
「こ…これは…!」
アーチ窓に囲まれ、ツルが絡まるその部屋の中央には巨大な光の塊があった。
「スアンさん…これはまさか!」
「…アンナ、確認頼める?」
「わかりました。」
手を光にかざし、力を込める。
「これはヒビが吸収していたエネルギー源でしょう。前回ヒビの光を吸収しようとした時と同じ力を感じます。」
「やっぱり…」
「それに、前回より力が大きくなってます!」
「このままだとまずいわね。アンナ!急いで皆の元に戻るわよ!」
「はい!」
ーーそして現在ーー
「これがヒビから吸収されたエネルギー…」
スアンさんとアンナさんに連れられ、発見したエネルギー源の元へ来た。
「まさかこんなに大きくなっていたとはな。」
「どうします?リーダー」
街の吸収されたエネルギーがここにあるのか…
世界を脅かす正体が目の前にあるというのにどうすることも出来ず、俺は立ち尽くしていた。
やっぱり俺は役に立つことができないのか…?そんなネガティブなことを考えている中、頭の片隅ではハユンの「君には価値がある。」という言葉を信じている自分がいた。
俺は足を1歩踏み出した。
ピコン
その時、突然目の前に半透明のウィンドウが現れた。
[貴方に"運命"が与えられました。]
["選ばれし者"貴方の身体を捧げることにより、世界は運命から逃れられます。]
ピコン
["異世界からの来訪者"を修正します]
それはまるで、創造主からの宣告のように感じた。
「なんだ…これ…」
「ヤマトさん?どうかしたんですか?」
「どうしたヤマト」
皆の声も俺の耳には入ってこなかった。目の前に表示されたこの文字に威圧され、体を縛られる。
理解する間もなく固まっていたその時、エネルギー源の光から数本の糸のようなものが伸び、俺の体に巻きついた。
「ヤマト!」
皆が手を伸ばし名前を呼んだが、その糸は伸ばした手を振り払うかのように俺の体は吸い込まれていく。
「うっ…なんだこれ!?」
光はどんどん俺の体を侵食する。両手で這い出ようと光を拒むが、手のひらも体と同じように吸い込まれた。
「ヤマト!!」
「ヤマトさん!!」
そして俺の体は全て光の中へ飲み込まれた。
「そんな…一体どういうことだ!?」
「何故ヤマトさんが…」
その場は焦りと混乱に包まれた。
目を開けると何本ものフィルムテープに見覚えのある記憶が映されていた。どれもつまらないものばかりだった。
これは…走馬灯なのか…?
手を伸ばし、フィルムテープに触れてみる。すると真っ暗な暗闇の中で一筋の光が見えた。
眩しくて目を閉じ、もう1度開くとさっきとは別の空間に居た。
あれ…ここ、前にも来たことがあるような…。
『久しぶりだな。』
聞き覚えのある異質な声がして前を向くと、そこには男が座っていた。
「お前は……審判!?」
奴は頬杖をついて口角を上げ、ニヤリと不気味な笑みを浮かべながらこちらを見ていた。




