政略結婚
明けましておめでとうございます。
ゆるゆると書かせていただきますので、今年もよろしくお願いします。
純潔を表す白色がなんとも美しく、持ち前の美しさをより際立たせる。
鮮烈な赤色の紅が、肌の白さと相まってより際立ち、見た者にため息をつかせる。
おそらく、日の本一の美しいと言っても、過言では無いのではないのだろうか。
今日、綾姉様が嫁ぎます。
白無垢を着る綾姉様はとても美しい。
政略結婚だとしても、幸せそうな顔をしている。
やはり女は結婚するときと、子供を生む直近の辺りが、もっとも綺麗になると私は思うのよね。
勿論、恋をすると女は綺麗になる。
それこそ、化けたと揶揄されても可笑しくないくらいに。
今回はそうではないというのに、これだけ綺麗になるのだ。
恋愛からの結婚となっていたなら、どれ程のものになっていただろう?
さりげに私の助言も入っている。
白粉を塗るなんて、若い乙女の肌に対する冒涜ともとれなくもないと思うのよね。
日照時間の関係もあるのかわからないけど、綾姉様の肌は若さも相まって透き通るように綺麗だったのだから、それを全面に押し出さない手はない。
作られた美しさもいいけど、元々の下地を生かすというのも面白いはず。
嫁ぎ先で不遇を味わうか、それとも大事にされるかって第一印象が凄い大事だと思う。
折角一緒になるのだから、仲良く夫婦生活を謳歌してもらいたいものだ。
お相手は長尾政景殿というらしい。
ん?
長尾?
親戚かな?
この当時、血の近い所謂近親でもくっつく事があったみたいだけど、そこのところどうなんだろう?
一応、御兄様に確認したら、「上田長尾家とうちは違うぞ。」とのことだったので、名字が同じとかその程度に思っておこう。
難しい事を考えても仕方がないだろうし。
それにしてもどんな人なのだろう。
綾姉様の旦那として相応しい人なのだろうか?
家庭を大事にするタイプの人ならいいんだけど。
「虎千代!虎千代ってば!返事もしないけど、何を考えてるのよ?」
「あっ、ごめんなさい綾姉様。お相手の方がどんな人なんだろうと思って。」
「どんな人ってまともな人でしょ・・・多分。」
「綾姉様、自分の嫁ぎ先の事が気にならないの?」
「気にならないと言ったら嘘になるけど、今更、気にしても仕方ないじゃない。それに政略結婚なんて、どこでもやってる話でしょ。武門の家に生れたからには、そのくらいの心構えが出来ていて当然でしょ。」
「はー、綾姉様は凄いわね。」
自分の身が、道具のように使われてしまっているように思うが、それが普通だと受け入れられるとか、どれだけ心が広いのよ。
ただの諦めかもしれないけど。
こういう事柄が重なり続けた結果、自分から物言わないでいるのが大和撫子とか、言われる原因になったんじゃないかって思ってしまう。
いや、出しゃばらないでいる楚々とした女性は、儚げで可愛らしいのはわかるけども。
この当時、結婚といえば出立前日に当主に挨拶をし、その後親族一同で宴会、翌日には迎えが来て出立するというような流れのようだ。
そんでもって、新郎側に着いたら着いたでまた宴会が行われるみたいだ。
宴会といえば私の出番じゃないかしら?
ただ、どうも向こうに行ってからの宴会は、新郎側だけの宴会になるようだ。
「父上、兄上。今までお世話になりました。」
「うむ、向こうでも達者に暮らせ。お前ほどの器量持ちならば、何も心配は要らぬと思うが。」
「体を壊さないようにしないといけないよ。早く子供が生まれるといいね。」
くそ親父を一番の上座にすえ、その脇に御兄様が座る。
御兄様が当主ではあるけれども、実権はあのくそ親父がまだ握っている以上致し方ない。
くそ親父は喜色満面といった様子だ。
自分の娘の晴れ姿を見れて満足げだ。
もっとも、御兄様は特に不満は無いようだ。
むしろ、あのくそ親父が上座に座る事を望んだ位なのだから。
他にも何やら言葉を交わしている。
これが今生の別れとは言わないが、事が起きれば綾姉様と、二度と会うことが叶わなくなることだってある。
淋しい話だが、これが戦国時代というものだ。
現代のように、実家に帰るとか簡単には出来ないのだ。
さて、ようやく話が終わったようで、参加者の前にお膳が運ばれてきた。
どうやらここで、そのまま宴会に突入するようだ。
道理で評定に使われる部屋を使用したわけだ。
それにしても、見たことのない人が数多くいる。
これ全部親戚?
誰が誰だか訳がわからない。
まあ、冠婚葬祭といえば見たことのない親族に会うのはいつの時代も一緒なのか。
お酒も勿論振る舞われ、喧騒が部屋を包む。
どうせならと酌でもして回ろうかと思うが、留め置かれている。
どうにも、勝手に当主の一族がそういうことをするなと言うことらしい。
オカマの力をもっとも見せつけられるのは、こういう場での盛り上げだと思うけど、ダメな物は仕方ない。
綾姉様の為にも盛り上げたかったかけど、周りは勝手に盛り上がってるみたいだし仕方ない。
今回は諦めておく。
仕方がないので、末席に席を是非にと設けてもらった子供達の所に向かう。
見たこともない親族に、上座の方から私が移動し始めたので、じろじろと見られてしまう。
私に気にかけても仕方ないと思うのだけれど。
子供達を見ると、肩身の狭そうにしている。
いや、弥太はそんなことなさそうに、出された物を端から食べている。
中々に胆が座っているよね。
「皆、どう?ちゃんと食べてる?お酒はまだダメだからね。」
「あ、お虎兄ちゃん。」
「ちゃんと戴いてますよ。とっても豪華ですね。」
「うん、凄いごちそうだね。」
「とっても旨いー!」
私の顔を見て笑顔を浮かべる面々。
宴会に出た食事には満足のようだ。
「それに綾姫様凄く綺麗だね。」
「うん。憧れちゃうね。」
「私もいつか着れるのかな?」
「そうね、きっとそのときになれば着れるはずよ。ううん、私が意地でも着せてあげるから。」
女の子三人は食事もいいが、やはり綾姉様の姿に見とれていた。
そしていずれは自分もと言っている。
ならばそれに応えてあげなくちゃいけないわよね。
まだまだ何も出来ないけど。
その後、綾姉様はつつがなく嫁いでいった。
ということで綾姉様ご結婚です。
お幸せに。
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今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。




