↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/7

第04話:【『青バラ』、仲良しの誓いの巻】

「さてはて。 何を語るやら?」


 前回に引き続き、ネタがこんがらがっております。

 なので、盛り上げるための短編をブチ込むことにしました。

 前編後編は、今回はありません。

 来月までにはまとめます!


「ぶっちゃけると、非常手段の1つですらある。」


 さる高貴なマダムにお約束しました道化です。

 “1月に1度以上は、物語を投稿し献上する。”

 そのお約束は、遂行しておりますので、お許しください。

 お楽しみ頂けますと幸いです。




2026/08/01

そろそろ気合い入れる道化こと、Fhu-氏

【新神代世界のFhu-氏】シリーズ


第04話:

【『青バラ』、仲良しの誓いの巻】




 それは、かなり前の話と言うには、そんなに前でもない。

 確か1年近くもなるが、もう気持ち短い。


「そうです、俺がFhu-氏です!」


 世界には可能性が満ちていると、向こう見ずな若さで言うには易いが、

これは野良犬を拾って来たのに似ている。

 どんな道理か知らんが、丸ごとまるっと7人全員の、あたしら全員の、

『父親』を名乗る男を“拾った”。

 もちろん、血は繋がっていないし、何より、初対面だし、

ここまで頭がおかしいヤツに一度でも会ったら思い当たらないワケもない。


「何ざ、コイツ?」


「やっぱり面倒事になった。

 だから、お前らとつるむのは嫌だった。」


「不思議な話ですね。

 初対面の殿方に、『父親』だなんて言われるのは。

 ふふ、ここに集った私達に、そんな方おりましたっけ?」


「7つ子姉妹って、何なのね?

 私は、コイツらと姉妹なんて真っ平御免なのね!」


 などなど。

 反発するヤツは、この流れだと王道だし、ごく自然だよな。

 でも、7人が7人、皆が否定的ってワケでもない。

 残り3人の反応が次の通り。


「別に良くね?

 良くも悪くも、言い出しっぺのあたしの目論見通りになった!

 自称で『父親』なんて名乗っているし、そんなモンぢゃねぇの?

 ま、手足が100くらいあるゲジゲジ怪人が来なくて良かったなwww

 けけけ!」


「とりあえず、多かれ少なかれ、望んでいた結果には満たされたか。

 私は、静観するよ。 よろしく、みんな、Fhu-さん。」


 感情の動なの静なのは、違いがあるけれど。

 肯定的に受け止めるよ。

 でも、最後のこちらは、以上のそれらと少し毛色が違った。


「まあっ、アナタは、Fhu-様とおっしゃるのですか!

 ここにいる皆の『父親』様になって下さるのですね?

 素晴らしいですわ!」


 内の、1人の魔女が、大袈裟にブリっ子丸出し、

ブリブリの媚びた歓喜の声で迎えた。 ウゼェ。



***



 それから、しばらくは、あのFhu-なる男こと、自称:父親には、

青の魔女が、これ見よがしに付き従って纏わり付いた。

 皆に見える様に腕なんて組んで、仲睦まじい歳の差カップル気取りか。

 他の6人を絶対に寄せ付けなかった。


「……お前、どういうつもりだ?」


 黒、問い質す。

 彼女と同じテーブルには、残り、白、黄、赤、緑、そして、紫、

黙って静観している。

 男の留守のある日のこと。


「あらァ、嫉妬? 醜いですね?」


 このクソ女、壁ドンでもして理解(ワカ)らせてェ……。

 が、どんなリスクと危険があるか。

 『魔女』なんてのは、藪から飛び掛かる毒蛇だ。 だから、冷静に聞くよ。


「冗談を聞きに来たワケじゃない。 真面目に答えてくれ。」


 黒い少女には、いつもの不真面目が無い。

 それを見据えてから、青い少女はそっと口を開いた。


「……冗談なんて、わたくし、ハナからそんなつもりはありませんの。

 何、アナタ方がご執心の『父親』なる殿方を、

 このわたくしが試して差し上げているのですわ。」


「ほォ、試しか。

 お前……、『青魔女』に何の権利と力があるのか?」


 先に言われてしまったが、多分、ここに揃った首どもは、皆が皆、

同じこと考えているンだわ。 もちのろん、集まる視線は冷たい。


「では、アナタ方にも、権利と力があるのでしょうか?

