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第三話 未来:3

『チュートリアル6. 〈マップの使い方を覚えよう〉。マップの項目を選択して下さい』

パソコン殺しのマップキター!……いよいよ本格的になってきたな。マップの作りがかなり細かいし。ただ地図とは違いこのマップのみが表示しているのは矢印のシンボルと緑の四角のシンボル、それに白線がある。

『自分の向きと場所は矢印のシンボルで表示され、青い丸シンボルは味方、赤い丸シンボルは敵、緑の四角シンボルは銃弾や銃が置いてある場所、白い線は障害物となります』

この世界において敵は限定されている。つまり赤い丸シンボルがゾンビと言えるな。

『次に拡大縮小するにはマップの上にある+ボタンを押すことで拡大、-ボタンで縮小が出来ます』

ほうほう、縮小と。ありゃ、青い丸シンボルが表示されたのに赤丸シンボルが表示されないな。もしかしてここの島って安全なのか? そう思いながら縮小し続けると青丸シンボルや赤丸シンボルが表示出来なくなったのか消えた。別のところを拡大すると大雑把に地図が書かれているが青い丸シンボルや赤い丸シンボルは当然のことながら、緑の四角シンボル、障害物や道なども書かれていない。使えない……などと思っているとここがわりと島の端の方だとわかり、現在位置が把握出来たので良しとしよう。

『最後に目的地の設定方法。マップの目的地設定を選択して下さい』

目的地設定を選択すると紫のピンがマップの上に現れ、すぐにでもマップに刺しそうだ。

『それでは近くの駅にピンを刺しましょう』

ゾンビがいる世界で駅なんてある、いや使えるのか? などと考えながら駅、駅と念じるとひし形の中に電車が描かれた標識が現れ、紫のピンをそこに移動する。しかしどうやって刺す……あ、念じればいいのか。

『チュートリアル6. 〈マップの使い方を覚えよう〉クリア。目的地を設定することで最短ルートでその場所に案内してくれますので活用してみましょう』


『チュートリアル7. 〈ゾンビを倒しに行こう〉。それではゾンビを倒しに行きましょう』

いよいよゾンビか。これは予想がつくぞ。銃を持ってゾンビの場所まで移動するんだろ?

『それでは車で移動しましょう』

……それは流石に予想外だった。第一俺の年齢で車の運転なんてしたら即逮捕だろ? そこんとこどうなの?

『その心配はご無用です。西暦2048年から年齢13歳以上であれば運転免許証がなくとも4t以下の普通自動車なら誰でも運転が出来ます』

そう言えば法律も変わっていたんだった。てか俺の疑問に律儀に答えてくれるあたりかなり親切だよな。

『それでは乗り物関係のデータをインストール致します』


データをインストールしている間、俺の頭の中に車についての知識が入ってくる。この時代の車は海水を原動力に変えるエンジンが登場して以来、それを搭載している車は全体の9割を占める。残り一割はガソリン車や電気自動車ではない。ガソリン車や電気自動車は博物館にあるくらい古い物で誰も乗らないからだ。じゃあ残りは何かというと空気をエネルギーにする空気自動車だ。空気なら誰にも迷惑かけないし、車にエネルギーとなる空気を詰め込む専用の道具さえあれば無料かつ手軽に行える。海水も無料だが手間がかかるし妥当なんだが、未来の技術がここまでいくとは思わなかったよな……等と考えていると『インストールが完了しました』の文字が現れインストールが完了したことをアナウンスが知らせてくれる。

……ふぅ、さっきまでは運転が出来なさそうだったのに今となってはプロ以上に出来そうだ。何て補正パワーだ! ぱねぇっ! ……やめよう。これ以上誉めても皮肉にしか聞こえない。

『それでは車を運転し、チュートリアル6で先ほど設定した場所に移動して下さい』


メニューコマンドを閉じ、ハンドガンを装備品袋に入れ、車に乗る。エンジンをかけ、サイドブレーキを外しギアをDにしてハンドルを握りアクセルを踏む。MTならサイドブレーキを外した後にクラッチを押してギアをニュートラルから1にしてからゆっくりと半分まで踏んだ状態、所謂半クラにしてアクセルを踏む段階が必要だが、この車はATだ。クラッチがないため半クラという言葉も死語だ。


