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にくゑ【ある世界が終焉を迎えるまでの道程。そして――】終焉の探偵  作者: カクナノゾム
第一部 にくゑ

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吉川直樹 共有された秘密

 吉川が眉間に指を当てると、梓は小さく頷いた。


「……はい」


 二人の間に、灯りの揺れる音だけが残った。

 しばし考え込む。だが梓が吉川を見て口を開いた。


「今は行動しましょう。この先に、その答えもあるかも知れません」

「そうですね、私たちの行動も察知されている可能性もあります。急ぎましょう」


 二人は顔を見合わせ、同時に頷いた。

 疑念の余韻を越え、初めて「共に進む」確信が芽生えていた。


「行きましょう。場所はわかってます」

「頼みます、矢野君」

「梓、でいいです。先生」

「わかりました、梓さん」


 そう答えると彼女は少しくすぐったそうに笑った。


「どうかしましたか?」

「いえ、私は父親がいなかったので年上の男性に名前で呼ばれると、ちょっと変な感じだなって……」

「酷いですね、私は君のお父さんには若すぎると思いませんか?」

「ふふ、ごめんなさい」


 笑ってみせたその声がわずかに上擦っているのを、吉川は聞き逃さなかった。


 秘密を共有する同士が見つかったせいか、二人の空気が少しだけ軽くなっていた。


 ――彼女もまた、真実を確かめようとしている。

 吉川は息を吐き、灯りを少し下げた。


「そこに何があるのか、確かめなければ」


 しばしの沈黙のあと、二人の灯りが重なった。

 冷たい夜風が川面を渡り、草を揺らす。


「行きましょう、梓さん」

「はい!」


 言葉を改め、緊張感を取り戻す。

 行こう。

 あの子たちの命に報いるためにも。

 同じものを追う者として、二人は闇の道を並んで歩き出した。


 ――その行く先には、この村の聖域とされている洞窟が、ただ静かに口を広げていた。待ち構えるように。

 ここまでのご愛読、ありがとうございます。

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 大長編ですが、追いかけて頂いて後悔はさせませんよ!

 全話投稿済みなので、どうか最後までお楽しみ下さいませ。

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