ギルドバトル
目覚ましの音が頭に響き、ゆっくりと意識が浮上する。あくびをしながらゆっくりと体を起こす。
洗面台の前に立ち、鏡を見ると左の髪が跳ねている。水で少し濡らして押さえる。
歯ブラシに歯磨き粉を乗せて口に入れる。
口の中をゆすいで顔全体を柔らかいタオルで拭く。
「…眠い」
俺は昔から朝に弱かった。生前、気持ちよく起きることが出来たのは修学旅行の日の朝だけだった。会社に勤めてからは毎日が地獄だったな。
朝食を済ませてクローゼットにかかっている服を着る。
「サイズがピッタリだ…」
なんで俺の服のサイズを知ってるんだよ。
身支度を終えて部屋を出て広い廊下を進む。まだ早い時間だからか、人がいない。ガラス張りになっている壁から外を見ると朝日がビルの窓に反射して光り、ヒバリが空高く飛んでいる。なんだか今日は清々しい。
エレベーターの前に立ち、3階に来るのを待つ。上部にあるランプが光扉が開く。
「あれ、ヤマトさん!」
「アンナさん!おはようございます。」
アンナさんは4階に住んでいるそうだ。
「おはようございます。奇遇ですね。」
アンナさんは今日も穏やかで柔らかい笑顔をしている。
この間からずっと気になっていることがあるが、今聞いてみてもいいだろうか。
「あの…1つ聞いてもいいですか?」
「はい、どうしました?」
「アンナさんって…スアンさんのこと好きなんですか?」
するとアンナさんは勢いよくこっちを見て顔を真っ赤にした。この前と同じ顔だ。
「何言ってるんですか!そりゃあ尊敬してますし、すっ…好き…ですよ。」
恥ずかしそうにそう答えた。
「そうじゃなくて、その、恋愛的に…」
そう言うとアンナさんは下を向いてはにかみながら小さく頷いた。
「なんでわかったんですか?」
「だって、会議の時スアンさんに頭を撫でられてすっごく照れてましたし。それにお菓子を持ってきてくださった時も俺とスアンさんが仲良いのか聞いてきたし…って感じでなんとなく。」
「うわぁぁ…恥ずかし。誰にも言わないでくださいね。」
アンナさんは手で顔を覆いながら言った
「もちろんですよ。応援してます。」
アンナさんは俺の顔を見て嬉しそうに笑った。
アンナさんと共に駐車場へ向かうと、既に俺達以外の全員が集まっていた。
「それじゃあ、皆車に乗ってくれ。」
運転席にハユン、助手席にイーゼンさん、後部座席にスアンさん、アンナさん、俺の順番で座った。
そうだ、忘れないうちにスキルのこと言っておかないと。
「あの」
「ヤマトくん」
ハユンと言葉が被ってしまった。
「なんですか?先にどうぞ。」
「ああ、どんなスキルをゲットしたのか確認しようと思ったんだ。」
「え、ななななんでスキルのこと知ってるんですか!?」
あれ?俺スキルのことハユンに言ってなかったよな?もしかして心を読める能力があるとか…?
「スキルというのは大体、感情が大きく揺れた時や高ぶった時などに獲得出来ることが多いんだ。だから私のスキルを見せた時に獲得してたんじゃないかと思っただけだ。」
こいつ、鋭いな。
「実は夜光眼ってスキルを獲得しました。使用中は1km先まで目前に視認することができて、自身に降かかる攻撃を予測できるみたいです。あと自分とその他もう1人の視点を共有できます。」
「へぇ〜便利じゃん!いいなぁ。」
スアンさんがアンナさんの顔の横からグッと覗き込んだ。
「もし、俺に何か出来ることがあれば言ってください。役に立ちたいので。」
するとハユンが怪しげな顔で言った。
「それならやってもらいたいことがあるんだ。」




