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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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514/1451

514 解釈

フィール視点です。

 妖精種にとっての火とはどういうものなのかをフェルルが教えてくれた。

 妖精種は大火をみると身体が動かなくなってしまうけど、≪フレイム≫程度の火ならばどうという事はないらしい。

 そして、人類種が妖精種は火を苦手だと勘違いしている事を利用して、自らを守って生きているのだと……


 そんな事を可能にさせたのが、ティーチだ。

 ティーチは、種族の特性の本に妖精種が炎魔法を苦手としている事を記し、自らが妖精種は火を見ただけでも恐れるという間違った情報を広めたのだという。

 その頃は妖精種は世界の1ヵ所に集合しており、全ての妖精種がその事実を知っているのだとか……


 そして、そんな妖精種にしか得にならない事を、妖精種以外がするわけがない。

 だから妖精種達には、ティーチは妖精種だと思われているみたいだ。

 それもフェルルの口振りから察するに、かなり敬愛されているんだろう。


 この話には、整合性はある。

 でもなんだろう?

 何か、違和感がある……


「おい、どうした? 急に黙って」

「あ、その……私はティーチを人類種だと思っていたから……」

「はぁ!? どう考えたらそんな事が思えるんだっ!」


 またフェルルを怒らせてしまった。

 ティーチを大切に思っていて、人類種を憎むフェルルに、ティーチは人類種だなんて失礼過ぎたんだ……

 でも、これはフェルルにもちゃんと話しておかないと。


「あのね、フェルル。人類種は他種族の事を調べていたからこそ、戦争に勝利したわ。だから、戦後の疲弊した世の中で、"種族の特性"なんて本を書くことが出来たのは、人類種だけだと思うの」

「なっ! ……確かに」

「それに、ティーチは本当にたくさんの本を書いていて、その影響で一番発展しているのは人類種なのよ」

「ティーチの本が、たくさん?」

「魔力の活用法の本とか、魔物に関する本とか……」

「そんなの、あるのか……?」

「えぇ。人類種の国には、ティーチの本は本当にたくさんあるわ」


 ティーチがたくさんの本を書いているという事を、フェルルは知らなかったみたいだ。

 人類種達から隠れ住む他種族達には、外の情報を得る機会が少なくなる。

 だからこそ、知らない事だらけなんだ。


「……あっ!」


 やっと分かった!

 さっき感じた違和感が!


 いくら過去で1ヵ所に集まっていたとしても、今のように外界とは隔離された状態の妖精種が各地に存在しているのでは、ティーチの話の伝わり方だってずれてくる。

 伝える人が違うのだから。

 それに、フェルル達のように故郷を失った者や、人類種達によって無理やりに産み出された妖精種だっているはずだ。

 そうなってくると、火を見ても怯える演技をしない妖精種だって現れてくる……

 それなのに、未だ人類種達には妖精種に火が弱点だと思われている事がおかしいんだ!


 それにさっきのフェルルの話……

 例えティーチが全世界をまわり、妖精種が火を恐れているという間違った情報を広めていたのだとしても、それが伝わっていくのは精々100年程だろう。

 書物として残っているわけでもない話なんて、忘れられていくものだから。

 それが今も伝わっているのだとすると……


「……い、おいっ!」

「えっ?」

「急に大声を出した癖になんなんだ! 何かに気づいたんなら、ちゃんと話せ!」

「あ、うん。ごめんね……」


 ちゃんと話せと言われても、私自身、まだ自分の考えが纏まっていない。

 半端な仮説をフェルルに語る訳にもいかないし、何より私が今考えている事は、フェルルがずっと信じていた歴史を変えてしまう事にも繋がる事だから……

 とはいえ、何も言わないわけにもいかないし……


「フェルル……」

「なんだ?」

「多分だけど、アキナ様はティーチと関係のある方よ」

「あいつが……」

「でもその事については、詳しく教えて下さらないわ」

「……」

「だから私も色々と調べている途中なの」

「調べてるって……お前、あいつの仲間って訳じゃないんだな」

「仲間……」


 フェルルは何度も私をアキナ様の仲間だと言っていた……

 私にとってアキナ様は、仲間というよりは目指すべき目標のような方だ。

 だけどアキナ様からしたら、私は一体なんなんだろう?

 仲間、なんだろうか?


 いや、違う……

 仲間なのなら、もっと頼って下さるだろう。

 隠し事もせずに、何でも話して下さるだろう。

 無理に笑ったりもせず、思いっきり泣いて下さるだろう……

 フェルルとミララの事だって……


「フェルル……私は、私はね、アキナ様の仲間になりたいのよ。アキナ様が抱えている問題を共に背負い、解決していけるような、そんな存在になりたいわ」

「ふーん……変な奴」


 私とフェルルの前方を歩くアキナ様は、ゴゲゴゲと鳴くハイヘェンターに囲まれているけど、それでも今の私達の会話くらい聞こえていたはずだ。

 なのに何も仰っては下さらない……


 アキナ様から私達がどう思われているのかなんて、考えるまでもない。

 私達は"奴隷"だと思われているんだ。

 嫌でも主人に従わなければいけない、哀れな奴隷だと……


 でも、アキナ様にどう思われていようと私のやるべき事は変わらない。

 私は私の目標に向かうだけだ。

 その目標の先で、必ずアキナ様の勘違いを正してみせると決めたんだから。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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