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8-11 そこのけ そこのけ リヤカーが走る

 ※先日までの予告と異なり、1話追加となりました。


 第1シーズン ルネサンスの女神様 - ねえ、電気つけてよ!は、本日の更新分の8-11で終了となります。

 ここまでのシーズンでは大失電の発生と、消え去った電気に対するショック状態からようやく立ち直り、とりあえず復興への道筋が見えてきました。


 本日から 第2シーズン ルネサンスの女神様 - 明るい未来を目指して![https://ncode.syosetu.com/n9588hk/] を新規投稿します。

 

 次のシーズンでは、これまでの電気に代わって摩導具を使った文化への変遷が見られます。

 電気に代わり、どのように人々の中にカノ国の摩導具が広がっていくかお楽しみください。


 ※ 新規投稿に伴い、第2シーズンから ジャンルとなろう小説コードが変更となりますのでご注意ください。

 ※ ブックマークとご評価は引き継げませんので、お手数ですが再度ご登録を頂き、また次のシーズンも読んでいただけますとすごくうれしいです。


 江戸時代の五街道の一つである旧中山道は、東京から京都まで通じていたが、現在では途中の高崎付近までが国道17号線となっている。

 そんな国道17号線を暗闇の中、1台の自転車が大きなコンテナを後ろに牽引しながら走っていた。

 大きなコンテナはリヤカーの上の乗せられており、そのコンテナ上部につけられた二基の照明から、真っ暗な夜道を照らしながら、その自転車は疾走していた。


 路上に放置されていた自動車は、すでにリサイクル基地に資源として回されていたため、高速道以外の主要国道などの放置車両も大きく減り、道路は銀輪隊の通行の為に確保されていた。

 日中は銀輪隊が最高速で自転車を漕いで行き交うようになっていたが、夜間は明かりが全くないために誰も通っていないかった。

 いや、普通の人は何もない街道を夜出歩く事などせず、そんな夜道を徘徊する人は怪しい人と言えるのであった。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 先日、自分の自転車の持ち込みが条件で、自転車で長距離を走るアルバイトの募集が出ていたので、俺はそれに応募し、今大きなコンテナを引っ張って国道17号線を走っている。

 ここで使われている自転車は、アルバイトの人たちが個人が長年使用してきた普通(・・)の自転車であり、その自転車の発電ライトは当然のことながら点灯しない。

 こんなご時世で仕事につけたことは大変喜ばしい。


 その配達の報酬は都度払いで、配達到着地の人からチケットを渡してくれる。

 アルバイト代は、この良く分からないチケットであり、現金ではないのだ。


 指定されたコンビニに行けば、そのチケットを使用することができ、そこへの配送もたまにあるので、その際にチケットを使って買い物をしている。

 世の中、どこも店が閉まっているというのに、そのコンビニにはたくさんの商品が売られていた。

 どこにでもある大手コンビニと比べると、そこはちょっとマイナーなコンビニであり、これまではあまり使ったことが無いコンビニであった。


 夜道で、俺と同じコンテナを引っ張った自転車を時々見かけるので、それなりの人数がこれと同じ仕事をしていると思われた。

 俺達が運んでいる軽いコンテナの中身については、特には知らされていない。

 荷物を受け取る現場によって、沢山のコンテナが置いてある場合もあり、それぞれ行き先が違うようなので、その中身もそれぞれ違うようである。

 ただ、配送先がコンビニの場合、店舗前で店員が荷物を取り出すこともあり、俺の目の前でコンテナが開かれたことも何度かあるが、その時のコンテナの中身はここで売られている商品が満載されていたことは知っている。


 そう、店内に溢れる多くの商品は俺たちが運んでいるのだ。

 俺たちは、食品工場と倉庫を移動したり、またいくつかのコンビニ店舗を回ることもある。

 工場への輸送の時は、多分小麦粉やいろいろな食品材料が入っているのではないかと思われる。

 工場は食品だけではないと思うのだが、コンテナは駐車場で受け取るので、工場の中には入ったことは無いので良く分からない。

 これについては、俺が詮索すべきことではないだろう。


 今回は、昨夜遅くに群馬の工場を出発し、埼玉の倉庫までコンテナを一度運び、さらにその倉庫でいくつか並んでいた別のコンテナに継なぎ変え、今度はそのコンテナを引っ張って都心のコンビニに向けて走っている。


