第一章1 『リアムと魔法』
初投稿です。気軽に読んでもらえると助かります。
「奥様元気な男の子ですよ」
「やった、やったぞ、無事に産まれたぞクレア。俺たちの二人の子だ」
「….よかった」
三人の歓声と共にこの日一つの小さな灯火が産声を上げた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
俺リアム・アルクトゥルスは七歳になった。
平和な毎日が過ぎているのだが、最近少々暇である。ていうか友達が全くできないのだ。話しかけてもみんなから避けられる。めちゃくちゃショックだ。
ただ仲良く遊びたいだけなのに。
「帰りました、父様」
「おかえり、リア。友達と遊んできたのか?」
「いえ、一人で森の近くで植物の観察をしてました」
「そうか楽しかったか?」
「はい、それはとても。色々な花を見れてとても楽しかったです」
「そうかよかったな」
そういって父様は大きな手で俺の頭を撫でてくれた。すごく安心するのだが、父様がまたあの顔をしている。申し訳なさそうな顔だ。
多分俺に友達ができないのを気にしてるのだろう。
俺は自分に友達ができない理由がわかっている。多分俺がアルクトゥルス家の人間だからだ。俺の親はその分家の人間らしいのだが、どうにもこの村の人からの印象は最悪らしい。
俺をそういうお家沙汰に巻き込まないでほしいのだが、この家に生まれたことを後悔などしてないし、父様も母様も大好きなので甘んじて受け入れている。
後は俺の元来の性格のせいでもあるだろう。少々大人びてるというか達観的らしい。
そんなつもりは俺にはないのだが、父様や母様が言うには赤子の時には泣きもせず笑いもしないからよく死んでるのではないかと思っていたと笑いながら言われたのを覚えている。
しかし毎日一人で植物観察をするというのも少々飽きてきたものだ。もっと刺激的な日々を送りたい。
「そうだ、倉庫に行けば何か面白いものがあるかもしれないな」
俺の父様は上流貴族の出だが、親と喧嘩して家を出て冒険者をしてたらしい。そこで母様と出会ったとか。度々寝る前にその話を聞かせてくれるのだが、とても面白くて好きだ。今日も聞かせてくるかなぁ。楽しみだ。
そんなことを考えながら倉庫を漁っていると、一冊の本を見つけた。
「なんて読むんだっけこれ」
けれどこの本の題名の最初の方は知っている。確か魔法と読んだはずだ。
「まほう、まほうかぁ〜。かっこいいなぁ〜」
こんなことなら文字をちゃんと習っておくべきだった。母様が熱心に教えてくれてたのに逃げ出してばかりだった。そんなかっこいいものを手に入れれる本はあるのに肝心の文字がわからない。
倉庫のものを勝手に持ち出すと母さんが怒るからこっそり部屋に持ち帰って文字表と照らし合わせながら読もう。よしそうしよう。
「リアム何してるの?」
まずい母様だ。本を持ち出したら怒られるなんとか誤魔化さなきゃ。
「…いや、えっと、…..そうだネズミが倉庫の中に入っていくのを見て探してたんですよ。それじゃあ僕は部屋に戻るんでそれじゃあ」
「あっ、待ってリアム」
母様の静止を無視し、全速力で部屋に戻った危なかった。多分本はバレてないだろう。
「よし、まほうの勉強するぞ」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
本を持ち出して一週間後、どうにか最初のページだけは読むことができた。
初級水魔法『ジェネレイティブウォーター』、文字通り水を生み出す魔法らしい。なんとも初級ぽい魔法だ。魔法のことはまだよく知らないが。
何はともあれまずは実践あるのみ。失敗くらいご愛嬌だ。
「水の精霊よ汝の加護を今我に授けよ」
『ジェネレイティブウォーター』
なんだ何かが込み上げてくる感じがする。
「….できた、できた、できた、やったできた。魔法が使えたぞ。よっしゃやったヤッホー」
使えた。まさか最初から使えるだなんて、俺は魔法の才能があるのかもしれない。よしこれからまだまだ練習していけば、色々な魔法が使えていくのかもしれないな。
「よしまだまだこれからだ」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
それから一ヶ月後、俺は殆ど家にこもっていたせいで母様と父様から俺が村の子供からいじめられているのではないかと心配されたがそんなことはないと全力で否定しておいた。
だが、魔法の方はこれといった進展がない。毎日初級水魔法を使い続けているがなかなか中級水魔法が使えない。
少しだけ進展したといえば、最初の頃より長く魔法を使えるようになったことだ。魔力総量が増えたのだろうか。よくわからん。