 結局、決定の判断は己の意思1つ、誰にも妨げられる謂れはありませんの。」


 狂気の色の瞳が見据える。

 例え、人数の利が相手にあっても、理に介せず、どんな反論や反抗と反撃の

痛みと傷にも動じず、機械的に冷酷に喰らい尽くす暗い黒の魔性が奥にある。

 魔女とは、こういうモノだ。


「ま、この程度の、ちょっとしたスキンシップ如きで鼻を伸ばして、

 おモテになれたと勘違いし我を忘れて油断する殿方なら。

 このメンバーの誰が、いつ、どこで、食い◯しあそばされても、

 不思議じゃあありませんよね?

 わたくしの『お父様』は、もっと、クールで用心深い紳士でしたの。」


「……なるほど。 ま、様子見かな。」


 いつも通り、そのもみあげのクルクルカールを指で回して遊ぶ姿。

 平然と澄ました横顔に、本当に恐ろしい魔女とはこういうものだと

思い知らされるなんてのは、今更ありはしないが。



***



 金のカチューシャ、艶ある黒い髪、もみあげクルクル螺旋で風に遊ばれて回る、

後ろは纏めてどこぞの姫君か。

 ありのまま生きて来た魔法のお姫様なら、普通に見栄えする顔だし、

3Dアニメ映画にできたのに。

 日常に、人知れず溶け込む、『魔女』。 多分、17歳。


「……Fhu-様、聞いてますの?

 だからァ、他の姉妹なんて良いですから、

 わたくしのお話を聞いて下さいまし。」


 またある日のこと。

 他の姉妹達が、この青い魔女にイライラさせられてしばらく。

 とりあえず、黒のあたしに判断を委ねる体で静観して貰っていたが、

イカン、あたしもイラついて来たのが実際。


(パパンの野郎ごと、ブチ◯してやろおおとかああああああ??)


「ねーえ、他の姉妹達は、わたくしほどに魅力がないから、

 わたくしに嫉妬して仲間外れにするのですぅー。

 どいつもこいつも地味女ですので、Fhu-様には釣り合わないと言いますか、

 この際ですから、わ・た・く・し、と、決めて頂けますか?

 アナタの愛娘は、わたくし、ただ1人、それで良いではありませんか。」


 よく晴れた日、商店街メインストリート。

 決して、大して冴えない、ただの男(野郎)に、ベタベタ腕組みのウゼぇ女、

……そして、その後ろを歩く、あたし。

 青魔女の欲しいモノとやらは底無しか、あれよこれよと言う間に

男の荷物は増えるし、あたしの手荷物もさらっと増えている。 ウゼェ。


(カァ~っ、ペっ!)


 虫酸が走って、さらに加速するだと!?

 殺人に発展する加速度だ!


(まるで、バカップルどもと3人で出掛けて、

 途中で2人の世界に入られて爪弾きされて、味わう孤独だ。)


(あたしが何をしたって言うのさ。 罰ゲーム?)


(青の馬鹿のせいで、行き交う衆人の視線がさっきから痛いんだよ!)


「……『パパン』、なんて、あたし、呼んでたんだけどな。

 赤の他人が、伊達酔狂に『父親』なんぞと名乗ったからって、

 実際にそうとはなってくれないよな。」


 ポツリ、人知れず溢した。 切ないし、寂しいよ。


(募金のご協力、おねあいしゃーっす!)


