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機動兵器・レッグベース  作者: ベルベル
本編
9/53

南の勢力

豆知識

この世界には、いくつかの巨大な採掘跡が有った。

しかし、多くは各国の政府に没収され、結局避難出来たのは旧日本の物だけであった。

核戦争を予言した者を信じた避難民が、各国から逃げ込んだ。

ストレイにとって一番大事な物は評価だ。良い仕事が貰えるか貰えないか、それは評価によって決まる。

そしてストレイ、特にLBを持つ者は、金、強さ故の危険度、人気者への嫉妬等、様々な理由で狙われやすい。

僕の場合、一ヶ月程ピース・シティでまぁまぁ資金を稼いだ為、現在狙われやすくなっている。

転々とする事で、狙われにくくするのだ。

各地で評価を手に入れ、不定期に移動する事で行く先々で良い仕事を手に入れ資金を稼ぎつつ狙われにくくするのがストレイの基本だ。


「贅沢しても余るくらいの食料ですね」

『ちゃんとおやつも買ってあるよ』

「やったっ!」


今回は比較的温和な性格の南のオーストラリア大陸の方に行こうと思う。どっちみち巡回ルートだし。

暖かく、食料にもあまり困らない為争いが少ない。ピース・シティに比べれば多いが。


大昔の地図を頼りに移動していく。

途中何度か海を渡る。現在地の旧日本から朝鮮半島に渡り、そこから南下してオーストラリア大陸に行こう。


『ホバー機能も正常、オートパイロットも大丈夫みたいだ』

「フィエスタローズも追従モードに切り替わりました。オーストラリア大陸は海がキレイだって聞きましたよ、楽しみですね!」

『遊びに行くんじゃないんだよ?全く』


南の勢力は他に類を見ない、観光にも力を入れているという。

フィエスタが喜ぶ理由も分からなくはないが、行く先でも戦うとなると、気は抜けないな。


『さぁ、準備は整った。明日には出発しよう』

「レッツゴーっ!」




一日目は朝鮮半島に渡り、機器に支障が無いかチェックした。

二日目、三日目は海岸沿いに海を眺めながら南下。旧マレーシアまで到着した。

四日目、五日目でスマトラ島、ジャワ島を経由し旧東ティモールに到着。

そして七日目にオーストラリア大陸に到着した。


「んんーっ、暑いですねー!」

『南に行くにつれて、暑くなるからね』


オーストラリア大陸の北西、旧ダービーに都市がある。

南の勢力は、最も初期にピース・シティから離れた勢力だ。

技術力が高いわけではないが、都市が出来てから長い為に、防衛力が整っており他の勢力に滅ぼされずに済んでいる。

長く大きな争いを起こしていないので、防衛力も緩んでいるらしいが。


「あそこの都市が南の勢力の本拠地、「シーサイドタウン」ですね、観光業が盛んで、特にキレイなビーチが人気だとか」

『まずは、あそこに行って貸ガレージを探そう』




「ストレイのお客様は大歓迎です、無料でお貸しいたします」

「ほんとですか?ありがとうございます!」


ここでは、防衛力の一部はストレイ頼みだそうだ。なのでストレイにはガレージを無料で貸しているらしい。


「手続き、終わりましたよ〜。」

『ありがとう、じゃあガレージに止めてゆっくりしよう。』


LMとフィエスタローズをガレージに入れ、買い物に行く。

フィエスタがポケットにパンフレットを入れているのに気付いた。


『フィエスタ、そのパンフレット見せて』

「これですか?どうぞ」


シーサイドタウンと言えば海!サラサラの砂の感触と、日の光にキラキラと輝く、澄み渡ったエメラルドグリーンの海をどうぞお楽しみください。


「海、キレイですよね〜。私も入ってみたいなぁ」

『海か。いいんじゃないかな、行ってみたら?』

「いいんですか!?」

『うん、買い物とかはやっておくよ』

「ノマさんは来ないんですか?」

『僕はいいよ、依頼探しにLMのメンテナンス、色々やることあるからね』

「もー。そういうのは遊んでからやりましょうよ〜」

『いいよ、一人で行っておいで』

「じゃあせめて、水着選びくらい付き合ってくださいよ」

『お小遣いは追加であげるから一人で買って来て。』

「ダメです、行きますよ!」

『わ、分かったから引っ張らないで』