 コンテナの指示にあるコンビニに到着するが、暗い駐車場のコンビニは入り口のシャッターも閉まっている。

 裏口に廻り、従業員用出入口をノックすると、中から女性が折りコン(折畳式コンテナ)の下にはめる、キャスター付き台車を持って出てきた。

 そして、コンテナのもとにやってくると、そこに表示された数字を確認して、俺にチケットを渡してくれる。

 それは、ここまで引っ張ってきた分の報酬だ。

 渡されるチケット枚数は、引っ張ってきた距離によりコンテナに表示されることになっている。


「長距離便だったのですね。 ご苦労様です。

 きょうは、荷出しに少し時間がかかりますから、店内に入って少し涼んでいてください。 何か商品が必要でしたら、今のチケットで購入できますよ」


「あ、ありがとうございます。 すみませんけど、まずトイレをお借りしますね」


 実は、廻っているコンビニのトイレが楽しみなのだ。

 今、どこも洗浄トイレが使える場所はないが、ここはそれがあるので、多少我慢してでもコンビニまで走ってくる。

 不思議なのは、俺が配送に行くコンビニはどこもシャッターが締まっており、いつお客さんが来ているのかわからないが、俺たちは始終補充に来ているので、どこかの時間で営業はしているのだろう。

 いや、このコンビニ自体も不思議であるが、この仕事を始めてからこんな事ばかりであり、なんとなく慣れてきてしまった。


 工場や倉庫間の配送の場合、次に配送するコンテナはあらかじめ駐車場に何台も準備されているので、コンテナを繋ぎかえるとすぐに出発できる。

 貰えるチケットではあるが、これは歩合制であり、たくさん走れば、それだけたくさんのチケットが貰えるので、無駄な時間が無いのはありがたい。

 このコンテナの牽引では、ほとんど疲れることはないので、特に連続して運搬する事に問題はないが、やはり店の人がちょっと声をかけてくれて、そこで休憩させてもらえるのはうれしい。


 まだ配送は途中なので、この店で大きな物は買えないが、お弁当とお茶をチケットで買わせてもらい、従業員用休憩室ですこし食事をさせてもらうことにした。

 最近はこの仕事を始めてからは深夜勤務ばかりであり、いつも深夜や早朝のご飯となっている。



 俺は気が付いているが、このコンテナは一見するとリヤカーの上に乗せられているように見えるが、実は下のリヤカーはコンテナ表面に描かれたペイントである。

 実際には地面すれすれまでコンテナがあり、それを自転車で引っ張って走っているが、地面を擦っているわけではなさそうだ。

 また、コンテナの扉自体も絵で描かれているようで、触ってもそこにつなぎ目は無く、本当はどこが扉なのかよく分からない。

 店舗でコンテナから荷が取り出される時、店員によっていろいろな部分が開けられているので、ひょっとするとすべての面が開くのかもしれない。 これも謎だ。


 自転車の後ろに乗せられたコンテナは、幅が一メートルくらいと自転車の車幅より少し広く、高さは人の背丈より少し高い地面から二メートル、そして奥行きも高さと同じく二メートルくらいあった。

 一見するとリヤカーに乗せられたコンテナであるが、そう、それはマリエが東京で乗っている摩導カートと同じものであった。


 その外装は車ではなく、ジュラルミンや幌布のコンテナ状となっており、コンテナの下部はリヤカーのイメージを表示する事で、一見すると自転車に牽引されたコンテナのように見えるようになっている。

 もちろん摩導カートであるので、このコンテナだけで自走することは出来るのだが、自動車が失われた世の中で、無人で箱が走っていると目立ちすぎるので、自転車が箱を引っ張る形で偽装され運用されている。