しかしこの車は一体誰の車なんだ? 俺の車なのか? まあ、あの家に誰もいなかったし、泥棒したとしても問題はねえよな。ましてやゾンビだらけのこの世界で車を捨ててで逃げられるなら逃げるよな。物ってのは有効活用して初めて価値が生まれるんだ。飛行機だって飛ばなきゃただの鉄屑だ。


『目的地につきました』

もう目的地か速いな……まあ車で作業を除いて4、5分くらいしか移動してないから速いのは当たり前か。

『ゾンビがどこからか駅に湧いて来ました。このままでは外に出ることは出来ません。ゾンビを倒して駅を使えるようにしましょう』

駅が使えなくしているのはお前だろうが! とツッコミたかったがそうもいかない。チュートリアルに逆らっても延々とループするだけだ。


『ゾンビの倒し方は一定のダメージを与えることにより倒せます。頭や心臓を銃を撃つことで大抵のゾンビが死に、残り少数のゾンビでも大ダメージを与えることが出来ます』

その頭を撃っても倒せないゾンビってなんだよ? 中ボスポジなのか?


そしてゾンビ達が俺に気付き、近寄る。ゾンビ達の特徴は定番というか、肌や髪などが灰色で染まり、目は血のように赤黒い。……特殊メイクとかそんなものがまだ人間と判断してしまうほどにどこからどうみてもゾンビ。その人間離れした特徴があることからボロボロの服を身に纏っていても殺すことに何の罪悪感もないし湧きもしない。仮にも元々は人間だから罪悪感が湧くという奴はゾンビの感染を止めてから言えよ。ほとんどの連中はあれが怖くてゾンビを殺しているんだからな。


「試したいことがあるな……こいつらで試してみるか」

そして俺はメニューコマンドを開く。試したいこととは俺がメニューを開いている間、ゾンビが動くかどうかってことを知りたかった。ゾンビが動くようなら僅かコンマ数秒でメニューコマンドを操作しなくてはならなくなるし、ロードしている間に殺されるかもしれない。


しかしその心配も杞憂に終わりそれまで動いていたゾンビが硬直したことでメニューコマンドを開いている間は俺以外の時間が止まることが理解出来る。

「このまま銃を撃てるのか?」

そして二つ目の疑問が浮かび上がる。この状態で発砲出来るのかという疑問だ。俺以外の時間が本当に止まっているのなら空気が固定され呼吸も出来ないはずだ。しかし俺は難なく呼吸も出来ているし言葉も発することが出来ている。むちゃくちゃだとしか言いようがないがこの理論でいくと発砲も出来るはずだ。安全装置をはずし、メニューコマンド越しにゾンビに銃口を向け引き金を引く。すると銃声がその場に響き、ゾンビの頭が銃の弾に刺さると弾がゾンビに触れた瞬間止まった。恐る恐るメニューコマンドを閉じるとゾンビ特有とも言える緑色の血吹雪を上げた。


そしてメニューコマンドを再び閉じ、叫んだ。

「チートキターっ!!」

そう、チートだ。ラノベのいうチートは反則なまでに強いことのことを指す。その定義で言えばセーブ&ロードがそれに当てはまる。セーブ&ロードのシステムがあれば戦闘面で気絶したり即死しない限りは無敵と言える。


しかしこれは不正行為とも言うべきチートでズルでバグだ。今の例を例えるならオンラインFPSで相手が撃てないのに俺だけが銃を持って射撃するのと一緒だ。標準に合わせてしまえば相手が撃てないのだから打ち負けることもない。これだと強い云々関係なく、ずっと俺のターン状態になる。


