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『ジョージ・ワシントン』から救出された乗組員のほとんどがここへ入院していた。ロバートはグレイグだけでなく、そのすべてを見舞っていた。何か目的があったわけではない。ただそうして、彼らの言葉を自分の耳で聞きたかったのだ。
元艦長、リチャード・グラントとも会った。ミサイルの直撃を受け、炎に閉ざされようとしていた『B・M・I』メインシステムルームからグレイグを助け出したという彼の傷は、決して浅いものではなかった。ベッドに横になった元艦長に自己紹介をすると、彼はロバートの手を取って感謝を口にして、笑った。
ありがとう。〝引き金〟を引かずに済んだ。
彼は軍人だった。悪い人物ではない。純粋に、上意下達を旨とする軍人の思考が、『X計画』に従い、自分たちと敵対しただけだった。だがその本心は揺れていた。リチャード・グラントという個人は、猛烈な葛藤の中であの事件の目撃者になった。自分の艦から発進した戦闘機が、世界大戦の口火を切る。その罪。その重さを全身に受け止めながら、一人苦しんでいたのだ。
さまざまな人間がさまざまな形で関わり、それぞれの想いを抱えながら、あの事件の中を生きた。〝ライオンハート〟を含む『B・M・I』に組み込まれた九人や、撃墜された中国側戦闘機のパイロット、大破した『ジョージ・ワシントン』からは、取り返しのつかない命も出た。それは決して軽んじていいものではなく、生き抜いた人々はどんな形であったとしても、それを背負っていくことになる。
だが、まだ間に合うはずだ。ロバートはそれを教えてくれた少年の姿を思った。
「グレイグ、一つ教えてくれないか」
これまで、ロバートはさまざまなことを彼に話しかけてきた。事件自体や『ジョージ・ワシントン』の乗組員たちの話。グラント元艦長のことも話した。それだけではない。二人のこと。二人しか知らない、学生の頃の話。そうしたすべてに、グレイグは何の反応も示さなかった。一カ月という時間の中で、次第に話題は減っていき、ここ数日では、元々口下手なロバートには、話しかける言葉を見つけることも困難になっていた。
だから自分でも驚いた。あの少年の姿を思った瞬間に、こんなに簡単に話したいことが浮かぶなんて。




