第15回 (最終回)満寵、死す
西暦二四二年、満寵は病床に伏した。
子の「満偉公衡」に言う。
「私は、自分が正しいと思えば、それを曲げることなく実行してきたつもりだ。その根源は、法に勝るものはない、という己の信念の表れである。その生き方を貫き、今の私がある。しかし・・・。」
満寵は言葉を止めた。そして再び、話し出す。
「これは、あくまで私の生き方である。公衡、お前にはお前の生き方がある。決して、私の真似をする必要はない。お前は、お前の道を進めばよい。」
「私も、父上の様に、強く、正しく生きたく思います。」
「ならば公衡、はっきり言おう。お前に私の生き方は出来ない。」
「私が無能だからでございますか。」
「いや、違う。お前は、私と違って、人柄がよい。私の様な苦しい生き方をしなくとも、お前が困れば必ず、手を差し伸べてくれる人が現れよう。それが、お前の才だ。」
「・・・。わかりました。私は、私で、自分らしく生きて参ります。」
「それでよい・・・。後は当頼んだぞ・・・。」
「はい。」
最後の満偉の返事が満寵に届いたかどうかはわからないが、満寵はそのまま再び目覚めることは無かった。
享年七三歳。国のために生き、私財は残っていなかったという、清廉潔白さであり、その戦での守り同様、鉄壁の「固さ」を揺らぐことなく貫いた男の死であった。
■おわりに
活動期間の長い人物故に、もっと長く書く予定だったのですが、私が満寵の好きな点である「固さ」を表現するには、私が色々と書くより、手短な方がより伝わるのではと考え方が変わりましたので、これにて終わりとさせて頂きます。
■参考文献
・歴史群像シリーズ⑰三国志上巻⑱三国志下巻(学研)
・世界史劇場 正史三國志 神野正史(ベル出版)
・地図でスッと頭に入る三国志 渡邉義浩(昭文社)
・「三国志」の政治と思想 渡邉義浩(講談社選書メチエ)
・正史 三国志1~8 陳寿・今鷹真・井波律子・小南一郎(ちくま学芸文庫)
■参考情報(インターネット掲載情報)
・ウイキペディア
・三国志人物伝
・今日も三国志日和
・もっと知りたい!三国志
・後漢と三国
・歴史の史実研究所
・歴史の読み物
・正史三国志人物列伝 英雄と凡人のその真実
・いにしえ中国史
・草の実堂
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