「おや、マル羽根印の募金か。

 んじゃ、Fhu-氏は、いくらか出しちゃるゾ、愛娘の手前!」


 調子の良い野郎。 こんな社長とか、世にいるよなwww


「キャー、Fhu-様、素敵ですわ!」


「……どうともやれや。

 ダっセェ他力本願の募金如きで、盛り上がってんぢゃねぇよ!

 集めたカネの使用用途も報告の義務も無いってェ、

 詐欺紛いギリギリって、知らねえのかよ?

 本当に救済を求めるなら、てめェの力だろ、お゛ォ??」


 『黒バラ』のイロハさんは、疑り深いが同時に現実主義だ。

 大金を目の前にした人間の心理を、これでもかと知ること多く、

信じるべきと疑うべきをずっと選り分けて来た。

 だから、慈善と偽善を混同しないのだ。

 特に、こんな見せかけ虚飾の見栄っ張りなどには、厳しい目がある。


 チャリンチャリン♪


(ありがとござましたー!)


「へへへ、鳥の羽根2枚貰った♪ 家族毎に貰えるとか何とか?

 そんな設定だったのかー。」


「やはり、Fhu-様は、社会貢献に積極的な素敵な都会派な大人な殿方ですわ。

 1つは、まあ、素敵!

 Fhu-様のお胸に据われば、また輝いて誇らしく見えますの、ええ。

 では……、さあ、そのもう1つの、募金した証である鳥の羽根を、

 素敵なお揃いをどうか、是非とも、わ・た・く・しに。

 ええ、アナタの“唯一無二の”愛娘たるわたくしに、どーぞ。」


 若き淑女に賜り給え。

 恭しく、わざとらしく、また、黒の少女に勝ち誇る笑みを見せつけながら、

そっと、目を閉じて待つ。


「うん、家族ってなら、コチラにもだね。 ほい、イロハ嬢。」


「えっ……、んん?? あ、ああ……? ありがと?」


 さりげなく、胸に触ろうとしたかと思った。

 もしそうだったら、瞬殺していた。

 でも、気持ちもう少し上に羽根シールを貼ってくれたのに気付いたから、

あたしはどうして止まったよ。


「Fhu-様、ど、どうして……?」


「そういえば、イロハ嬢には、何も買ってあげてなかった。

 ひとまずは、これで許して。」


「『パパン』って呼んでんの、あたしだけだから、

 家族なのはあたしの方だったってカラクリかい(ニチャァ……)?

 けけけ!」


「そんな……、Fhu-様、わたくしはアナタの家族、愛娘ではありませんの?

 そんな、……酷い。 酷い……、酷いですわ。

 ……酷いから、……かくなる上は、

 みんなみんな惨◯して物語を終わらせてしまいますの!!」


 ゾクリ……。


「させるかい、馬鹿魔女!

 あたしがここでブチ◯してやろおおとかああああああ♪」


よっしゃ! 7人姉妹改め、6人姉妹にする大義名分見つけたり!

丁度良いや、てめェ、目に余るクソ女だって、イラついていたンだわ!

我慢できねえ、ヒャァ、ブチ○すっ!!


「……ホラホラ、こんな所でケンカしないよ、2人とも。」


 コツン♪


 コツン♪


 そして、頭はナデナデ。 それは、さりげなく。

 青き魔女の胸の上にも羽根。


「こんな羽根飾りくらいで争わないの。

 家族なのは、アイウ嬢もイロハ嬢も同じなんだから。

 このFhu-氏の愛娘は7人です!

 なので、募金の子、あと5枚ください。 ……え、ダメ!?

