ギルドバトル(3)
「ヤマトくん、ルーフが開くから椅子によく掴まっているんだ。」
ハユンはパワーウィンドウを作動させた。
「え?なに…」
言葉を発する間もなくルーフが全開に開き、青い空が見えるようになった。そして椅子が突然空へ向かって上へ上がり、ルーフの上まで俺の体を持っていく。
「なんだよこれ!落ちる落ちる!!」
椅子が元の位置に戻った途端、瞬時にルーフは閉じ、俺は車の上に取り残された。
足元が青く光り、同時に車の上も光り出す。
なんだ、まるで足がくっついているみたいだ。
「安心してくれ。その光には磁力が含まれていて足と連動するようにできている。だから落ちることは無い。」
車は猛スピードで走り、冷たい風が俺の体を突き刺す。怖い怖い寒い!もっと厚着してくればよかった。
下から光と共に少しずつ銃が生成された。両腕を広げたくらいの大きさのがっしりとした狙撃銃が現れる。
予めつけておいたインカムからイーゼンさんの声が聞こえる。
「ヤマトくん!その銃の射程距離は1kmだ。君のその眼をギリギリまで活かして撃つんだ!」
「了解です!」
風で上手く前が見えない。銃の安全装置を解除し、親指を引き金に置く。そして深く深呼吸する。
「…よしっ。」
[スキル使用中]
少し離れた相手の車内まではっきり見える。
「後輪を狙うんだ。後輪を撃ったらすぐに燃料タンクを撃て。」
後輪に狙いを定める。
ガァン
衝撃で指がジンジンする。撃った瞬間タイヤはパンクして相手の車は制御不能になり、フラフラしだした。
そして次は燃料タンクだ。車の内部に目を凝らす。
「見えた!」
再び引き金を引く。ピッタリ燃料タンクに命中し、車は爆発した。
赤い炎が燃え上がり、黒い煙が立ち上がる。
ハユンは華麗なハンドル捌きで爆発を避け、動かなくなった相手の車を通り過ぎた。
「作戦成功だ。ヤマトくん、皆お疲れ様。」
スアンさんはアンナさんの肩に寄りかかりながら言った。
「お疲れ様です!私とアンナは今回何にもしてないけどね。」
とにかく一件落着…一般人の怪我人が出なくてよかった。
「さぁ、事務所へ戻ろう。」
後日、ニュースでは『メインストリートから2km離れた道路で車の爆発事故が発生。車に乗っていた男性2人が全治4ヶ月の怪我を負った。』と報道された。
ヴィンという有力異能者への攻撃に成功したハユンのギルド、弱者守護反対ギルドの反感を買ったのかもしれないと俺は不安を抱きつつも、再び平穏な日々が訪れた。
ポコン
『本日17時から食事会を開催します。ギルド所属の方は是非参加お待ちしております。』
騒動の後、メールが届いていた。ハユンのギルドで働いている方のほとんどが参加するらしい。
俺は入ったばかりだし、挨拶も兼ねて参加した方がいいよな。
ギルドメンバーの皆はハユンも含めて全員参加するとスアンさんからメッセージが届いていた。
ハユンに初めて会った時のパーティーで嫌な目にあったし、本当は行きたくないんだけどなー…




