返り血
久しぶりになってしまいすいません
短めですが一応切りがいいので。
ご了承ください
「ロルケナード殿下、ヴェリアからの使者が参りました。」
待ち望んだヴェリアからの使者の訪問に、
ロルケナードは身の滾るような昂る感情が湧き出るのを禁じ得なかった。
長く続いた雌伏の時が、
終わりを告げようとしている。
「通せ。粗方予想はついているが。」
興奮を抑えつつ、平静を装うロルケナード。
「なぜヴェリアからの使者が?
どういうことなのですか、ロルケナード卿!
やはり裏切りか!
ガルリア伯爵家への忠誠は何処へ……!」
クライクの驚きと怒りに満ちた表情が心地いい。
「私のガルリア家への忠誠は本物だ。
弟のガルリア家ではないがな。
伯爵の座の正当性は私にある。」
「何を馬鹿な…!裏切り者め!」
「この煩い馬鹿者を捕らえろ。
自分の身分が理解できていないようだ。」
「離せ!今に後悔することになるぞ!」
「使者をここへ。」
しばらくするとヴェリアからの使者達が謁見の間へ入ってきた。
捕らえられ頭を垂れるクライクを見て一瞬驚いた様子だったが、
彼らはヴェリア伯爵、ファーガンからの書を読み上げる。
「西ヴィルケンにてガルリア賊軍と決戦を行う。
ロルケナード伯爵殿下の援軍を求む。」
「承知した。ヴェリアとの友好の証、ここでご覧に入れよう。」
ロルケナードはクライクの側まで歩み寄ると、
腰に帯びていた剣を抜き放った。
「おのれッ……!」
怒りの表情を見せるクライクだったが、
煌めく剣を見て諦めにも似た絶望の眼差しを
ロルケナードに向けるのみとなった。
「賊め。私の手であの世に送ってやろう。」
ロルケナードがクライクの首を目掛けてその剣を振り下ろす。
斬り落とされた首と体とが離れ、
噴き出した鮮血はロルケナードを濡らした。
「ガルリアの伯爵はこの私だ。」
クライクの亡骸を冷たい表情で見つめるロルケナード。
その眼差しには一片の迷いなど存在していない。
貫くような光を帯びているかのような錯覚。
ガルリアは何処へ向かうのだろうか。
その行く末は誰にもわからない。
もっと投稿できるように頑張ります