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第73話:神宮寺麻里
もう「元カノ」なんて言葉にすがれる余裕は、私にはなくなっていた。
直也は――ホンモノの男だ。
だからこそ、周囲の女性をこれほど惹きつけるのは当然のことだった。
けれど、その当然を前にしても、私は退くつもりはない。
自分のすべてを賭けてでも、直也を取り戻すしかないのだ。
かつての愚かな見誤り。
あのときの小さな選択のツケが、今は際限のない大きさになって押し寄せている。
けれど、それでも私は負けない。
もう「ステークスホルダー」とか「情報共有」とか、そういう言葉を盾にしている場合じゃない。
私が直也に示すべきものは、ただひとつ――自分自身の愛だ。
逆に言えば、これからのGAIALINQは、そのチャンスに満ちている。
幾度も試練が訪れるはずだ。
そのたびに、直也のそばに立つことを証明していけばいい。
亜紀も玲奈も、もちろん強敵だ。
だが、仕事の上では真摯に協力し合える仲間でもある。
そのうえで――女としては、もうなりふり構わず、直也に向き合う覚悟を固めた。
私はもう迷わない。
次に直也と真正面から向き合う時が、勝負になる。