 じゃ、じゃあ、2人はお散歩に付いて来てくれたから特別ってことで、

 他のみんなには内緒だよ?」


「ど……、どうして?」


「7人、みんな、このFhu-氏の可愛い愛娘です。

 そういえば、君、アイウ嬢には、お父さんとか呼ばれたことなかった。

 恋人気分で心地良かったし、悪くはなかったけど、

 『Fhu-様』はこそばゆさと罪悪感があった、……嬉しかったけど。

 皆が皆、Fhu-氏の大切で宝物で愛娘なので、

 ……性格が皆違うしいろいろあるだろうけど、仲良くして欲しいです。」


「……。」


「君なりに、いろいろ考えがあったと思うけど、

 あと、このFhu-氏に付きっきりで仲良くしてくれたのは俺得だったけど。

 あんまり、これ見よがしで、みんなの嫌がることやっちゃダメだよ、アイウ嬢?

 それと、街中で怖くて物騒なこと叫んだりしないよ?

 約束してくれるかい?」


「わたくし……。

 こんな風に、優しく叱って欲しかったのですのお゛おおおおお!!」



***



「……以上が、顛末だ。 報告を完了するぜ!」


 黒いセーラー服の胸の上に、羽根飾りが貼ってある、……これ見よがしに。

 黒のイロハ、青の姉妹の問題が解決されたことを報せた。


「羽根が胸上に付いてないヤツはァ、募金しない不届き者だって、

 学校じゃあ、異端審問に掛けられるんだよな、ヒャハ♪

 ちっぽけでケチなカネの惜しさに、優しさと助け合いの温かさを捨てた、

 卑怯でみみっちい最低野郎のレッテルが、小さな羽根の代わりに、

 その胸に永遠に刻まれるんだよなあああ??

 あと、この羽根は、大切な家族の証!」


 イライラっ!


 アニメ特有の、血管浮き出たマークでも宙に浮きそうな場面。

 ここ、いつも家族団欒できる自宅居間、テレビの置いてある場所。

 またまた、男の留守の間に。


「ほぅら、また、『黒バラ』さん、

 皆の嫌がることをこれ見よがしにやってはいけないのですわ!」


 ブチっ!


 そう。

 羽根など胸からムシリ取って、グシャグシャブチブチ、パッパッパ♪

 不思議なマシンに叩き込めば?


 ガリガリガリ、ビチビチビチ……、チーン♪


「これは……?」


「仲直りの証ですの。

 『お父様』から、わたくし、大切なことを教えて頂きましたの。」


 7つのピンバッチ。

 あの時、内緒で手渡された羽根は、確かに2つだった。

 でも、罪悪感があったので、何とかならないかと相談されたので、

100円ショップで安物のピンバッチ7つを買った。

 それは、全く飾り気もなくつまらないだったが、貰った2つの羽根を毟って

等分し分けて飾れば、なかなか良くなりそうだと3人で考えた。


「7等分、は、難しいです。

 見た目や容積からのアプローチでは解決できませんでしたが……、

 視点を変えて、質量ならスマートでしたの。

 つまり、こういうことですわ。」


 今毟ったなんて想像もさせない、羽毛が誇らし気に立った、素敵なピンバッチ。

 勲章と言われれば、そうも見える。


「どういうことざ!?」


「ま、要するに、この◯チガイインテリ魔女さんは、

 よく分からんことで興奮して発情して、勝手に納得しちまったってェことよ。」


「どういうこと!?」


「つまり……、鼻の下伸ばしてデレデレの間の抜けた殿方と侮っていたら、

 とと様は意外にも冷静で公平で、皆の皆を愛娘と認めてくれている

 温かな博愛精神の持ち主で、そんな立派な方に優しく叱って貰って感動して

 改心したということ、ですか。

 良かったですね、アイウさん。」


「何だ、それは。」


「バカなのね。」


「とーにーかーく!

 わたくしはっ、あの方を『お父様』と認めますわ、決めましたのっ!

 その『お父様』が、姉妹の皆と仲良くしてと言ったからには、

 嫌々でも、仲直りくらいしてあげても良いのですわ。

 ダメなら、脳ミソ改造して、無理矢理させてやります!」


 ウゾウゾウゾ……。 キシャァーーー!!