「さて、死んでもらおうか」

俺は無駄にカッコつけ、メニューコマンドを開いた状態でハンドガンを構え引き金を引いてはリロードの繰り返しをした。


『チュートリアル7. 〈ゾンビを倒しに行こう〉クリア。なおゾンビの中には頭を撃っても死なない強敵がいますので御注意下さい。また石を投げたりアイテムを投げたりして倒すことも可能ですがその場合、逃げることをオススメ致します』

あの後、はっちゃけた俺はゾンビの頭、心臓、足の指、耳などとにかくありとあらゆる部位を狙って撃てるようになるまで練習した。何度も外したりしたがメニューコマンドの前じゃゾンビもただのマネキンだからな。余裕で倒せたし、何よりも銃の良い練習になった。


『チュートリアル1~7まで完了いたしましたので経験値を獲得しました』

アナウンスが流れ、経験値を得ると『レベルアップしました』と表記され次のチュートリアルが始まった。……マジすか。

『チュートリアル8. 〈ステータスの確認〉。ステータスを選択して下さい』

……こんなチュートリアルいるかぁっ! カットだ、カット! メニューコマンドを閉じる!

『ステータスを選択して下さい』

くそったれぇぇっ!


ステータスを開くと俺の名前、レベル、パラメーター、称号などが表記されていた。パラメーター値があまりにも項目が多過ぎる為、そこら辺を読み飛ばす。体力や魔力の項目はあるくせにHPやMPなどの項目がないのが気になったが流石に命等を数値にするには無理があったんだろう。そもそも魔力ってなんだよ?

『パラメーター値の数値の前についている↑は上昇、↓は下降したステータスです。ステータスの中に名前やパラメーターの他に称号があります。この称号は様々な行動を取ることで得られます。パラメーターに補正がかかる称号もあるので是非とも獲得しましょう』

そりゃすげえな。称号の取り方も丁寧に書いているだけあってモチベーション上がるわ。

『チュートリアル8.〈ステータスの確認〉クリア。レベルアップするごとに強くなりますのでゾンビを倒してレベルアップしていきましょう』


『チュートリアル9. 〈駅や空港の使い方〉。空港や駅等を使うことによって、島の外に行く事が出来ます。駅や空港は券を購入することにより、その場所まで乗ることが出来ます。島の外にいるゾンビを倒すことにより経験値や武器、アイテムなどを得る事が出来ます。しかしより遠くに移動したり、長く乗るほどゾンビが中に居る可能性が高くなり、注意が必要です』

これはあれだ。駅を使ってゾンビを倒してこいってことだ。このままここでのんびりと生活しても良いんだが、それだと何のためにこのチートが使えるようになったのかわからない。そもそもここにいて安全である保証はない以上、島の外に出てやるしかないんだよな。あのメニューコマンドバグが通じない相手が出て来るかもしれないしな。

『チュートリアル9. 〈駅や空港の使い方〉クリア。遠くに出ず、近場の島の外に行くだけならば無料で行く事が出来ます』


これ以上チュートリアルは出ねえな? ……よし、とりあえずゾンビ狩りだ。チュートリアルばかりでストレスが溜まっている以上それを解放したいんだよ!


しかしその前にやらなければならないのはセーブだ。セーブ。メニューコマンドを開き、セーブ&ロードの項目を選択してセーブをすると本日二回目の『セーブ処理が完了しました』のアナウンスを聞く。もし何かトラブルがあったりしてロードする事態になったらまたチュートリアルからやらなきゃいけないからな。そんな面倒なことはゴメンだ。


駅を使い、島の外へ出る。それだけのことなのに、酷く緊張する。十数年間生きていた中でこれほどまでに心臓の音が響いたことはない。例え、いやわかっているからこそ俺は島の外へ出ることが不安になるのかもしれない。相手はゾンビだ。いくらチートが使えても苦手意識はある。だからと言ってこのままストレスを溜めるとろくなこと目に遭わないだろう。ストレスを発散するためにストレスを溜めるという矛盾こそあれど、やるしかない。


そして俺は到着した電車に一歩踏み出し、無人の電車の中で椅子に座って待機すると扉が閉まり発車した。

それではまた一週間後お会いしましょう!

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