どうか、追い出さないで。
「今日からアキラさんと一緒に暮らすことになったから。この部屋、早く出て。」
レイエ様、いいや太宰からそう言われた。
さっき言っていた、一緒に逃げようの作戦の一部なのか。わからないけど、嬉しいのは違いなかった。
「はい、今すぐ」
「お前、アキラさんに少しでも手を出したら殺すからな。これだけでも感謝しろよ、クズが」
「ご好意に預かられて光栄でございます」
太宰を読んで地下室を出るための電話(電話機能しかないガラケー)だけを渡され、この最悪というような言葉では表せないようなひどい部屋を出た。
―――――――――
盲目だから全く彼の地下室は見えないが、匂いやエアコンの音でかなり快適な部屋なんだなということが分かった。
アキラは芯はかなり優しい人だということがよく分かった。
後天的な性格の悪さ・・・・。アキラも、私と同じなんだろう。
見えないから、しっかりとテーブルの椅子まで誘導してくれた。
アキラさんにも、あの首輪ついているのに、簡単にあの人に意見言えるってすごいな・・・。
最初の立場がそもそも違うけど、私なら泣き寝入りして監禁され続けるしかない。
「あの・・・・、ありがとうございます。
手当してくれたり、部屋に入れてくれたり。」
「大丈夫。俺がそうしたかっただけ。」
「ま、そうですよね・・・。あの、ひとつ聞きたいんですけど、いいですか?」
「なんでもどうぞ、てか、なんで敬語?同居人になるわけだし、全然ため口でいいよ。」
「う・・・・、あ、アキラはなんでそんなに強いの?私なんて誘拐されてから二時間も立たずに死にたくなっちゃった。でも、アキラは違うんだよ。今二十四時間立たないうちに酷いことが山ほどあったし、目だって奪われたのに、なんで・・・・、そんなに強くいられるの。」
声を絞り出して聞いてきた。
微かに頬が紅潮している。
「あぐりさ、なんか勘違いしてるかもしれないけどね。
俺だって、こんなクソみたいなところに監禁されて辛くないわけないじゃん。
泣きたくなったけど、それは俺のプライドが許さないっつーかさ。心理の問題さこれは。」
「―---そうだけど・・・。」
これ以上深く話が続くと面倒くさいことになりそうなので、一旦中断。
俺は太宰から預かった(用意してたのかこいつ)小3までの国語(ほぼ漢字)、算数、理科(必要ない)、のドリルを小3分と俺用のノートが教科ごと三冊、ペン数本ずつ(これは返さなくていいという伝言付き)を貰ったので早速取り掛かることにした。
「それより、お前と暮らす条件に、太宰から君の教育を申しつけられた。俺はこう言ったものになるとスパルタだからとりあえず、算数はどうだっていいから、常用漢字ぐらいはマスターしない?」
「それ、いわゆる勉強ってやつ?」
「ああ、こう見えて小中高の成績はトップだったんだ。得意科目は英語と現文だったが、まあ教えられる。
しっかり、ついてこいよな?」
「頑張るけど、私見えないからどうすんのよ?」
「いい質問だ。算数だったら簡単かもしれないが、漢字だったら話がちげえよな。
つーことでかなり地道な勉強になってくる。おいあぐり、手出してみろ。」
何をするかわからないが、手を差し出す。
すると・・・
「きゃっ!」
「おい変な声出すんじゃねえ。」
アキラが私の手を触って掌に指で何やらよく分からない文字(?)らしきものを書いていく。いきなり冷たい手で書かれたことで変な声を出してしまった。
「ご、ごめん‥‥、今、何書いたの?」
「夢野あぐりの夢の字。草冠に四角みたいなやつ書いて、その中に二つの線。まあそういうことより、感覚で覚えて言った方がいい。どうだ?いったん自分の名前ぐらい書けるようになりたくないか?」
「------、うん。覚えたい。」
「じゃあ、何回か書いてみるから感覚つかんでみろよ。」
「う、うん!!」
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