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アンケートの回収を終えて一旦休憩が挟まれたので、仁はセミナー会場の外へ出て自販機を探しに来た。
蒸散で常に水分を欲する藍だから水筒にお茶を用意はしていたが、それも前半のうちに飲み干してしまったのだ。
幹線道路沿いのコミュニティプラザはガラス面積を多めに設けた近代的な建物だが、周りを囲んだ躑躅の生け垣が昨今問題になっている庭師不足で手入れを受けられず伸び放題になっている様には寒気を覚えさせられる。
躑躅の根本からは土が見えないほど雑草が生え、中には明らかに周囲と異なる毛色の若木が伸び出している箇所もあってまさに無法地帯だ。
「なるほど、歌で広範囲の植物たちに声を聞かせてたのか」
コミュニティプラザの2階通路の窓辺に身を乗り出し、歌っている藍の姿が見えた。
「きみが〜 ゆ〜めーをー」
かなりキーが高めの歌声だが、小さめの声量とローテンポで耳心地は悪くない。
上手いか下手かはちょっと距離のせいでわからなかった。
5本も買い込んだスポーツドリンクを両腕に抱え、休憩は10分程しかないので足早に戻った。
「せいきま〜つー」
「は?」
この令和にあまり聞かない単語に戸惑う。
一体何を歌っているんだろう。
「はしゃーげー オチャーメ〜 ガ〜ルー ウィ〜ガッ[tə] パ〜ワー ド・ラ・ボ・ン・ゴ・[ɔː]・ルー...」
「ゼー...[t]! じゃねえよ! 何でアニソンなんだよ、まさかそんなもん歌ってると思わねぇからIPPAI OPPAIのとこ聞き逃しただろチクショウ!」
「せっかく我が気持ちよく歌っておったのに、キモい事を言って水を差す奴があるか」
「曲のチョイスが...」
「強く逞しく生きて欲しい願いに最適だと思うたのに。宇宙戦艦マヤトの方が良かったかの?」
東京の植物はそんな剛毅な歌を聞いてああも盛り上がっているのかと思うと、今後見る目が変わりそうだ。
ギャグ回です。今回短いですスミマセン。
今年3月に旅立たれた鳥山明先生、ご冥福をお祈りします。
筆者の幼少はドラゴンクエストシリーズなくして何の楽しみがあったものかと思えます。
容姿も口調も全然違っていますが、藍の声と雰囲気のイメージはリンベリィです。
種子を変異させる藍の能力を“祝福”という名称にしたのは、テリワン&イルルカから着想を得ています。
声で植物を成長させる能力もリナーシェ譲りなんですよ。
確かネウロにも居たけどリナーシェだと思ってます!
筆者はこれからもドラクエを愛していきます。
先生どうか安らかに。




