安堵感に浸った時に地獄に落とすのもオツなもの
「樋口警視総監、唐突ですが、あなたの前に刃物を持った人がいて襲い掛かってきたらどうします?」
「お前だったらすぐに殺す、赤の他人だったら職質だ。」
さっきから何か悪いものにとりつかれたような目で太宰と会話をする樋口、それとは裏腹に大変悦楽に浸ったような口調で見事に激高する彼女の感情を逆なでする太宰。
コミュニケーションというのは大変大事なようで、口調、感情、発音だけでここまで人間の良心や自制心のアングルを狂わせてしまうものだと与謝野は改めて認識した。喉元から言葉一つ、いや赤子の無き叫びと同等な暴言だけを吐き散らしていた私とは格が違うということもしっかりと思い出したらしい。中途半端に電話を替わってしまって警視の名を名乗るのが恥ずかしくもなる。
「流石樋口警視総監、マトモな人間ということがよく伝わります。」
「国民の半分がお前みたいなやつだったらとっくに国なんて崩壊してんだよ!」
「そうですねえ、まあ雑談もこれぐらいにいたしましょう。樋口警視総監、江戸川彰警部について興味はありませんか?」
「ああ、御託はいいからさっさと彼の安否について話せ。」
「融通が利きますね。あなたにとってはアキラさんはさながら子供のような存在でしょうか?うちのあぐりもですねえ、いいえ、これ以上は言わないでおきましょう。」
忌々しい声が電波を伝って聞こえてくる。彼の独特な語尾がまるで警察自体を舐めているようで余計いら立ちが込みあがる。全く、太宰暦というのは日本が生み出してしまった最大の外道だな。もはや宗教的とも言っていい異常な思考回路がどんな環境を潜り抜け、どんな脳をしてたら生れてしまうのか、かのアインシュタインやシャーロック・ホームズでさえ解けない難問だろうな。
それに、夢野あぐりの事もある。近頃の連続的な大波乱のせいで、なぜかアメリアの存在が薄くなってきつつあるが(もちろん、メディアや政府的には大問題だが)、彼女を洗脳していた理由(とはいえまだ仮定だが)、今彼女はどんな状態でいるのか、気になって仕方がない。
「単刀直入に言いましょう。
江戸川彰は生きています。殺してなんかはいませんよ。」
人間ここまで心臓と精神に負担がかかると気絶とかを超えて、何かしら胃に問題が起きるということが分かった。とはいえ、ここぞという制止心でのど元あたりにとどまってくれた。
「は、はああ?」
そんな声に太宰がにたりと笑う。
何かを察したように、安ど感から地獄に落としてやるのも乙な物だと思っているかのように。
「生きていてよかったでしょう?
ま、環境としてはアウシュビッツより酷いかもしれませんがね。
今も・・・・・きっと地獄を見ている。」
出身地はアキラが静岡、暦が京都・舞鶴、カフカがシカゴ(殺人件数はアメリカ四番目の地区)といったところです。アキラに関しては静岡の田舎と都会の境目あたりのところに住んでいましたが、中学入学と共に寮生活。
ちなみに高校時の進路希望表は上から東●、●橋、慶●、(伝われ)。
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