悪人更生(?)
数日してヴィンは退院した。俺はスアンさんと共に退院祝いの花を持ってヴィンの病院へ向かった。
「ヴィンさん、いいですね?貴方のギルドマスターをなんとか洗脳して、自然に俺たちに協力する形になるよう仕向けてください。」
そう言うと不服そうにヴィンさんは言った。
「わかってるよ。」
すると運転しているスアンさんが笑いながら口を開く。
「いやーまさかあのお堅いヴィンさんがお菓子で釣られるなんてね!」
「この俺が菓子ごときでお前らギルドに従うもんか。」
「え?」
俺とスアンさんは口を揃え、目を丸くする。
「ヴィンさん俺たちを騙したんですか!?」
「違う。俺は元々あのギルドマスターが気に入らなかったんだよ。あんな傲慢で人使いの荒い奴。」
弱者守護反対ギルドのギルド長について俺は何も知らないが、まぁ性格の悪い奴なんだろうとは思っていた。
「でもヴィンさんは自分から今のギルドに入ったんでしょう?」
「スアンさんの言う通りですよ。それなら元からハユンさんのギルドに入ればよかったのに。」
「騙されたんだよ。あんなクソ野郎だとは思わなかったんだ。それに、もう人を傷つけるのは飽き飽きだ。」
なんだか、話で聞いてた人とまるで別人だ。更生したんだろうか。
「だから俺はお前らに協力するんじゃない、自分のために動くんだ。それだけは覚えておけ。」
少しおふざけにスアンさんと俺は返事をする。
「はーい。」
「送ってくれてありがとう。それと、この花も。」
俺とスアンさんは顔を合わせ、キョトンとする。そしてヴィンさんの方を見て頷く。
「どういたしまして〜」
「はぁ、ふざけた返事をするんじゃない。」
少し照れくさそうにして、ヴィンさんは歩き出した。
「それにしてもヴィンさん、聞いてた話と全然印象違いました。昔悪さをしてたような人には見えませんでしたよ。」
スアンさんはアクセルを踏み、ハンドルを握った。
「そうだねー、ギルドマスターにこき使われまくって人の気持ちがわかったんじゃない?はははっ!」
笑いながらそう答えた。
「人って簡単に変わるもんなんですね〜」
そんな話をしているうちに、見慣れたビルが見えてきた。
「相変わらずこのビルでかいですね。」
「ほんっと、無駄に広いせいではいったばかりは迷っちゃう人が多いのよねー。まぁ、従業員が多いんだし仕方ないけど。」
駐車場に車を停めて俺とスアンさんは事務所へ向かう。
「あ、そうだ俺よる場所があるのでスアンさんは先に行っててください。」
「送ってこうか?」
「いえ、近くなので歩いて行きます。」
「そう?気をつけてね!」
俺は街の方へ歩き出した。
ここは俺が死んだ8年後の世界…。俺が死んでから世界はどう変わったのか詳しく調べないと。
それて審判は違う世界に転移すると言っていたが、本当にここは元いた世界と別の世界なのか?最初は元の世界と違いすぎて異世界と完全に思い込んでいたけど、8年も経っていたとなれば話は別だ。
俺が死んだ後、突然異能者が誕生し崩れかけた世界を立て直すための1人の犠牲にたまたまナイスタイミングで死んだ俺が選ばれたとしたら…。
審判のことを信じていいのかわからない。とにかく今はこの世界のことを調べなくてはいけない。俺ひとりで―




