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私の命終わる日に ――終焉の女騎――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 輝けるマナ ――廃都グリードシティ――
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第47話 ミッション3*報告

 【帝国首都アレイシアシティ アレイシア城 星見の間】


 廃都でのミッションから3日後。ようやく私は歩けるようになった。ここまで早く完治するのは、やはり私自身の生命力と魔法科学によるものなんだろう。

 そして、今日は廃都で行われたミッションの報告とその後について話をするためにブリュンヒルデのいる星見の間に来ていた。


「――まず、ミッションの後についてご報告させて頂きます」


 コミットが椅子から立ち上がり、用意されていた資料を手に取る。目線を資料に落としつつも、私やブリュンヒルデ、フウカ、ミズカにも視線を向けながら話す。


「まず、エンドレス・クリスタルですが、結論から申しますと、――“神聖レナトゥス”の手に渡りました」

「…………!」

「ヴァルハラ軍が撤退した後、神聖レナトゥス軍は上位組織「神議会」の軍勢と共に、超大型飛空艇プルディシアを強襲。激戦の末にプルディシアを奪い取りました。しかし、それこそがソフィア筆頭将軍のワナでした」


 コミットが話している間、私も用意された資料に目を通す。神聖レナトゥス軍は神議軍と共に、空と陸からルミエール政府軍と交戦。半日に及ぶ戦いの果てにルミエール政府軍をプルディシアから撤退させることに成功した。だが……。


「神聖レナトゥス軍と神議軍がプルディシアに乗り込み、動かし始めた頃だったそうです。――プルディシアは突如として自爆。周辺にいた軍艦や神議船もかなり巻き込まれたようです」

「ふふっ、最初から仕組んでいたのね」

「爆発の規模からして間違いないでしょう。あの爆発によって、コマンダー・ウォーター、コマンダー・リバー、コマンダー・レイン、コマンダー・オーシャンの4将官は全員死亡したとのことです」


 私の頭に3日前の記憶が呼び起こされる。コマンダー・オーシャン以外は、あの男――恐らくは神議会のリーダーに跪いていたクローンたちだ。


「爆発を逃れた神聖レナトゥス軍と神議軍もただでは済みませんでした。なぜなら、すでに退路は断たれていたからです。彼らの退路にはルミエール政府防衛軍第2兵団と第3兵団が待ち構えていました」

「用意周到だな。これがソフィアの戦いか」


 資料を手にするミズカが難しい顔で言う。

 ソフィアはクリスター政府の時代も筆頭将軍だった。そして、第2兵団のカルセドニー将軍と、第3兵団のギョクズイ将軍も共にソフィアの弟子だ。どちらも戦術士としての能力が高い。

 そうか……。クリスタル探査には、個人戦を想定して武闘派のケイレイトとグラディウスと、文武両道のプライシアを配置。軍同士の戦いでは、知能派のカルセドニーとギョクズイを出したといったところか。


「勝ったと思った直後の爆発。そして、背後からの猛攻。指揮官不在で神聖レナトゥス軍は大混乱に陥り、完膚なきまでに叩きのめされたようです。ただ、神議軍は持ちこたえ、辛うじて撤退したようです」

「……それだけ見ると、ルミエール政府軍の圧勝だな。だが、エンドレス・クリスタルは神聖レナトゥスの手に渡ったんじゃないか?」


 私は最初にコミットが言った言葉を思い返しながら問う。


「ええ、そうです。クリスタルを奪取したのは、“ある神議兵”だそうです。彼はあの戦乱のさ中、戦線を離脱したルミエール政府軍のある大型飛空艇を見逃さず、単独で乗り込みました。そして、エンドレス・クリスタルを強奪したようです」

「なるほど。ソフィアの作戦がアダになったということだな」

「ええ……。プルディシアを使い、敵の勢力を大幅にそぎ落とすことには成功しましたが、密かにエンドレス・クリスタルを運搬するという作戦は失敗しています。もし、エンドレス・クリスタルの運搬が最も重要な任務だったら、最初からプルディシアで運搬しておいた方がよかったかも知れません」


 ソフィアの作戦は上手いものだ。神聖レナトゥス軍はエンドレス・クリスタルは超大型プルディシアにあるものだと思って攻撃してくる。その隙をついて、ワンランク下の大型飛空艇で先に運搬しようとした。

 そして、超大型飛空艇プルディシアは奪われたと同時に爆破装置を作動させ、神聖レナトゥス軍を壊滅。自爆作戦は、今後のことを考え、敵となる神聖レナトゥス軍の力を奪っておくためのものだろう。ここで勢力を失わせれば、反撃さえままならなくなる――。それがソフィアの作戦だったのだろう。


 だが、「ある神議兵」とやらに作戦を読まれてしまった。そして、「ある神議兵」はたった1人で警備のクローン兵をなぎ倒し、エンドレス・クリスタルを奪われた。この2つのミスが、エンドレス・クリスタルの喪失を招いたのだろう。


「ふふ、ある神議兵ね。……断定情報がないからそう名付けたのね?」

「……その通りです、フウカ将軍。恐らく、ある神議兵とは、神議会の議長でしょう。あの男は相当に高い戦闘能力を有しているとの情報があります」


 コミットとソフィアの会話を耳にしていた私は、すんなりと納得していた。この議長とは、あのときに出会った男のことだろう。戦わずともすぐに分かった。彼が尋常ならざる能力を持っていることぐらい。

 もし、これからエンドレス・クリスタルを神聖レナトゥスから奪取することになれば、あの男とも一戦交える覚悟をしなければならない……。

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