 その絹のよな手を包む、淑女グローブ越しに掴むのは、

夥しい触手と爪を波立たせて威嚇する畜生カラクリ、

『極悪デビル寄生ワーム型自動洗脳改造マシン』!?

 そりゃあもう、手足が100あるゲジゲジ怪人パパより危険!!

 ……さすが、マジ悪の極悪魔女!


「んなキモいモン持って威嚇せんでも、ご改心なら結構。

 ……まあ、納得できたなら良かったざ。

 それにしても、Fhu-のヤツ、なかなか見どころのある。」


「『白バラ』の好感度も上がったか。 良かったな、パパン♪

 きっと、今晩の飯はウマいぞ。 けけけ。

 ……それは、さておき、お前ら、バッヂ持ってけよな。

 コレ、あたしのパパンへの“信頼の証”になったからwww」


「1番疑って、お試しなんかしてた2人が寝返ってコレだ。

 まあ、結果オーライかな。

 私は最初から信じていたし、今後もそうさせてくれねば困る。

 皆に、今後とも頼むよ。 じゃ、1個貰う。」


「疑っていたのは、逆に、信じたいという強い意思の現れです。

 アイウさんは、科学者気質な人とのことですから、

 明暗・白黒ハッキリさせなければ気が済まなかったのでしょう。

 ならば、彼女がコレと決めた答えがそれなら、

 揺らがぬ正しい道なのかも知れません。

 救いが我らに在らんことを。 1つ、頂きます。」


「1番悪態ついて認めない様な素振りを表したクセに、

 ……魔女はこれだから。

 逆に、こんなチンケなお試しを叩き突き付けるのが、

 大人しく待っていた我らに対する報いと言うか? ……まあ、良い。

 私は、すでにこの選択に賭けている。 今更、降りることのあるものか。

 ……にしても、変なアイテム作って。 1つ、貰うぞ。」


「私は、どうでも良いけどなのね。

 でも、こんな途中で降りるのは負けな気がするし、

 お前ら、魔女どもに負ける気はないから、別に降りてやらないのね。

 最後の最後まで、私の正義のまま、全て見届けてやるのね。

 だから、まあ……、1つくらい貰ってやっても良いのね。」


「どいつもこいつも、素直じゃないざ。

 皆、同じ釜の飯を同じ卓で同じ時に食った仲ざろが。

 一蓮托生、こうもなった者らこそ、家族と呼ばず何と呼ぶ?

 『黒バラ』も、変に焚き付けるな。

 単純に、父親と姉妹からのプレゼントぞ。 わっちは、素直に1つ貰うざ。」


「にっ! ホラ、結局、みんな持っていった。

 どんな悪態突こうが、どんなに疑おうが、

 希望と期待も持っているのは変わらないワケだな。

 どこぞの昭和のお姉ちゃん、見てるか?

 これがっ、令和の東京の家族の絆ってヤツだぜっ!!」


「一体、彼女が何に悪態ついているかは知れませんが、

 わたくし、良い気分ですの。

 『お父様』、嗚呼、『お父様』……、

 わたくしの本当のお父様とは少し違いますが、もう少し近くにいてくださる方。

 本当のお父様は、クール過ぎて近寄りがたい方でしたから、

 コチラはコチラで愛しくて何か嬉いんですの。

 言葉で愛してるこそ言いませんが、見えない心を行動と思いやりの言葉で

 示してくださる方と、記憶しました。 ハァン……♪」


 ……てな具合で解決したとのさ。 まあ、良いんじゃないか。



***



『世のため人のため、……なんて言わないけどさ。

 気が向いたらさ、誰かに優しくしてくれると、Fhu-氏は嬉しい。』



「……などと、お父様が仰っていらしたので。

 わたくし、この世界の平和維持に協力しますわ!」


 やっぱり、思い込みの激しい自己中心魔女は仕事が早い。

 あと、朝も早いし、身支度も早くてスマートとは。


「……おい、マヌケのパパン、お前、やらかしちまったぜ?

