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私の命終わる日に ――終焉の女騎――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 輝けるマナ ――廃都グリードシティ――
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第26話 エンドレス・クリスタル

 【廃都グリードシティ 上層 南部旧市街地 ヴァルハラ帝国軍拠点】


 私たちはたくさんのテントが並んだヴァルハラ帝国軍駐屯地にやってくる。帝国から派遣された大勢のクローン兵士がいる。私たちはその中心にある半壊の建物に入る。


「あ~ら、いらっしゃい、ふふふっ」


 建物に入ると、緑色の服を纏い、白衣を肩にかけたクローン女性が出迎える。髪の長い優しそうな顔をしたクローン女性だ。


「あなたたちが新しく派遣されてきた子ね? 私はイノベーション=フウカ。アースちゃんと一緒にグリードシティを担当しているわ」

「フィルドだ。よろしく」

「パトラー=オイジュスです。よろしくお願いします」

「……ミズカ」


 簡単に挨拶を済ませると(1名、簡単すぎるような気もするが)、奥の部屋に通される。建物は半壊状態だが、あちこち補強工事がされていて、簡単には崩れそうにないな。私は廊下を歩きながらそう思った。

 ここ、グリードシティは廃墟同然の都市だ。だが、4年ほど前までは世界最大の都市で政治・経済の中心地だったこともある。政府首都グリードシティ。その名は4年前の戦争で失われた。


「もうブリュンヒルデちゃんから聞いてるかも知れないけど、私たちは『ある物』を探してるわ」


 一番奥の部屋――アース・オフィスに通された私たちが椅子に座ると、フウカは話を始める。彼女の後ろにはグリードシティの地図が映し出されている。


「一応、この事業の目的は『ウォプル掃討作戦』ってことになっているけど、本当は違うわ。私たちの狙いは『エンドレス=クリスタル』の探索。終わりなき不滅の力を秘めた伝説のクリスタルといわれているわ」


 ……ブリュンヒルデから受けた次のミッションは、『エンドレス=クリスタルの探索・回収』だった。私たちはエンドレス=クリスタルを見つけ、回収するためにグリードシティにやってきた。

 情報によると、エンドレス=クリスタルは常識ではあり得ないほどのマナを有したクリスタルらしい。ブリュンヒルデがそのクリスタルを使って何をする気なのかは不明だが……。


「そして、ルミエール政府も神聖レナトゥスもエンドレス=クリスタルを探しているわ。伝説通りの力を持つのなら、手にした勢力は世界の覇権を取ることも可能だと考えられている」


 ……だろうな。エンドレス=クリスタルを使った魔導兵器を造れば、神聖レナトゥスの天空要塞ぐらいなら一撃で消し飛ばせる。


「ふふふ、ブリュンヒルデちゃんがこれだけの戦力をグリードシティに派遣している理由、分かるでしょ?」


 フウカは立ち上がり、白衣を緑色をした服の上から羽織る。そして、机の上に置かれたコンピューターを操作する。すると、地図上にある地点が赤色でマーキングされる。


「私たちは幸いだったわ」

「幸い?」

「ええ、そうよ。だってほら、あのクリスター政府の後継だもの。……この街を廃墟にしたのはクリスター政府。この街を支配していた「国際政府」に対して侵略戦争を仕掛け、史上類を見ない激戦の末に勝利。その後、国際政府が有していた情報も全部回収したのよ」


 フウカは柔らかい笑みを浮かべながら話す。

 彼女が言っているのは、『グリードシティの戦い』と呼ばれる激戦のことだ。クラスタ率いるクリスター政府が国際政府に対して侵略戦争を仕掛けた戦い。今から4年前に起きた戦争だ。


「その情報の中にエンドレス=クリスタルに繋がりそうな情報が隠されていたのよ。ふふふ、クラスタちゃんには分かんなかったみたいだけどね」

「……その言い方だと、国際政府の情報をヴァルハラ帝国が得ているみたいだな」

「ええ、もちろんよ。あのクーデターでヴァルハラ帝国は、クリスター政府の首都ポートシティを得られているわ。多くの情報が持ち出されていなかったわ。……まぁ、管理していた人間の官僚が一部持ち出したみたいだけど」


 『グリードシティの戦い』はクリスター政府の勝利に終わり、クラスタは国際政府の持っていた情報を全て回収した。その情報は首都ポートシティに保管され、クーデターでポートシティを制圧したヴァルハラ帝国の手に渡った……ということか。


「なら早いとこ回収しよう。どこにある?」

「ふふ、焦らないで。……もっとも、焦らしてるつもりもないけどね」


 私はふと後ろの地図に目をやる。ああ、そういうことか。


「あのマーキングしたとこにあるんだな?」

「ご名答だわ、フィルドちゃん」


 誰がフィルドちゃんだ。


「見たところ、グリードシティの中心部みたいだな。政府中枢セントラルタワーがあったところか?」

「ええ、そうよ。セントラルタワーにエンドレス=クリスタルがあるわ」

「ならいい。すぐに取ってこよう」


 私は立ち上がる。だが、フウカが再びコンピューターを操作する。すると、地図から映像に切り替わる。映像はグリードシティのどこかだった。だが、異様な光景だった。


「なっ……!?」

「分かるかしら、ことの難しさが」


 私は呆然と立ち尽くしてしまう。映像は常識ではありないものだった。

 廃墟グリードシティ。街は水没していた。一部の高層ビルが自ら突き出している。だが、よく見ると街を埋め尽くしているのは水じゃない。ゼリーだ。ウォプルが街そのものを覆っていた。


「これはこの街の中心地よ。政府中枢施設は、セントラルタワーは巨大ウォプルに沈んだのよ――」

  <<プライシアの報告書>>


 【エンドレス・クリスタル】


 終わりなき無限のマナを宿す伝説のクリスタル――『エンドレス・クリスタル』が、グリードシティにあるみたい。

 私はブリジット政府代表とセイレーン防衛大臣に命令されて、『エンドレス・クリスタル』を回収しに来ている。

 もし、エンドレス・クリスタルがヴァルハラ帝国の手に渡れば、彼女たちが全世界を支配することも容易になるみたい。神聖レナトゥスやクリスター政府然り。あるのかどうかは分からないけど、もし存在するのなら絶対に他国に渡しちゃいけない物だ。

 私は今日もウォプルをやっつけながら、伝説のクリスタルを探し続ける。


 どうでもいいけど、ブリジット政府代表はこのエンドレス・クリスタルを使って何する気なんだろう? 噂によると『大いなる光』がどうのこうのって話だけど……。



◆今日の報告

 死者:15名(傭兵11名、兵士4名)

 戦果:なし

 事件:フィルド、パトラー、ミズカが派遣されてきた(ヴァルハラ側)。

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