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Episode22 フルゴル競技大会

◆今回初めて登場する人物◆

アバディーン(42)

シャインズ王国国王。冒険者出身で、リドナーの父との面識がある。

システィア(38)

シャインズ王国王妃。アバディーンの妻。”琥珀の騎士団”や”フルゴル魔導師団”など国の各機関をまとめあげる司令官でもある。

ジーロング(21)

シャインズ王国王子。アバディーンとシスティアの子で天才作家でもある。

プリマス(48)

シャインズ城に住む執事。見切りの力を持っており、城の料理長でもある。

ジャリス(32)

シャインズ王国に住む、魔属の大男。その拳は、骨をも砕く威力がある。

エルネ(17)

女性でありながら、ジョブはファイターに就いている。かなりのドジっ子。

ジョージ(32)

バーロンに並ぶほど、剣の上手い力持ち。独自の剣術を持つ。リドナーの父との面識もある。

エミー(25)

島の北に位置するスターロック島に住む女剣士。琥珀の騎士団入団を夢見ている。

マナウス(23)

エミーの婚約者。彼女とともにスターロック島に住んでおり、ジョブはウォーリアである。

スコット(38)

バッファル3部族・テールン族の代表。実はとある秘密がある。

アリエル(25)

テールン族の女性棒術使い。次期テールン族代表候補者でもある。

●今回初めて登場するアイテム●

神樹の木刀

かつて、神が生み出したと伝えられる大木の枝から作り出した木刀。

王の石槌

シャインズ王国初代国王が初めて発見した石・フルゴル魔法石で作られたハンマー。

鉄盾の腕当て

鉄製の縦のような物が施された腕当て。防御はもちろん、物理攻撃を仕掛けることも出来る。

ウィザースティック

萎びやすく、丈夫なプラスチックで出来た棒。比較的、軽いため、棒術使いには重宝されている。

 いよいよ、今日は待ちに待った”フルゴル競技大会”。今日は予選部のみで、選ばれた8人は明日からの決戦部に進めると言う。

 「皆の衆!静かにせよ!」

誰かが厳かに人々を黙らせた。その声のした方を見ると、そこにはシャインズ王国国王・アバディーンがいた。そして、その隣には、妻のシスティア王妃と、息子のジーロング王子がいる。

「これより、フルゴル競技大会を始める!フィールドの中へ!」

アバディーン王に言われ、僕たちはフィールドの中に入る。すると、決界が張られるのがわかった。魔法無効化の結界だろう。

 「では、そこに立てられている武器から1つだけ選べ!わかってはいると思うが戦闘不能、場外落ちは失格だ!基本、何をしても構わんが、相手が死ねば立派な殺人罪!牢屋に入ることになるぞ!」

王はそう告げる。その言葉を聞いて、僕たちは武器をフィールド内にあった武器立てから武器を取った。そこには、木製の刀、石製のハンマー、鉄製の盾のような腕当て、プラスチック製の棒の4種類の武器があって、僕はもちろん木刀を選んだ。バーロンは腕当て、テーラはプラスチック棒、マリアとエリーナさんは石槌だ。他の人もみんな自分にあった武器を選んでいた(中には丸腰で戦おうと言う人もいた)。そして、全員が武器を手にすると武器立ては回収された。

 フィールド脇のスペースに審判のプリマスが手を振り下ろし、

「始めっ!」

と、言う。すると、選手たちは一斉に動き出した。僕が始めに相手にしたのは先ほど武器を捨てた大男。僕はそいつの口に木刀を突っ込む。そして、そのまま場外へと押していく。おぉ、力の象徴・ルビーのおかげか、少しの力でこんな大男を押すことが出来ている(武器以外の道具の持ち込みは許可されているが、持ち主の力を激増させる石って絶対に武器だよな...)。と、気づけばもうそこはステージの端。僕は男の口から木刀を引き抜く。と、待ってましたとばかりに殴りかかってきた。が、その前にソイツを突きで場外へ落とした。

 「やぁぁぁぁ!」

誰かの声がした。振り向くと、そこには飛び蹴りを仕掛けてくる若い女性。僕はとっさの判断でフィールドにしゃがみ込む。すると、彼女は勢い余って場外へ落ちた。少しかわいそうな気がしたが、これは勝負だ。同情をする暇などない。

 と、その頃、バーロンは自分と同じ武器を持つ男と腕を打ち合っていた。やがて、彼は男を場外へと追い詰め、落としてしまった。

 一方、テーラはプラスチック棒で飛び上がったり、相手の足を棒で引っ掻けたりしながら次々と出場者を戦闘不能にしていく。わお、気を弱かったはずのテーラがあんなことを...なんか、ちょっと怖いかもしれない。

 「うおっと!」

突然、目の前に同じ木刀を持った女性が現れ、僕は我に帰る。その人はかなりの腕前だった。僕が木刀を振ると後退し、かと思えば木刀を打ち込んでくる。しかし、やがて勝負がついた。後退と打ち込みを交互に繰り返し、大幅に体力を消耗した彼女は、息を切らしながらも僕に打ち込んでくるが、僕はそいつをさらりとかわし、懐に飛び込んできたその人は木刀で地面に叩きつける。すると、その人は気を失った。

 「そこまで!」

それからしばらく経って審判が終わりを告げる。次いで、システィア王妃は、

「見事、予選に勝ち残ったのは...マナウスさん!エフィストさん!アラージュさん!スコットさん!アリエルさん!リドルさん!バリーさん!チェリーさんです!」

と、決戦に進出する選手を紹介した。観客席からは名前が呼ばれる度に歓声が聞こえてきた。マリアとエリーナさんは落ちたか... 。まぁ、彼女たちは魔法使いだし物理攻撃は苦手なのだろう。と、それよりもなんでエフィストがいる!?僕たちがいると聞いて参加したのだろうか?

 「おやおや、君はあのときのゲス野郎ではないか。俺には召喚獣しかいないと言うのに、遠距離の魔法と、近距離の剣を使ってズルを...」

「うるさい!」

僕はエフィストが言い終わる前にそう言い、彼に掌を向ける。結界が解除された今なら魔法を使えるだろう。が、彼に

「おいおいそれはマズいんじゃないのか?みんながいる前で。」

と言われて、掌を下ろした。負けた。悔しいがこんな所で彼を吹き飛ばして怪我でもされたら、僕は失格になりかねない。当たったら絶対にぶちのめしてやる!僕はそう思った。おそらく、バーロンもテーラも同じ想いなのだろう。2人は彼を睨み付けていた。

今回もずいぶんと長くなってしまいましたね。ごめんなさい。

これから、5話程度の間、今話のような対人の戦闘描写がありますので楽しみに(?)していてください。

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