アフターストーリー 後編
これで、「就職希望先、探偵助手。」は完結です。最後まで閲覧いただき、本当にありがとうございます。
「セシルさんってオリビアのこと好きなんですか?」
帰り道、セシルがクロエを駅まで送る途中にクロエに不意に質問され、思わず足を止めた。
「いえ、私はそういうわけでは…家族のように大切に思ってますよ」
「そうなんですね。オリビアに対する態度があまりにも優しかったから、てっきり…」
茶目っ気たっぷりにクロエが微笑むと、セシルは苦笑いで返した。
「兄さんにも疑われました。姉さんは…私の昔の幼なじみに似ているんです。だから、つい彼女への対応が幼なじみと重ねてしまうのかもしれませんね」
セシルは2人の幸せな姿を見れて、本当に良かったと内心思った。かつての自分が叶えることが出来なかったことをリアムが代わりに叶えてくれたのだ。
「花、好きなんですか?」
「そうですね…好き、だと思いますよ」
かつては幼なじみの為にと選んでいたもの。時空を超えた今でも趣味になっているのだから、好きなのだろう、とセシルは納得した。
「私の住んでいるところに綺麗なガーデンがあるんです。良かったら、今度行きませんか?」
突然のお誘いに、セシルは内心驚きながらも、クロエの方を見る。
クロエは普通の表情をしていたが、耳が僅かに赤くなっていることにセシルは気づいた。
「そうですね…行きましょうか」
セシルは笑顔で応えるのだった。
リアムとオリビアは1日の業務を終えて、車で家に向かうところだった。
「今日も1日お疲れ様」
ドライブスルーで買ったカフェラテを飲みながら、オリビアは笑顔で応える。
「リアムさんもお疲れ様です!無事に娘さんが見つかって良かったですね」
今日は失踪事件を解決し、被害者を家族の元に無事送ることが出来た。
リアムも頷く。
暫く他愛もない話をしていると、オリビアはいつもと違う通りに出ていることに気がついた。
「あれ、リアムさん。何処かに寄るんですか?」
「ああ、少しね」
数分後、着いたところは夜景の綺麗なレストランだった。
「リアムさん、ここって…」
「今日は私達の記念日だろう?君が気になっているみたいだったからね。ここを選んだよ」
リアムにエスコートされて、オリビアはレストランの中に入る。
慣れない空間に緊張しながらも、食事を進めていくオリビア。そんなオリビアの様子に、リアムは優しく微笑んだ。
メインディッシュが終わるの、そこにはメッセージプレートに載った豪華なデザートが来た。
「オリビア、いつもありがとう。君が私に探偵助手になりたいと志願してきた時から、君には驚かされてばかりだな。君にはたくさんの探偵としての刺激と恋人としての幸せをもらった。君に出会えて良かったよ、探偵としても、夫婦としても、これからもよろしく頼むよ」
オリビアは顔を紅潮させて頷く。
(美桜…私、こんなに幸せになれたよ。自分の選択に不安になったこともあったけど、探偵助手を諦めなくて良かった)
オリビアは自分が思い描いた以上の現実に喜びを噛み締めた。
「オリビア・ワトソンは永遠にリアム・アルベールの探偵助手であり、奥さんですから!」
オリビアが笑顔で宣言すると、リアムも嬉しそうに笑うのだった。
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