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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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516 仲裁

フィール視点です。

 私達も拠点へと帰ってきた。

 皆は夜ご飯を準備してくれていたり、契約してきた魔物達を誘導したりしてくれている。


「ミララっ! ミララはどこだ!」

「おかえりフェルル。ミララはここだよ!」

「フェルル、おかえり……無事?」

「あぁ! ミララは大丈夫だったか? 何もされてないか?」

「うん……」


 フェルルは帰って来て一番にミララの事を探し始めた。

 ダンジョンにいた間もずっと心配していただろうし、早く会いたいんだろう。

 ミララはリーナと一緒にいたようで、リーナがフェルルを呼び、互いの無事を確認し合っている。

 私には兄妹の微笑ましい光景に見えるけど、案の定アキナ様は、その光景に冷たい視線を送られていた……


「ジェニ、小鍋ある?」

「あ、はい! ありますよ! どうぞ」

「ありがとう」


 急にジェニから小鍋を受け取られたアキナ様は、そこにオラジールジュースを入れられた。

 そして、解体されたハイボーアの肉を少し持たれると、


「ミララ、着いてきて」


と、ミララだけを呼ばれた。


「はい……」

「ちょっと待て! ミララをどこに連れていく気だ!」

「どこでもいいでしょ?」

「よくないっ! 俺も行く!」

「別にフェルルは来なくていいわ。ミララだけでいいもの。ミララ行くわよ」

「ふざけるなっ!」

「何回言わすの? 私はふざけてないって」


 また喧嘩が始まってしまった……

 アキナ様のお考えが分からないと、仲裁のしようがない……


「フェルル、大丈夫。私、行ってくるから……」

「俺も行く」

「でも……」

「フェルルは来なくていいって」

「うるさいっ! ミララを何処へ連れていこうと、絶対に着いて行くからな!」

「フェルル、落ち着いて。アキナ様、何処へ行かれるのですか?」

「調理室よ」


 アキナ様は本邸の中にある調理室へ向かわれるみたいだ。

 まぁ、オラジールジュースの入った小鍋と、ハイボーアの肉を持っておられるんだから、何か料理をされるんだろうとは思ったけど……


「何故、ミララだけなんです?」

「ミララが食べれるご飯を作らないといけないでしょ?」


 ミララが食べれるご飯?

 どういう事だろう?


「ミララに何を食べさせる気だ!」

「そんなの、作ってみないと分からないわよ。じゃ、行くわよミララ」

「はい……」

「俺も行くからな!」

「はぁ……まぁいいわ」


 フェルルが着いて行くといって聞かないので、アキナ様も諦められたみたいだ。

 でもこの3人だけにしてしまうというのは、心配でしかない。


「アキナ様、調理室でよろしいのですよね? ≪テレポート≫」

「あら、ありがとう。フィー」


 私も着いてきていておかしくない状況にするために、≪テレポート≫で調理室へと移動してきた。


「ミララはそこで座って待っててくれればいいから」

「はい……」


 アキナ様はキッチンを使い、持ってこられたオラジールジュースの入った小鍋を火にかけておられる……


「アキナ様? 何か手伝う事はありませんか?」

「うーん? じゃあそのお肉、軽く焼いてくれる?」

「かしこまりました」


 妖精種が火をそこまで苦手としてはいないという事は分かったけど、それでもフェルルとミララは火によって故郷を焼かれている。

 だからあまり大きな火にはしないように気を付けながら、ハイボーアの肉を焼いた。


「フェルル、火……」

「あぁ、あいつ知ってるんだよ。俺達が火には抵抗がないことを……」

「そう、なんだ……」


 後ろでフェルルとミララが話している。

 いつもなら怯えた演技をするところで、フェルルが何もしていなかったから、ミララは疑問に思ったんだろう。

 ミララはぼーっと火を見ているみたいだけど、怯えている様子はない。


「でもやっぱり……火を見てると、思い出しちゃうね……」

「ミララ……」


 かなり弱火でやっているつもりではいるけど、火である事に変わりはない。

 妖精種が大火でなければ大丈夫なのだとしても、やっぱりフェルルとミララの前では、なるべく火は使わない方がいいな……と、私が考えていると、


「思い出す事自体は、何も悪い事ではないわ。でも、その記憶に囚われ過ぎないようにね……」


と、アキナ様は仰られた。


「あの……?」

「過去に囚われて、怯えて、何も出来なくなってしまってはいけないという事よ。分かる?」

「……はい」


 視線は冷たいし、口調も淡々とされているけど、それでもアキナ様は真っ直ぐにミララを見つめながら話されていた。

 ミララも少し動揺はしているみたいだけど、返事を返している。


「お前等人類種のせいなのに、よくもそんな事が言えたな!」


 でも、アキナ様の発言はフェルルの気に障ってしまったようで、フェルルは怒っている。

 これはまた、どうしたものかと思っていると、


「一緒にしないでって、言ったわよね?」

「なっ!」


ドガッ! 


「あがっ!」


ドサッ……


「ア、アキナ様!? フェルル、大丈夫? ≪ヒーリング≫」


ダンジョンの時と同様に、アキナ様はフェルルの額を指で弾かれた。

 しかも今回は威力が大きかったようで、フェルルは壁まで飛ばされてしまった……

 急いでフェルルに駆け寄って≪ヒーリング≫をかけたけど、気絶してしまっているみたいだ……


「これでうるさいのが静かになったわね」

「アキナ様、やり過ぎですよ……」

「そうかしら? じゃあ次は気を付けるわね」

「そうしてあげて下さい……」


 こんなミララの前でフェルルを攻撃するだなんて……

 ミララの心境は大丈夫だろうかとミララの方を見ると、ミララが悲しそうに笑っているように見えた……

 ミララは今の出来事を、どういう心境で見ていたんだろう?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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