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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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510/1452

510 解呪

フィール視点です。

 契約魔法に失敗して、フェルルが弾き飛ばされてしまった。

 しかもフェルルの手は真っ黒になってしまっている……


「フェルル、その手……」

「う、くそっ! 動かない……」

「全く、しょうがないわね……」


 アキナ様はそう呟かれて、フェルルの黒い手に触れられた。


「何するんだっ!」

「治すのよ」

「何?」

「だからじっとしてて」

「……」


 アキナ様はフェルルの手を調べるように触れられている。

 フェルルも仏頂面ではあるけど、抵抗はしていない。


「アキナ様? フェルルさんはどうしてこうなってしまったんですか?」

「魔力切れで邪気を抑えられなかったから、暴走した邪気がフェルルの手に取り憑いてしまったのよ。この現象を"呪い"というのよ」

「呪い……」


 呪いについては、ウィザルド国で習った事がある。

 今回の場合のように魔物から邪気を受けてしまう場合と、呪われた道具に触れてしまう事で受ける場合があり、解呪をしない限りは永遠に呪われ続けるものだ。

 呪いの種類は多く、どんな呪いなのかが正確に分からない限りは解呪も出来ない。


「アキナ様、どうですか?」

「うん、大丈夫。治せるわ。でも、私の魔力を使う訳にはいかないから、ちょっと待ってね」


 アキナ様は短刀で地面に術式を彫られてから、その術式の上にフェルルの手を置かれた。

 フェルルは手を無理やり引っ張られるような形になってしまったというのに、何故か無抵抗だった……

 無抵抗というよりは、呪いのせいで抵抗出来なかったのかもしれないな。


「フィー、ここに魔力を流してくれる?」

「はい、かしこまりました」


 私がアキナ様の術式に魔力を流すと、術式が光り、光りの粒子がフェルルの黒い手に纏わりついていく……

 だんだんとフェルルの手が元の色に戻っていき、


「あ、動く……」


と、フェルルも自分で手を動かして、驚いていた。


「さてと、じゃあもう1つの問題も解決させましょうか」

「え? もう1つですか?」

「さっきも少し話したけど、契約呪文は唱えている途中で止めてしまうと、中途半端に契約されてしまうのよ。だからあのハイヘェンターは今、半分契約された状態になっているわ」

「それって、契約者本人にも解除出来ないっていう……」

「そうそう」


 中途半端に契約された魔物というのは、どう動くかが予想出来ない。

 魔物は基本的に邪気を抑えれば攻撃してこないけど、あのハイヘェンターにはまだ邪気が残っている。

 つまり、いつ攻撃してくるか分からない危険な状態なんだ。


「どうやって解決するんだ?」

「今回は、契約主が鉱石だからね。その鉱石を壊せばいいのよ」

「なんだ、そんな事なら簡単……」

「簡単じゃないわよ? 試しに壊してみて」

「え?」


 アキナ様は拾った鉱石をフェルルに渡された。

 契約済みの淡く光る鉱石とは違い、黒々とした石になってしまっている……

 これは、鉱石も呪われているという事だろう。


ガンッ! ガンッ!


「かた、全然壊れないな……」

「フェルル、それ貸して。私も挑戦してみたいから」

「……ほら」


ガンッ! 


 固さに興味があったので、フェルルから鉱石を受け取って試してみた。

 本当に固くて、傷1つついていない……


「ね、そんな簡単じゃないでしょ?」

「じゃあどうするんだ!」

「方法としては、術者に何を契約媒体として使ったのかを聞いて、別の術者が解除するというのが一般的ね。もしくは、契約した術者よりも力が上の術者が、契約ごと壊すという方法もあるわ」

「アキナ様が私達の奴隷印を解除して下さったのと、同じ方法ですね」

「そうね」


 契約魔法は本来、契約をした当人しか解除する事はできない。

 でも、その術者の力を凌駕する力があれば、契約そのものを壊すことが可能になるらしい。

 結界だって、使われている魔力の倍以上の魔力があれば壊せてしまうものだし、膨大な力というのは本当に恐ろしいものだと思う……


「俺が何を媒体にしたのかを、お前達に言わないといけないのか?」

「別にいいわ。今回は私がその鉱石を壊してあげるから」

「なっ、壊せるのか?」

「えぇ」


 こんなに固くなってしまっているけど、アキナ様なら簡単に壊せるだろう。

 フェルルは驚いているけど、私達にとってはそこまで驚く事でもない。

 でもこれは、アキナ様に頼りすぎているのと変わらない……


「申し訳ございません。私達の力不足で……」

「別に、あなた達の力不足という事はないわ。壊した方が早いから壊すというだけよ? フェルルよりフィーの方が力が上だから、フィーならあの契約を壊すことだって出来るからね」

「私に、契約が壊せる……?」

「えぇ。でも、それだとかなりの魔力を使ってしまうから、手っ取り早く私が壊そうかなってだけ」

「そうなんですね……」

「……バカにしやがって」


 私がアキナ様に頼らずとも、自分達での解決方法があった事に安堵している横で、フェルルはかなり不貞腐れていた。

 そんなフェルルに、


「フェルル。今やって分かったように、契約に失敗した時、フェルル1人ではどうする事も出来ないの」


と、アキナ様は冷たく仰られた。

 でもこの冷たさは、冷静に、フェルルに危険なのだという事を、分かってもらおうとされているからこそのものだろう。


「もう無理はしないようにね」

「……」

「返事は?」

「……分かった」


 不貞腐れたままではいるけど、フェルルはちゃんと返事をしてくれた。

 呪われるなんていう事故も起きてしまったけど、今のやり取りで、フェルルのアキナ様に対する見方もかなり変わったみたいなので、それは良かったと思えた。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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