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クソザコナメクジから始まる最弱勇者~スライムすら倒せない俺が世界を救うって本当ですか?~  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 勇者見習い編

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第41話 到達、レギール共和国――そして昇格

 

 数日後。俺達は隣国――

 レギール共和国へと辿り着いた。


 王国ではなく、共和国。


 王ではなく、民によって選ばれた代表が国を治める――

 そう聞いていたが。


 目の前に広がる光景は、穏やかそのものだった。


 石畳の街路。

 整然と並ぶ家々。

 市場には活気があり、人々の表情も明るい。


 子供達が走り回り、商人達が声を張り上げる。


「おーい!新鮮な果物だよ!」

「そっちの布、もう少し安くならないか?」


 笑い声と喧騒が入り混じる。


 一見すれば――平和な国だ。


「……いい街ですね」

 モナカがほっとしたように微笑む。


「活気がありますわね。王都とはまた違った雰囲気です」

 アスティも周囲を見回しながら頷く。


 だが。


「……やけに物々しいな」


 俺は門の様子を見て呟いた。


 通常より明らかに多い兵士。

 厳重な荷物検査。


「止まれ。荷の中身を確認する」

「身分証を提示しろ」


 通行人の顔つきも、どこか硬い。


 それに兵士達がヒソヒソと話す言葉が聞こえる。


「おい、聞いたか?昨日、魔王軍らしきモンスターが

 うろついてたって話だぞ?」

「マジかよ。今月に入ってもう5件目だぞ?」



「…ヘカテの勘が当たってたみたいだな。」

 ケイトがそう呟くと隣でヘカテが小さく頷く。


「せやろ?」


「なるほど……だからこの警備ですのね」

 アスティが納得したように頷く。


 その横で――


 プラティナは、何も言わずに門の兵士達を見ていた。


 視線は鋭く、わずかに細められている。


「……どうかしたか?」


 声をかけると、


「……別に」


 短く返す。


 だがその手は、無意識に腰の剣へと触れていた。


 ――警戒している。


 平和な街並みとは裏腹に、確かに何かが潜んでいる。


 そんな空気が、肌に伝わってきた。


 中央議事堂。

 ここがレギール共和国の中枢であり国の代表が集まる場所。


 豪奢さよりも、機能性と威厳を重視した造りだった。


 無駄な装飾は少ない。

 だがその分、空間そのものが張り詰めている。


「……静かだな」


「無駄がない、というべきですわね」

 アスティが小さく答える。


「ちょっと息苦しいかもです……」

 モナカが小声で呟く。


「ビビっとるんか?」

 ヘカテがからかうように笑う。


「ち、違いますよ……!」


 そんなやり取りの中でも、


 プラティナは一言も発さない。


 ただ、まっすぐ前を見据えて歩いている。


 その横顔には、まだわずかな疲労と――

 それ以上に、張り詰めた意志があった。


 俺達は、護送品と共にその中へ通される。


 そして――


 高座に立つ、一人の男。


 レギール共和国代表、ダリウス・ヴァン・レギール。


 鋭い眼光と、落ち着いた佇まい。

 ただ立っているだけで、場の空気が引き締まる。


「諸君が、フリーデンから派遣された冒険者だな?」


 低く、よく通る声。


「はっ…はい」


 俺は一歩前に出る。

 背後で、荷が運び出される音。


「こちらが護送品になります。」


 役人達が一斉に動き出す。


「開けろ。中身を確認する」


 木箱の蓋が次々と開けられる。


「ふむ……宝石、異常なし」

「薬品類、破損なし」

「書簡も揃っています」


 淡々とした確認の声が続く。


 その間、誰も口を開かない。


 重い沈黙。


 モナカが小さく息を飲む。

「……大丈夫ですよね……?」


「心配するな」

 俺は小さく返す。


 だが――内心は同じだった。


(もし何か欠けていたら……)


 その時。


「うむ……間違いない」


 代表は、ゆっくりと頷いた。


「全て揃っている。」


 その瞬間――


 張り詰めていた空気が、わずかに緩む。


「よ、よかったぁ……」

 モナカがほっと息を吐く。


 アスティも小さく微笑んだ。

「完璧ですわね」


 プラティナは静かに目を閉じ、

 ほんの一瞬だけ肩の力を抜いた。


「ふぅ…無事に任務達成出来たわ。」



 代表がゆっくりと話を続ける。


「山賊に攫われた者達も救出したと聞く。」


「実に見事だ。」


 短い一言。


 だが、その声には確かな重みがあった。


 代表は腕を組み、俺達を見据える。


「現在、我が国周辺は不安定な状況にある…」


「魔物の増加に加え、魔王軍の動きも確認されている。」


 その言葉に、場の空気が再び引き締まる。


「その中で、民と物資を守った功績は大きい」


 一拍。


「よって、正式に評価する」


 ざわり、と空気が揺れる。


「冒険者ランクを――」


 一瞬の静寂。


「DからCへ昇格とするように、ギルドへ通達しよう。」


 ざわり、と周囲が揺れた。


「……っ!」


 モナカの顔がぱっと輝く。


「やりましたね、ケイトさん!」


「本当によくやりましたわ。」

 アスティも誇らしげに頷く。


「ま、妥当やな」

 ヘカテは肩をすくめる。


 その横で――


 プラティナが、こちらを見る。


 ほんのわずかに。


 本当にわずかにだが、

 口元が緩んでいた。


「ふふ……当然ね」

 小さく、微笑む。


「あっ…ありがとうございます!」


 ケイトが代表に頭を下げる。


「うむ。これからの貴殿の活躍も期待している。」




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