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第89話 リベンジ戦

「はい、終わり。もう、あんたは一番後ろで付いてくるだけでいいから。それぐらいは出来るでしょ?」


 クリスタルゴーレムを軽々と倒すと、リエラが剣の強化素材の水晶板を投げ渡して言ってきた。

 ゾンビだが、キングの俺に平民如きが、そんな生意気な口を利くことは許せない。


「何だと‼︎」

「何度も言わせないでよ。役立たずなんだから、後ろに付いて来いって言ったのよ」

「くっ! 役立たずだと!」


 怒って聞いたら、役立たずという言葉が加わった。

 この愚かな平民は、この俺を戦力外認定している。


「……分かった。後ろは任せろ」


 だが、まあいい。我慢してやる。

 戦うしかない能がない平民が、王様を護衛したいと言っているんだ。

 護衛させてやる。


 水晶板を剣に吸収させると、素直に後ろに移動した。

 ここで仲間同士で争っても利益がない。二対一で俺がやられるだけだ。

 戦闘をリエラに任せると、順調に水晶洞窟を進んでいく。


 やはり適材適所というか、役割り分担は必要だと言う事だろう。

 思い出してみたら、どのパーティでも俺は隊長で頭脳担当が多かった。

 わざわざ不得手の戦闘までやる必要がないという事だ。


「モンスターは私が倒すから、暇なら、あんたは壁でも撃ってなさい」

「くっ……」


 後ろを付いていくだけじゃなかったのか、と言いたいけど、走りながらでも出来るから我慢した。

 言われた通りに壁に向かって、手の平大の怒りを込めた岩塊を連続発射しまくる。


「最初はキツイだろうけど、初心に返って、しっかりやりなさい。使い慣れたアビリティだけじゃ、新しい場所では通用しないんだから」

「はぁーい」


 しばらく撃ち続けていると、リエラが説教くさい言葉を言ってきた。なので、気怠い返事を返した。

 別にキツくはない。人にあれしろ、これしろと言われると、やる気が極端に失せるだけだ。


 ♢


「ふぅー、今日はここまで。しっかり休憩して、七時間後に出発よ」


 赤い宝箱三個と水晶板八枚を手に入れると、階段の中に入った。

 三十五階から三十八階までの四階層しか移動してないのに、女二人にはキツイようだ。

 階段に座り込んで、食事の準備を始めている。


「お腹空きました。四十階までで帰りたいですね」

「確かにそれでもいいかもね。別に急いでいるわけじゃないし、アイツもアビリティを鍛えた方が良いし……ちょっと、どこに行くの?」

「どこって、修行に決まっている。七時間以内に戻ってくるから安心しろ」


 食事も休憩も俺には必要ないので、三十八階に戻って修行したいに決まっている。

 だけど、階段を上ろうとすると、リエラに呼び止められた。


「やめておきなさい。あんた、弱いんだから死ぬから」

「死ぬか! 入り口で修行するから問題ない。ゴーレムが来たら、階段の中に逃げるから安心しろ」

「はいはい、分かりました。危ない時は『ママ、助けてぇー!』って叫ぶのよ。いいわね?」

「言うか!」


 俺を怒らせるのが趣味かと思うぐらいに、いちいち怒らせる。

 リエラの無駄な警告は無視して、階段をイライラ上っていく。

 姉貴もそうだったが、女は男をすぐに子供扱いする。こんなデカイ子供がいるか。

 

「はぁ……一人は落ち着くな」


 階段からダンジョンに出ると、一息ついた。女はうるさいから駄目だ。

 はい、はいと素直に返事して、俺の言う事を聞いていたメルも変わってしまった。

 どうして、悪い人間の影響は受けやすいんだ。


「まあいい。リベンジ開始だ」


 愚痴はやめて、気持ちを戦闘モードに切り替えた。

 最初からリエラの言うことを聞くつもりはない。

 二人がしっかりと休んでいる間に、クリスタルゴーレムを単独で倒させてもらう。


 身体を岩で覆っていき、ブラウンゴーレムLV4に変化した。

 俺一人でも倒せるという事を証明する。

 だけど、無謀に突撃しても危険なのは分かっている。だから、作戦を立てた。


 さっきは水晶柱を使われて、少し動揺してしまったが、あれが無ければ、ただの透明ゴーレムだ。

 つまり戦闘が始まる前に、近くの水晶柱を全部破壊すれば、透明ゴーレムは武器が使えなくなる。

 丸腰の相手を遠距離から、一方的に攻撃できるというわけだ。

 

「そこに居たか。さあ、どちらが最強のゴーレムか決めようか」


 水晶洞窟をゴーレムで高速移動していると、手足の生えた動く巨大水晶を発見した。

 予定通りに、まずは武器に使えないように周囲の水晶柱を破壊していく。

 だけど、破壊が間に合わずに、透明ゴーレムの右手が水晶柱を掴もうとした。


「それはやらせない」


 ヒューン——


「グガァ!」


 ドガァン! 直径一メートルの弾丸を腕に直撃させて妨害した。

 掴ませる時間も、投げさせる時間も与えない。


「フッハハハ! そうだ! これが俺の真の実力なんだ!」


 発射した弾丸を何個も殴り壊されるが、確実に身体に当てて、ダメージを与えていく。

 あの両腕さえ破壊したら、もう勝利は確定だ。

 あとは動く的か、逃げる的になった透明ゴーレムを破壊するだけの単純作業になる。


「グガァー‼︎」

「剣は……やめておくか」


 バキィン! 透明ゴーレムの右腕が弾丸によって破壊された。地面に壊れた腕がドサッと落ちた。

 左腕一本の相手なら、あとは剣で叩き潰した方が早そうだが、射撃の練習を続ける事にした。


 大嘘だとは思っているが、万が一という可能性もある。

 手袋無しで、射撃のアビリティを習得できれば、他のアビリティも習得できる。

 それを確かめられるだけでも、続ける価値は十分にある。


 四分後……


「ふぅー、倒せた」


 十秒ぐらいで倒したリエラとは違うが、倒せれば一緒だ。

 倒したクリスタルゴーレムの、魔石と水晶板を勝利の証に回収した。

 階段に戻った時に、二人の目につく所に三十体分ぐらい置いておく。

 もしも気づいた時は、「本気を出したら、余裕だった」と笑って言ってやる。


「オラッ、オラッ!」


 遭遇するクリスタルを苦戦しながらも、確実に倒し続けていく。

 一体目を倒したから、心に余裕と自信が生まれたようだ。

 初見のような不様な結果は二度と起こらない。


 六時間後……


「んっ? これは……!」


 そろそろ帰る時間で、ちょうど五十体目を倒したので、『調べる』を使ってみた。

 すると、射撃LV4と射撃LV1の二つのアビリティを見つけた。


「おいおい、冗談じゃなかったのか!」


 正直習得するには何ヶ月もかかると思っていたが、こんなに早く習得してしまった。

 まあ、俺が天才だから仕方ないのかもしれない。


「おっと、今は帰るのが先だった」


 喜ぶのは後でも出来る。それにLV1だと使いものにならない。

 休憩は七時間と言っていたから、階段に早く戻らないと迷子扱いされる。

 回れ右すると、階段に急いだ。

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