十話 変態入団
ついに、変態が入団します。そして名前も明らかになります
なんてことだ…
「それにしても、すさまじい闘争ですね」
それもそのはず、朝から入団試験の受け付けが始まり、昼に受け付けが終わり
昼から入団試験(魔石強奪戦)が始まり、夕方の今まで続いているからだ
「おや、先ほどまで縛られていた縄を持ってどうしたんですか?」
と宰相は、先ほどまで少女を縛っていたはずの縄を持っているレイに向かって話した
「いや、そこら辺にある縄と素材が同じなのかと思ってな?」
「全然違うな」
「当たり前でしょう」と、ふう、と息を吐きながら、そもそも、と話を続けた
「"あれ"、タングステンですよ。そう簡単には千切れないはずなんですがね?」
愛の力とは偉大ですね。と宰相は感心した。
「感心してる場合じゃないが?」
「タングステンだよな?あのタングステンだよな?」
「あなたの言う、"あの"というのが何か分かりませんが、
『金属の中でも無類の硬さを誇る』という意味ではそうですね」
「それを素の力だけでブチッて…」
「俺は一体何処で育成を間違えたんだ!?」
そう言い、レイは頭を抱える。その様子を宰相は生暖かい目で見て
(愉悦ですね)
と心のなかで思った
その様子を見ていた三人は、こんな人なんだと感じ、白石結菜が声をかけた
「あの女性は、あなたの弟子なんですか」
「そうだな。残念か嬉しいか複雑なところだが。昔はな?年相応って感じで純粋で元気が有り余ってたんだよ。
それがいつの間にかあんな変態に…」
と、話しているうちに、闘争での騒音が小さくなってきた
少女は笑顔でレイの方に走ってきた
「マスター勝ちましたよ!勝ち取りました!」
「そうだよな。分かってたよ。お前が勝つって。俺の弟子だもんな。そうだよなあ。勝っちゃったかぁ」
少女はフンス、フンスと褒めてくださいと言わんばかりにレイを見ている
「ヨクガンバッタネー。スゴイスゴイ」
と少女の頭を撫でている
「えへへ」
少女は撫でるのが気持ちよかったのか、にへらと破顔している
「ほんとにお前は、奇行に走らなければ年相応に可愛いのに」
お前という言葉に少女は、頬を膨らませながら
「むう、"お前"じゃありません。私はメルルという名前があるんです!」
「はいはい、メルル。メルル。スゴイスゴイ」
「エヘヘェ〜」
(ちょろ)
レイは、メルルの頭を撫でながら3人の方向に向き直り、
「お前らの選んだジョブはなんだ?)
「僕は、テイマーです。」
「私は戦闘職の錬金術士です」
「アタシは、剣士で武器は双刃刀!」
「なかなかいいんじゃねえか?多分な」
「おい!シャル、ギル、メイ、こっちに。」
「ああ、ドラゴもこっちに」
そう言うと、シャルたちの4人は、レイがいる場所に向かう。
「どうしたんだい?」
「この三人と後ドラゴを俺たちで、一人づつギルドに入れれねえかなと思ってな」
「なるほどな。俺たちで決めていいのか?」
「勿論。3秒で決めるぞ」
「3・2・1!」
レイは白石結菜に。シャルはドラゴに。ギルは朝倉瞬に。メイは、江藤菊理に。
綺麗に分かれた
「随分と綺麗に分かれたね。もう少し取り合いがあると思ったのだがね。」
「早く決まるのに越したことはないだろ」
「そうそう。それに俺たちは、息が合わねえし。」
「そうですよ。それぞれ組織のあり方が微妙に違いますし。」
次々と出てくるこ言葉に、シャルはため息をつき
「君たちはそれでいいのかい?」
と疑問を零した
「いいのいいの。」
「そうですよ。」
「ああ。言い合いがないに越したことはない。」
「…それもそうだね。
そういえば、この三人は転移者かい?」
「ああそうだな。今年はそのまま冒険者になるやつは少なかった」
「なるほどね」
「それじゃあ解散。気になったヤツがいたら個人的に声をかけろよ?」
「それぐらい分かっていますよ。それよりも、今この惨状をどうするのかが先ですよね?」
メイの視線の先にあるのは、地面が穴凹だらけになり、壁にはヒビが入り、ガラス片がアチラコチラに転がっており、受付は見るも無残な姿に。"破壊跡"とはこういう事を言うのだろう。
レイは、大きなため息を吐き、額に手を乗せ天を見上げる
「なんで今現実を持ってくるかなあ。見たくないのに。報告するのは俺なんだからさあ」
「世知辛いなあ」
「自業自得でしょう。」
「だな。」「ええ。」
「怒られたくねえなあ〜あいつ怒ると、説教長いんだよな〜」
「こないで来んねえかな〜。そうだ。逃げればいいんだ」
そう自己完結しようとした時、聞き慣れた、そして今一番聞きたくない声が聞こえる。
「誰から逃げると?」
その怒気が含まれた言葉にレイは、立て付けが悪いドアのように、ギギギっと音がなるかのように、ゆっくりと、後ろを向く
「あの〜見逃してくれたりは」
「………」
「いや、あの。なんか言って!怖い!怖いから!」
「そうですね。ええ。少し二階で話しましょうか」
レイが助けを求めるように、シャルたちの方向に視線を向けると、そこにはほかの冒険者も、宰相もシャル達も誰もいなかった。まるでも抜けの殻のよう
(逃げやがった!)
「それでは行きましょう。」
ソラヌスは額に青筋を浮かべ、レイの顔をアイアンクローで掴みながら二階の奥にある"反省室"となぐり書きで書いてある部屋に入っていく
「ウゴゴゴゴ…」
と怪しげなうめき声をまき散らしながら
◇ ◇ ◇ ◇
「なぜお前は、毎度毎度試験の日に部屋を壊す!これで何度目だと思っている!
試験内容は、もっと穏便な方法があっただろう!
試験内容は、事前に決めておけとあれほど言っただろう!
なぜいつもいつも、その場の思いつきで決めるんだ!」
くどくどくどくどと長時間にわたり、怒声が部屋に響き渡るほどの説教が続いており、レイの体はこれでもかっというぐらいに縮こまっていた
その後、日が昇るまで説教が続いたとさ
めでたしめでたし
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それではまた何処かで巡り合いましょう。




