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奴隷の国  作者: 猫人鳥
4章

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494/1457

494 思考

フィール視点です。

 ミララにお風呂へ入ってもらい、出てきたところでリーナが持ってきた服を着てもらった。

 乱れていたブロンドの髪も綺麗に整って、窓から注ぐ日の光に反射し、キラキラと輝いている。

 髪質がアキナ様と似ているみたいだ。

 本当に可愛らしい女の子だと思う。


「あの……ありがとう、ございます」

「気にしなくていいのよ。お昼ご飯は外で作ってるんだけど、部屋まで持ってきましょうか? それとも外へ行く?」

「あ……えっと、フェルルを起こしたく、ないので……外へ行きます」

「そう。じゃあモーネ、よろしくね」

「はい」


 フェルルの事をモーネに託し、ミララと一緒に本邸から外へ出た。

 外では皆でお昼ご飯を作ってくれている。

 火を使わないようにというのを気にして、カイは≪ファイヤー≫の代わりに≪サンダー≫を使って食材に火を通しているみたいだ。

 ただ、≪サンダー≫は生活魔法ではないので、威力の調整がかなり難しいと思う。

 魔力の調整が得意なカイだからこそ出来る事だろう。


「おっ! こりゃまた可愛らしい子が来たな!」

「本当だ! ミララちゃん、だったか?」

「よろしくねー!」

「もう動いて大丈夫なの?」

「あ、あの……」


 私とミララが出てきた事に気づいた皆が寄って来た。

 でもいきなりすぎて、ミララが困惑してしまっている。


「大丈夫よ、ミララ。皆ミララが来てくれた事が嬉しいだけだから」

「急に驚かせてごめんね」

「まぁ、ゆっくり慣れていけばいいよ」

「はい……」


 ミララが困っていると皆も察してくれたようで、離れていった。

 ミララは戸惑いつつも辺りを見渡して、カイを見つけるとカイの方をずっと見ていた。

 やっぱりカイの事が気になるんだろうか?


「さっきも少し紹介したけど、あの天喰種はカイよ。カイの事、何か気になるの?」

「あ、その……さっき、フェルルと喧嘩してて……その……」

「それを気にしていたのね。大丈夫よ、カイはもう怒ったりしていないわ。フェルルの気持ちもちゃんと理解しようとしているから」

「え……そうなん、ですか……」


 さっきは、フェルルと言い合いになってしまっていたところを私が≪スリープ≫で寝かしてしまったから、それを気にしていたんだな……


「カイはね、アキナ様の事が大好きなの。まぁ、この島にいる人達は皆アキナ様の事が大好きなんだけど、カイはその……」

「恋愛、対象として……って、事ですか?」

「ふふっ、そうね。見ていて分かった?」

「はい……」


 来たばかりのミララにも分かるほど、カイは分かりやすかったみたいだ。


「だからカイはね、いつもは優しくて穏和なんだけど、アキナ様の事になるとちょっと冷静さを失っちゃうのよ。さっきは本当にごめんね」

「いえ……あれは、フェルルが悪いので……」

「でもフェルルだって、いきなりあなた達を離れ離れにするなんて言われたんだもの。アキナ様を恨んでも仕方がないわ」

「……」

「ミララ?」

「え、あぁ……そうですね……」


 ミララは少し俯いて、何かを考えているみたいだった。

 2人を引き離すような発言をされたアキナ様に、フェルルが怒るのは当然の事だ。

 それに対してミララはそんなに怒っているようには見えない……

 離れ離れにされる事を"仕方のない事"だと、諦めてしまっているんだろうか……?


「あ、ミララさん。動いて大丈夫なんですか?」

「はい……あの、フェルルが……ごめんなさい……」

「え?」

「カイ、ミララはさっきの事を気にしているみたいなの」

「あれはその、俺も感情的になってしまいましたし……俺の方こそすみませんでした」

「……いえ」


 私達に気づいたようで、カイが近寄ってきてくれた。

 ミララの謝罪に対し、カイも謝罪しているので、これでカイがもう怒ってはいないと伝わっただろう。


「これが今日お昼ご飯、フッシュのトマー煮込みですよ」

「ありが、とうございます……」


 カイがミララに渡した料理を、ミララは少しずつ食べていってくれている。

 まだ震えながらだし、私達の事を警戒しているようだけど、それでも出した料理を食べてくれているのだから、少しは落ち着けたんだろう。


「おかわりもあるわよ」

「いえ、大丈夫……です」

「遠慮しなくていいのよ?」

「本当に、大丈夫ですから……」


 あまり食事をもらえていなかった可能性もあるので、出来るだけ食べて欲しいと思ったけど、ミララが拒否する以上は無理強いは出来ない……

 ちゃんとお腹が満たされているといいけど……


「あら? ミララ、起きていたのね」

「アキナ様! おかえりなさいませ!」

「うん、ただいま」


 ミララを心配しながら食事をしていると、アキナ様が帰ってこられた。

 相変わらず、いつ、どうやって帰ってこられたのかは分からない……


「……ア、キナ様……」

「何?」

「えっと、その……いえ、なんでも、ありません……」


 ミララはアキナ様に何か言いたい事があったようだけど、言うのをやめてしまった。

 アキナ様の雰囲気も少し冷たい感じがするし、怖かったのかもしれない。


「なんでもないのね?」

「はい……」

「ミララ? 何か言いたい事があるのなら、言っていいのよ? アキナ様はちゃんと聞いて下さるから」

「いえ……本当に、大丈夫です……」

「そう……」


 アキナ様の事を怖がってしまっているようだし、もう言いたかった事は言ってくれないだろう。

 食事も食べてくれたので、それなりに私達に慣れてくれたかと思ったけど、この様子ではまだ落ち着くまでは時間がかかりそうだ……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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