 摩導カートであるので、中に積まれている物の重量は斥力で打ち消してあり、更に慣性をも殺す方向に前後に引力と斥力を働かせている。

 これを行わないと、発進できず、また急停止した際、積載物の重量で前方の自転車を押しつぶしてしまう事になる。


 この偽装カートを運搬するアルバイトの人は、これが摩導カートであることも、そしてその構造なども知らされていない。

 なので、それなりに大きなコンテナであるのに、なぜか重さをほとんど感じさせず、自転車では引っ張りづらいはずであるが、それを全く感じなかった。


 それどころか、普段であれば立ち漕ぎが必要な急斜面ですら、なぜか普通に自転車に乗ったまま登ることができてしまう。

 強い雨が降り出しても、なぜか雨に濡れることもなく、強い向かい風も感じることがなく、常に楽々で走ることができた。

 それは摩導カートのちょっとしたアシスト機能がコンテナ周囲にも働いているからであった。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 当然コンビニに収める大量の食糧や商品を、夜道一人で引っ張って走っているので、それをどこかでかぎつけて商品を奪い取ろうと、暗い路上で狙ってくる連中もいる。

 もし、そのような現場に遭遇した場合、とにかく荷物をその場に置いて良いから、すぐに逃げろと言われている。


 このコンテナは、目的地以外では勝手に開くことができず、また予定しない場所で停止した場合、置いた場所からは絶対に移動させることはできないと聞いている。

 また、扉がどこにあるのかわからないので、暴漢や窃盗団が中を開くことができず、あきらめてそのまま立ち去ってくれたのであれば、再び配送することができる。


 しかし、一定時間賊がその場にとどまり、コンテナに対して危害が加えられている場合、備え付けられた自己防御機能が働くと聞いている。

 従って、その防衛機能が働く前に、それに巻き込まれないように、とにかくその場から離れろと言われている。

 幸い俺はここまではそのような機能のお世話になったことは無かった。 これまでは。


 さっきから、牽引している後ろのコンテナから警告音声が流れ始めているのだ。


「100メートル先の道路上に、不審な者が3名確認できます。

 ここからは、自己防衛AIがアシストします。

 このカートが通り抜けられる隙間が正面に見つかりましたので、カートはこのまま真っ直ぐ走り抜けてください。

 通り抜ける直前に、前方へ対し、強力なフラッシュ光を一瞬発光します。 操縦者は、決して上を見ないでください。

 あと50mです。

 あと10mです。

 では、発光します!」


 そうアナウンスが聞こえた瞬間、俺の後ろから強力な光が前方に対して発せられた。

 周りは真っ暗闇で、明かりといえばこのコンテナが照らす照明しかない中、その強烈な光に前方の人は目がくらみ、それだけで目を押さえてしゃがみこんでしまった。


 その光は、それまで灯されていたコンテナの照明レベルの光などではない。

 一瞬であるが前方数百メートル先までが、いや空までもが明るく見えたような、昼間の太陽以上に強い光量であり、目の前に大きな雷が落ちたかのような強い刺激のある光であった。

 俺は直前に聞いていたので、一瞬目をつぶり光を直視しないようにしていたが、この光を真正面から、それも近距離からしっかり見つめてしまったのであれば、恐らく色を失ない、止まった世界がそのまま網膜に焼き付いた事であろう。



 俺は自転車をこぎ続け、あっという間にその中を通り抜けることができ、無事に抜き去る事が出来た。

 やはり奴らは、手に『バールのような物(・・・・・・・・)』や『鉄パイプ』を握っていた。

 そして通り抜けた後ろから、


「「ギャー、目、目が!」」


 叫ぶ声が後ろから聞こえてくるが、すでに声は遠くに離れたようであった。


 その後は、自己防衛AIは元通り静かになってしまうが、他にどんな防衛機能があるのか興味が出てきて、ちょっとドキドキしていた。


 誰か俺を襲ってくれないかな?



 ~※~※~※~



 シーズン1「ねえ、電気つけてよ!」 はここで終了です。

 以降の物語は、シーズン2 「明るい未来を目指して!」[https://ncode.syosetu.com/n9588hk/] にてご覧ください。

 シーズン1「ねえ、電気つけてよ!」 はここで終了です。

 以降の物語は、本日 2022年1月25日公開の シーズン2 「明るい未来を目指して!」[https://ncode.syosetu.com/n9588hk/] にてご覧ください。

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