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無双

普段なら決してしないミスだった

子供に気を取られたアランは一瞬ではあるが戦場で棒立ちになった。


コツン


背後から足音が聞こえた時には手遅れだった

ハッとして振り向くが、忍び寄った賊の剣は既に自分に向かって振り下ろされていた。


躱せない、受けるのも間に合わない

アランは次に迎える痛みを覚悟して歯を食いしばった



「は?」


それは賊の声か、アランの声か

どちらも間抜けに口を空けて呆けた


十数メートル離れた馬車の屋根に立っていた子供が

アランと賊の間に割り込み、賊が剣を持つ手を掴んで止めていたのだから。


有り得ない速度、そして有り得ない力を有していた

賊は剣を両手持ち、体格も180は超えているだろうに

どう見ても120あるかないかの子供が片手で止めていたのだ。


そして、


「アランを、いじめるな!」


見事なアッパーカットが賊の顎を捉えた

一瞬、賊の足が地面から離れたのは気のせいではない

強烈な一撃を受けた賊はそのまま昏倒した


アランは不覚にも二度目の大きな隙を作りそうになってしまった


いじめるなって、子供の喧嘩か!?


気の抜ける言いように、更には疲労も手伝って

カクリと膝を折ってしまいそうになった。

いやいやと気を取り直すアラン


「君は・・・、あれっ?」


声を掛けた瞬間、子供は再び掻き消えた


「ぐおっ!?」


また違う場所に子供は移動していた

やはりとんでもない身体能力だ、目の前からは消えた様にしか見えない

離れて俯瞰することで、漸く捉えられる程の速さだ。

子供は護衛騎士と対峙していた賊を後ろから蹴っ飛ばし、剣を叩き落とし、腕を捻りあげる

数を頼みにしていた賊がどんどん減っていく



「味方、なんだよな?」


共に戦っていた騎士が呆然とアレンに話しかけるのも無理はない。



「こんにゃろー!」

ドカーン!

「うわー、なんだこの子供!?」

「味方?味方だよな?」

「馬鹿みたいな強さ、団長の隠し子じゃねえの!?」

「なんだか知らんが今だ押せ押せーっ」


戦斧を持った手練の巨漢さえも子供に足を掴まれて振り回されていた

巨漢を武器に他の賊を薙ぎ倒していく姿は悪夢である

多分味方(?)であるアランでさえも現実にちょっと追い付かない・・・



誰かが言った「なんだか知らんが押せ」の言葉は的確に今の状況を表している

謎の子供のお陰で戦況はひっくり返った

なんだか知らんが今が好機だ!


アランは若干なげやりになりつつ剣を持ち直し応援に走った。





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