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攻撃特化と守備特化、無敵の双子は矛と盾!  作者: 天眼鏡


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瞬間、貫いたもの

 もちろん、そうした方が良い──というより姉へああ言った手前そうすべきなのはフェアトとしても分かってはいる。


 だが彼女はすでに、並び立つ者たち(シークエンス)を見逃した事がある。


 単に害がないと判断したからか、それとも自分の境遇と重なって見えたからかは定かでないものの、これが初めてではないのだから今さら躊躇するような事はない。


 尤も、あの二人は【女喰らい】に殺されたらしいのだが。


 ……閑話休題。


「ひとまず、この闘いを終わらせます。 降参しなさい」


「畏まりました、フェアト様♡」


「……その名は口にしないように」


 とにもかくにも『ここじゃなくてもいい』と判断したフェアトからの降伏勧告を受けたウルスラが満々の蕩け切った笑みで了承した直後、土塊のドームが音を立てて開いていき。


『おっと、何やら話し合っていたかと思えば闘わずしてドームが開いていくぞ!? この数分で一体何が起きたんだ!?』


『舌戦、という事なのでしょうか? いや、しかし……』


(グチグチ言われそうだなぁ、何て言い訳しよう)


 透視のような形で内部の様子を固唾を飲んで見守っていた観客や実況者たちが突然の事態に驚いたり困惑したりしているのをよそに、フェアトが姉への言い訳を考え出す一方で。


「皆々様、どうかご静聴を。 私は降──」


 降伏勧告に欠片も逆らう素振りを見せぬまま、シルドの攻撃で露わになった胸の前で両手を組み、祈るような姿勢でウルスラが試合を降りんとした──まさに、その瞬間だった。


「──ふ、あ……?」


「……は?」


 ウルスラの額を、赤熱した一筋の弾丸が貫いた。


 まるで、フェアトが撃ったかのような軌道で貫いた。


 その弾丸の名は、【火弾バレット】。


 シルドが持ち得ない、火属性を纏った魔力の弾丸であり。


『な……ッ!? 何かを会場へ伝えようとしたウルスラ選手の脳天を、無慈悲な炎の弾丸が貫き……これは……死……?』


『あの数分で、不死身の攻略法を究明していた……?』


「な、にが……」


 糸が切れた操り人形が如く仰向けに倒れたままピクリとも動かない修道女の姿に会場の者たちは皆、同じ疑問を抱く。


 あの不死身にも等しい回復力の【光癒ヒール】はどうした? と。


 そして、〝ひとたび疑問が湧くと絶対に解消せずにはいられない〟悪癖を持つフェアトも例に漏れない筈であったが。


 彼女は今、それどころではなかった。


(私じゃない、シルドでもない……【火弾バレット】、って事は──)


 生かすかどうかを悩んでいた元魔族が、自分でもシルドでもない第三者の手で殺された事を何より疑問に思っており。


 また生かせなかった──という後悔の気持ちも以前ほどとまではいかないものの確かにあったが、それよりもまずはウルスラを殺害せしめた魔法が火属性であった事実に着目し。


 まさか、とフェアトは観客席へ視線を移す。


 正確には、闘技者用の席に足を組んで座る少女へ。


 しかし、その少女はフェアトの予想に反して──。


「──……」


(姉さんでもパイクの独断でもない……!? じゃあ誰が──)


 首を、ふるふると横に振った。


 スタークがパイクに命じたわけでもなかったようだ。


 だとしたら、とフェアトが思考の海に沈みかけていた時。


『──と……ッ、ともかく決着です! 方法こそ不明瞭なままですが不死身にも似た回復力を持つ修道女を確かに討ち倒して勝利を掴んだのは! 【無敵の盾】、シルド選手だァ!!』


「「「お、おぉぉ……」」」


 責務を果たさんとする為か、それとも単にこの微妙な空気に耐えられなかったのか、フェアトの勝利を告げた彼の叫びに対して返ってきたのは覇気のない歓声と乾いた拍手だけ。


(何この後味の悪さ……いや、これで良かったんだけど……)


 ともかく、フェアトは二回戦を勝利で終え。


 Aブロックの決勝へ駒を進める事になったのだった。











(……()()()()? パイク。 ()()()から目ぇ離すなよ)


(りゅあぁ)

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