「んー、どうしたものかね。母様にでも相談してみるかな。確か母様も冒険者で魔術師してたとかいっていたよな」
だが今母様に言うと確実に本を持ち出したことを怒られるし、なんか途中で投げ出してるみたいで嫌だ。
「もう一度やってみるか」
「水の精霊よ激流の如き力を清流のような静けさを精霊の加護を今我に授けよ」
『ウォータースプラッシュ』
おっ、この感じきたかも。ん、いや違うまずいなこれ。
「ん?あれなんかおかしくないか威力があれ、ちょっ待って」
やばい、やばいやってしまった壁をぶち抜いてしまった。まずい、まずい、まずい、流石にこれは怒られる。
「どうした!リア何があった!!なんで壁が、魔物か?いやそんなはずは…」
「…..いや、えっとその、….ごめんなさい父様、僕がやりました」
「何があったかゆっくりでいいから話しなさいリア。それとクレア、リアに治癒魔法をかけてやってくれ」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
それからことの顛末を話した。父様と母様は怒らず聞いてくれた上、俺に魔法の先生をつけてくれるといってくれた。
この年で中級魔法まで使えるのは凄いことらしいし、あの威力だ。そうとう可能性を見出したらしい。
母様がすごく興奮していた。流石、元魔術師だ。子供には魔法を教えるんだと父様とよく話してたらしい。そりゃ喜ぶわけだ。
まー、行き詰まってたし、これはこれでいいか。楽しみにして待っておこう。きっと色々なことを教えてくれるはずだ。
――ウィルアルク・アルクトゥルスの視点――
子供ができた俺とクレアの子だ。とても嬉しかった。子供ができない日々に悶々としていた中でできた子だ。死んでもこの二人を守っていこうと決めた。
リアは泣かなかった、笑わなかった、心配だった。初めての子育てで大変だと想像していたが全く手がかからなかった。医者に連れて行ったりもしたが原因はわからないと言われた。
けれどそれは無用な心配だった。成長するに連れリアは普通の男の子のようにすくすく育ってくれた。けれど一つ問題ができた。
リアが外で遊ぶようになると、当然他の子供達とも関わっていく、心配はしていたが何故か少し楽観的に考えていてしまっていた。リアは仲間外れにされていたのだ。
リアが泣きついてきた四歳ぐらいの時だったかな。俺は理由を説明するわけにもいかず、ただ謝ることしかできなかった。本当にごめん。不甲斐ない父親だ。
それからリアはずっと一人で遊んでいた。森の近くに花や虫などを見に行っているそうだ。年相応の子供のようなことをしていると少々性格は大人びているとは思うがやはり子供だ。
楽しそうに今日あったことを俺とクレアに話してくれる時の顔は本当に可愛らしい。俺の毎日の楽しみだ。
六歳の頃のぱたりと家から出なくなった。俺は心配になりリアに何か他の子にされているのではないかと聞いたが、全力で否定してきたので違うのだろう。
俺も中々壮絶な人生を送ってきたつもりだし、人の嘘は見抜けるつもりだ。さして子供だ、そこまで嘘は上手につけないだろうと思い信じた。
ある日、2階からとてつもないデカい音が聞こた、リアの部屋からだ。部屋に入ると壁にデカい穴が空いていた。どうしたのかと、リアに尋ねると魔法でやってしまったと言うのだ。この年でだ。
我が子は天才だと思った。多分クレアの血が色濃く受け継がれているのだろう。俺は魔法はからっきしダメだったからだ。
クレアはえらく興奮した様子で魔法の家庭教師をつけようと言った。もちろんこの年で中級魔法を使えるのだから、異論はない。だが、子供には剣を習わせたかったものだ。
家庭教師を探した。昔の冒険者の知り合いの伝手をあたって、いい教師を見つけた。全属性適正なある神級魔法使いだと言う。
気難しい寡黙な人だと聞いたので、ダメ元で会いに行ったら、難なく了承された。
だが一ヶ月ほど待ってほしいと言われた。今迷宮に潜っているらしいし、教えるための準備が必要らしいのだ。それは仕方ない。
「父様、家庭教師は見つかりましたか?」
「ああ、いい先生が見つかったよ。一ヶ月後に来るそうだ。楽しみだな」
「あら、それはよかったわね。ありがとうね、あなた私の我儘聞いてもらって」
「我儘って、そんなことないだろう。な、リアも楽しみだろう?」
「はい、待ちきれません」
リアの頭をくしゃくしゃと撫でてやった。これをするとリアはとても喜んでくれる。
これが我が家の日常だ。平和だ。これがこれから先も続いていくだろう。そうだリアに二人目でもあげよう。男の子と女の子どっちがいいかな。そんな事を思いながら俺はクレアと夜を過ごした。




