着飾る色は深紅の血
少しマシになったかも
「姉さんがさ、初めて僕を殴ったとき、楽しそうな顔をしていたんだ・・・・・。その時気づいたんだよ、だれでも異常者になりゆるって。この世界は怖いよ、ね?そうでしょう、姉さん。」
有刺鉄線を奏の身体中に巻き、身体中が赤く染まっていく。その姿はまるで大輪の薔薇に包まれているようで、血で濡れて透き通った肌が、太宰の眼には非常に色気強く、美しく何億円の絵にも勝る情景であった。
「そっちの方が断然綺麗だし美しいよ、姉さん。その意味のない顔でも、人間ここまで映えることも可能なんだね。」
もう精神面でも肉体的にも人間的ではなくなってしまった哀れな姉の髪を最期にはと、綺麗に梳かして、柔らかく編んでいた。
たったの三十分の惨事で、髪はすでに老婆のように衰えている。
「こよみ・・・・。」
かすれた声にもならない声が部屋に響く。
「ん?どうしたの?姉さん。」
「ごめんなさい・・・・・・。」
最期の彼に対する懺悔なのか、あんなに残酷なことをした相手に謝罪の言葉を述べる。それは命乞いでもなく、ただ心の底からの謝罪、それだけだった。
その言葉に、奏の最期の想いを裏切るかのように、彼は目を細めた。
―――――何か、また壊してしまいそうな目だった。
「いまさら何謝ってんの?僕がされたこと、もっとしてあげよっか?」
もはや何が彼を震わせているのか、何が彼をこんな人格を立て上げさせたのか。
姉でも、それがよく分からなくなってきた。
「仕方ないなあ。もっと苦しめてあげる。」
彼女の髪から手を放し、自分が怪我することもいとわなく、有刺鉄線をつかみ、奏の首に巻き力を込めて一気に締め上げる。首の皮がプチプチとおぞましい音を鳴らしながら、数秒後一気に血が舞い踊る。もちろん喉は見事に円形の傷が出来上がり、大量の血が太宰の腕を伝って彼の襯衣を同じく濡らしていく。
奏はもう精神的にも肉体的にも声を出すことすらままならないため、人生最期の呻きも弟の耳には届かなかった。
そして、ついに夫と子供に続くように、奏の息は無くなった。
「呆気ねえ。もっと苦しませるつもりだったのに。」
有刺鉄線を手から離し、自分の手のひらに現れた深々とした傷を見つめる。
いつも人を汚させている手、今は自分で汚した手・・・・どっちも
心から愛しくて、憎ましい。
「さようなら姉さん。」
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