第32話 ダンジョン都市のギルド
ダンジョンの入口を一度横目に見たユウマは、そのまま街の中へと足を進めた。
「……いや、いきなり潜るのは無謀だな」
軽く頭をかく。
初めてのダンジョンだ。森とは勝手が違うはず。
「まずは情報だな」
そう決め、ユウマは周囲を見渡す。
すぐに、それらしい建物が目に入った。
大きな看板。出入りする冒険者の数。
間違いない。
「ここがガルディアのギルドか」
⸻
扉を押して中に入る。
「……おお」
思わず声が漏れる。
中はこれまでの街のギルドとは比べものにならないほど広く、活気に満ちていた。
重装備の冒険者、魔法使い風のローブ姿、パーティで談笑する者たち。
その中心にある受付カウンターへと歩いていく。
「すみません」
声をかけると――
「はい、いらっしゃいませ♪」
明るく、よく通る声。
カウンターの向こうに立っていたのは、一人の女性だった。
長い髪を揺らし、柔らかな笑みを浮かべている。
整った顔立ちに加え、目を引くのはその抜群のスタイル。
ぴったりとした制服越しでも分かるほどの豊かな胸元に、思わず視線が吸い寄せられそうになる。
(やばいな…健全な?高校生にとってこれ以上は毒だ)
ユウマは一瞬で視線を逸らし、軽く咳払いをした。
「初めて来ました。ダンジョンについて教えていただけますか?」
女性はにこっと笑う。
「はい♪ ガルディアのギルドへようこそ。私は受付のリリンです」
軽く胸に手を当て、丁寧に名乗る。
「ダンジョンの説明ですね。もちろん大丈夫ですよ」
⸻
リリンは資料を取り出しながら説明を始める。
「この都市のダンジョンは、階層ごとに難易度が分かれています」
「浅い階層は比較的安全ですが、奥に進むほど強力な魔物が出現します」
ユウマは頷く。
「なるほど……森みたいなフィールドとは違う感じですね」
「はい♪ ダンジョンは閉鎖空間なので、逃げ場が少ないのが特徴です」
リリンは続ける。
「そして、一定の階層ごとに“ボス”が存在します」
「ボス……」
アルファウルフを思い出す。
「ボスを倒すことで次の階層へ進める、という仕組みですね」
⸻
「あともう一つ、大事なことがあります」
リリンは少しだけ真剣な表情になる。
「ダンジョン内では、魔物の数が多く、連戦になることがほとんどです」
「体力管理と撤退判断がとても重要になります」
ユウマはしっかり頷いた。
「ありがとうございます。かなり参考になります」
⸻
説明を終えたリリンは、ふっと柔らかく笑う。
「初めてのダンジョンですよね?」
「はい」
「無理はしないでくださいね♪ ユウマさん」
名前を呼ばれ、少しだけ驚く。
「……あ、はい。気をつけます」
自然と笑みがこぼれた。
⸻
ギルドを出ると、再びあの巨大なダンジョンが視界に入る。
「階層制、ボス、連戦か……」
頭の中で情報を整理する。
「……面白そうだな」
口元が上がる。
フォレストダガーを軽く握る。
「今日は一階層だけ潜ってみてダンジョンの雰囲気をあじわってみたいな」
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