 世界を破滅させられる魔法を有した激ヤバ魔女が、

 世界を守り平和維持に奉仕するとか気紛れでも言い出した。

 ……コレ、◯ーベル平和賞レベルの功績だヨ。」


 人知れず、『黒バラ』乙女は口にした。

 そしたら、彼、Fhu-氏は、はは、まさかなんて冗談に微笑みを溢した。

 それから、普通に、いつも通りにとっとと仕事に向かった。


「さて、私も仕事なのね。 悪い妖怪狩ってくるのね。」


「行ってらっしゃい。 私も、学校だ。

 朝ごはん、気合い入ってて美味しかった。 いつも、御馳走様。」


「『白バラ』さんは、機嫌が良いと、食事の質が上がって美味しいですよね。

 さぁて、私も、檀家の法事へ行かねば♪」


「……行ってくる。 また数週間は戻らないが、帰って来る。」


「今度はどこ行くざか知らんが、体に気を付けろ?

 体が資本の戦士だか何だか知らんが、飯を作って待っておるのざ。

 ちゃんと、帰って来いよ?」


「さっ、わたくしも、仕事です。

 ……『黒バラ』さん、くれぐれもっ、

 わたくしの愛猫にイタズラしないでくださいましね!

 機嫌を損ねると、あの子、アナタの部屋を始め、

 家中に念入りにマーキングされますよ?

 どうせ、無職の野良なのですから、大人しく、食器洗いなど、

 諸々の家事をやっておいてください。」


「ハイハイ、メイド喫茶のねーちゃんの『白バラ』もこれから出勤するのか。

 あーあ、国際機関に名を連ねる、正義の魔女のアイウさんも多忙でご苦労さん。

 行ってくりゃええよ。 あたし、留守番♪」


 ……と、そういうのが、日常になったってワケだ。

 なあ、少し前まで、あたしら敵同士で、ドンパチして◯し合ったンだけどさ。

 誰も居なくなった家の居間で寝転んで、人知れず笑う。


「くく……、

 良い家族、できてんぢゃねえの?」




 <完>


(……なあに、先週の日曜日が許せなかっただけさ。)


 男は言った。 この世のどこかで、人知れず。

 まあ、それはともかく、『青バラ』の君にだけ変化があった事件では

決してなかったのだよ、この物語は。


「アメツー、何か良いことあったのよ?

 口元緩むなんて、珍しいのよ?」


 仕事に向かう道。


「べ、別に、嬉しいとかじゃないのね!」


 同行する妹巫女に。


(例え、腹黒だろうが、ゲスだろうが……。

 自身に縋り付き求める、幼きその手に、どうか報いられぬものか。)


 男は考えた。

 下らぬそれとは知れども、男は考えていたけれどもさ、

取るに足らぬと置いておいて。


「当ててみせるのよ?

 アメツ……、ずっと、家族が欲しかったのよ?

 だから、やっと、そうと強く信じられるって思えた出来事があって、

 そうやって、笑っているのよ!」


 血の繋がらない『妹』として在る巫女と。


「別に、笑ってないのね、ツチホ!

 だから、何なのね? どうでも良いのね!

 とっとと、人の世の平和を乱す、不届き妖怪に天誅を下しに行くのね。」


 『赤バラ』の巫女少女は往く。 少し誇らし気で自信に満ちていた。

 胸には小さな羽根の付いたピンバッチ。

 男の知らない彼女の姿は、あんな男の愚にも付かない悩みの果てに

生まれたそうだが。


(どうか、優しい世界を生きて欲しい。)


 この世界のどこかに、そんな野郎がいるらしいと聞く。




2026/08/01

義援金なら喜んでお送りしましょうの道化師こと、Fhu-氏

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。