「どうですか…?似合いますか?」


もう七着目くらいになるな…

今度は胸元のフリルが可愛らしい、少し胸の開けたちょっとアブナいビキニだ。

三発目のヒモみたいなのよりは全然良い。


『結構似合ってるよ、可愛いと思う』

「ほんとですかっ!やった!」


このやり取りは六回目だ。ヒモの時以外は全部言ってる。

シンプルなビキニ、柄のついた奴、ヒモ、フリフリ、所々肌を見せるセクシー系を二つ、最後にフリルが胸元についた一品。


「どうしよっかなー、あっちもこっちもいいなぁ」

『わ、分かった、全部買っていいよ』

「えっいいんですか!ありがとうございますっ!」

『ただしヒモはダメだよ』

「えぇっ!ノマさん嬉しそうに見てたじゃないですか!」

『嬉しくないわ!そりゃ笑うだろ!』


せっかく溜まったお金もフィエスタのワガママでどんどん減っていく…喜んでくれるならいいけれど。


「このまま海に行きましょう!」

『タグ切り忘れないでね』




水着で町を歩いて大丈夫かと思ったが、意外と水着の人が多い。


「早く早くー!」

『ちょっと待ってくれよ…』


何よりもこのテンションに疲れる…

一応僕も濡れていい服を買った。最初はフィエスタの水着を選ぶだけだったのだが。


「わぁ!キラキラしててキレイな海!」

『だね、いい眺めだ』


ここしばらく、風景に感動したことなんて無かったな。たくさんの人で賑わう浜辺。さっきまで早く早くと急かしていた本人は一人で走っていってしまった。


「ちょっと、ノマさーん!」


忘れ物をした、とでも言うかのように戻ってくるフィエスタ。忙しい奴だ。


『今行くよ』




遊び疲れてガレージに帰ってきた。日焼け止めを塗ったが、朝から晩まで浜辺に居たので結構日焼けした。


「楽しかったですね、海で遊んでー、美味しいものも食べてー」

『楽しんでくれたかな。でも、もうちょっとだけお出かけしようか』

「えっ?まだお出かけするんですか?」

『うん、二時間くらいで着くかな。着く頃にはちょうど日が暮れる頃か』


ここからもう少し北西に進むと、旧ブルームという所に着く。

何千年も前、核戦争で文明が滅びる前から有名な観光名所だったらしい。


「どこに行くんですか?」

『秘密だよ』

「えーっ」





フィエスタのミニファッションショーを見せられながら二時間、旧ブルームに到着した。


『夜は冷え込むから水着はやめておいたら?』

「いいんですよ、ノマさん、これ気に入ってるんでしょ?」

『ま、まぁ、似合ってるのは認めるよ』


LMのハッチを開け、外に出る。


『ほら、もうすぐ日が暮れる』


南の勢力も、ここの絶景を守る為にこちらに都市を作らないようにしている。

そして、あまり観光客が多いとこの雰囲気が壊されてしまう為に、パンフレットにでかでかと書かないようにしている。

 

「あ、月が上がってきましたよ」

『うん、この月を見に来たんだ』


ここでは、月の階段と呼ばれる現象を見ることができる。こあういう物にはあまり興味が無かったが、これは一度見てみたいと思った。


『これが月の階段って言うんだってさ』

「なんたか、ロマンチックな気分になりますね。あ、もしかして、さっきはこれを調べてたんですか?」

『フィエスタがオーストラリア大陸を楽んでたから、僕も色々と調べたんだ。ワイワイするのも良いけど、こういうのも良いかなって』

「ふふっ、ありがとうございます。せっかくの海なのに携帯電話なんていじり始めるから、ちょっと怒っちゃいましたよ」

『フィエスタは怒ると誘惑してくるのか…』


腰掛けると、フィエスタはもたれかかってきた。

まぁ、こんな時くらいいいか。目一杯楽しませてあげよう。


「はぁ…」

『幸せ逃げるよ』

「幸せが溢れてるんですよ」

『そっか、なら良かった』


上目遣いでこちらを見てくる。


『僕じゃなくて、月を見ようよ』

「ノマさんの目に映った月を見てるんです」

『積極的だね』

「いいじゃないですか、気持ちは伝えてなんぼです」


冷えてきたが、なんだか温かい。

もう少し、こうしていよう。

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