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【完結】内気な聖女アンジェリカは目立ちたくない  作者: 安ころもっち
エルザード帝国・帝都の英雄編
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/// 71.旧知の仲

◆イーストギルド1階・ギルド長室


部屋にノックの音がする。


「入っていいわよ!」


エルザは気だるさを押さえて返事をすると、その部屋のドアがこそっとだけ空くと、こちらを覗く目だけが見えていた。


「何よ!誰か知らないけどさっさと入ってきなさい!」


エルザの声に「ひっ!」と声をあげた後、その扉は開き、見知ったが部屋の中に入ってきた。その姿はまるでアンジェ以上におどおどとしていた。


「や、やあ。久しぶりだね・・・エルザ姉ちゃん」

「何よあんたたち・・・久しぶりね。そしてマーモン。あんたは相変わらずね」


腰を低くして「つまらないものですが」とお土産をテーブルに置く『マーモン』。大陸北部・マモンサークル魔境の王、魔人王マーモンであった。


その後ろには「やっほー」と手を振る大陸中央都市、聖都ルリアーヒルの女王『クロサイス・ラピズ・ルリアーヒル』とその妹の『クロサイス・ラピズ・パルーズ』。


そして「ははは」とほほを掻く『アレキサンドラ・ゴッデサルク』。元教王ダイヤマウンド・ゴッデサルクの祖父、初代神国ゴッデスサルク教王であった。


エルザは椅子から降りると、テーブルの上にあるお土産を見る。


「あんた、これすぐそこで買った?」

「えっ違うよ!ちょっと部下から珍しいお土産貰ったからおすそ分けしようと思って・・・」

「これはこの地区の名物!なんならこのギルドの売店にも売ってるわ・・・もー相変わらずしょーもない・・・」


お土産の『東の都どら焼き』をデスクにポイっと投げ置くと、ため息をつくエルザ。

そして大きな体を縮めてしょげるマーモン。昔の小さい体であれば可愛げもあったのだが、すでに彼は一児の父。大きな体でもじもじされるのは気持ちが悪い。


「ルリは久しぶりね。後ろのは妹ちゃん?初めましてだわね」

「ふふふ。久しぶりエルザちゃん」

「初めまして。パルーズです。これお土産です」


差し出されたパルーズのお土産『聖都の煌めき神様んじゅー』を見ながらニッコリ笑う。


「いい子ね」

「でしょー」


そして床に土下座しているアレキサンドラ・ゴッデサルク。


「アレキは・・・何?孫ちゃんのあれのお詫び?」

「うん。ちょうど嫁と慰安旅行で長期で留守にしてたとは言え、多大な迷惑をかけてしまったことについては、申し訳なく・・・」

「ああ、もういいわよ。弟くんの方は、なんだか昔のあんたを見てるようで可愛かったし」

「えっ?そんな。可愛かっただなんて・・・」

「なんで照れてんのよ!可愛かったって言ったわよね?過去形よ!過去形!」


まだ頬を染めているアレキサンドラではあるが、お土産には大量の聖銀を献上した。多数の神徒が祈りを毎日こめて清めた貴重品で、少量でもとんでもない金額がつくものである。

聖徒の上位数名に与えられる聖銀の槍という武器に少量使われているものである。アンデット系には圧倒的破壊力を発揮するため、その需要は高い。


「あら、気が利くわね。こういうのは嬉しいわね」

「はい!喜んでもらえて嬉しいです!」


アレキサンドラはエルザの従順な犬であった。


「あっ・・・そう言う事なら、これ、こないだ入手したんだけど、どうしようかなって死蔵しそうになってた奴」

「ん?これって・・・いいわね。中々やるじゃない」

「うん。僕には不要なものだから。へへへ」


マーモンが収納から取り出して献上したのは、高圧縮された魔石の塊、魔道石というアイテムである。野球ボール大の大きさでも、中央ギルドの大型魔道冷蔵庫の永久動力になるというものである。

献上したのはサッカーボールほどの大きさ。さすがにこれは用途が限定されそうである。エルザは使い道を少しだけ考えにんまりと笑い、机の引き出しにしまい込んだ。何ができるかちょっと怖い。きっとルドルフあたりが大興奮するのであろう。

後で連絡しとくか。と思うエルザだった。


「よっし!じゃあ貰うもんも貰ったし・・・かいさーん!」


室内には批難の声がこだました。


「冗談よ。お昼ご飯食べた?まだなら食堂行く?」


批難は歓喜に代わったようだ。


それから、ワイワイと食事をとりつつ昔話に花を咲かせた5人。なんだかんだであの小屋で過ごした時間は大切な思い出であった。

昼食が終わると、ぶらぶらとイーストの街中を練り歩き、夕刻過ぎには、最近イースト地区の盛況に合わせて大型拡張した大衆居酒屋『飲んで溺れて』の一室を借り切って、朝まで飲んで食べて歌って踊って、そのまま昼間でのんびりうたた寝コースとなった。


そして多少の疲れが回復した夕刻、充分にイースト地区を堪能した4人を見送るエルザは、真っ青な顔をして旧友がドラゴン便に乗って帰るのを見送った。

見送られた4人もまた真っ青であった。マーモンは色黒だったのでなんかもう黒かった。


こうして、楽しいひと時は終わりギルド長室に戻ると、隣の私室になだれ込みそのままベットに潜り込んで体の疲れを癒すエルザであった。



「早く出せ!あるんだろあれが!俺にも触らせろ!存分にいじりたいんだ!なっ、いいだろ頼むよ!」


その翌日の朝、まだ寝ぼけたエルザの私室に飛び込んできた不審なドワーフを、危うく殺しかけたという出来事があったのはまた別のお話。

お読みいただきありがとうございます。

現在火木日の週3更新となります。

期待してる! 早く続きを! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押して頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。


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