断片資料|『肉を祀る民俗──或る村落信仰の実相』目次
(『肉を祀る民俗──或る村落信仰の実相』より/著:鶴来 忍)
一、笑いは呪である。
当該村落では、蓋を送り出す際に三度の笑を行う。これは感情表現ではない。封印言語である。呼気・発声・咽頭の震えが一定の拍で同期し、群体の境界を「閉じる」働きを持つ。泣きはその逆で、境界を緩め、■■を呼吸させてしまう(古記『■■式目』抄、出典不詳)。
二、赤黒い瓶は「母の模倣」である。
甘く鉄を帯びる液は、産屋の技法に由来すると私は見る。羊水・臍帯・穀の抽出をまぜ、母体の匂いを人工的に再現したものだ。肉神は「母の匂い」にのみ鎮まる。これが供の本義である。
三、蓋は生体の栓である。
井戸や祠は空洞ではない。臓器だ。蓋の娘はそこに適合するよう育てられ、声・歩幅・呼吸まで村の拍に合う。合わぬ者は「逃去り」と記され、年記から抹消される(社家控)。
以上、諸仮説は私見である。だが私は知っている。笑え。笑うほどに境は閉じる。誰も泣くな。泣けば境は破れる。
そう書き残しておけば、少なくとも誰かは助かるだろう。私はまた山に入る。
(欄外メモ:三笑の拍は三・三・七ではない。二・二・二だ──著者の鉛筆書き)
ここまでのご愛読、ありがとうございます。
少しでも先が気になるな、と思われましたらお気軽にブックマークしてくださいね!
そして、面白い! と思われましたら是非☆☆☆☆☆で応援してください!
ランキングが上がれば、より多くの人に届きます。
貴方の応援で、どうかこの物語を広げて頂けると!!
コメント、レビューなども大歓迎です。
大長編ですが、追いかけて頂いて後悔はさせませんよ!
全話投稿済みなので、どうか最後までお楽しみ下さいませ。




