転生先は・・まさかのぬいぐるみ!?
普通の会社員だった私。
ある日を境にぬいぐるみに転生していた。
ゲーム・アニメの世界じゃない転生ってあるの・・・?
リサイクルショップ女性店員「ライフ」は毎日残業で寝る間もない日々。
恋愛をする時間もなく、会社と自宅を行き来する毎日を送っていた。
深夜0時、会社から帰宅したライフが自宅玄関のドアを開けた。
玄関には小さい頃から大切にしているぬいぐるみがあり、毎日の挨拶は欠かさない。
「ただいまー」
その時だった。
ぬいぐるみから「おかえりー」という声が聞こえた。
「ん?・・・おかえりって聞こえたような。。やばいついに幻聴が・・」
仕事で疲れているんだと思い込み、その日は早々に寝ることにした。
翌朝・・・
いつものように仕事へ向かうため玄関の扉を開けた。
「いってきますー」
すると、ぬいぐるみから「いってらっしゃいー」という声が聞こえた。
今度は幻聴じゃなくはっきりと。
閉めかけた扉を開いて玄関に戻りぬいぐるみを持ち上げたその時・・意識が
なくなった。
意識が戻ると・・・・そこは見覚えのある景色だった。
そう、近くにあったゲームセンターだ。
「このゲームセンターよく行ってたなぁ・・ただ景色がなんか違う。
見たことない角度からUFOキャッチャーの中を見てるみたいー」
と思いながら体を動かそうとするが全く動かない。。
「え・・・」
そう、ライフはまさかのぬいぐるみに転生してしまっていたのだ。
「これは最近流行りの転生というやつでは・・
いやけど流行ってる転生ものってゲームやアニメの世界とかに転生されるよね。。
しかも【転生】なんだから命あるもののはずでは・・・?」
混乱したまま考え込んでいると、頭上のアームが動き始めた。
UFOキャッチャーをしに来た女子高校生たちがキャッキャしながらライフを
ゲットしようとしていた。
アームに挟まれるライフ。
「ここのUFOキャッチャーアームのちから強っ!イタイイタイ。ちょっと待って
これここから落とされるの・・?ぎゃ。(ドン!)」
無事、女子高校生たちはライフが転生したぬいぐるみをゲットした。
「イエーイ!」
喜ぶ女子高校生たち。だが落ちた衝撃でライフは気を失ってしまった。
ライフが目を覚ますと、、そこは学校の教室のようだった。
「ここは・・・学校?あの女子高校生たちが通ってる学校かな。机懐かしいな・・」
懐かしい思い出に浸っていると、女子高校生たちが教室に入ってきた。
(ガラ!)
「今日の授業大変だったー。。テスト近いし帰って一緒に勉強しよう~」
「賛成ー」
女子高校生たちが教室から出て帰っていった。
その10分後・・・男性が1人教室に入ってきて、おもむろにライフを持ち上げた。
「え?いや待て。どこ行く?」
付いた先は男性のアパート。
ライフを学校から持って帰ってきたらしい。
「え?なんで持って帰ってきたの?私あの女子高生のものじゃないの?」
混乱していると、、男性はおもむろに裁縫セットを取り出した。
ハサミを手に取り背中を切られるライフ。
「イタイイタイ!何してんのこいつ!!わたし綿ふわふわで問題ないんですけど!!」
そう思いながら痛さに耐えれず気を失った。。
目を覚ますと、、「パララーン♪」と脳内で音が鳴った。
そう、ライフはレベルアップしていた。
動画をとれるようになっていたのだ。
「ゲームの世界でもないのにレベルアップあるのか!
ってかなにこのスキル。」
あの男性はライフの中にカメラを仕込んでいたのだ。
「え・・こいつやばくないか。。?すごい鮮明に動画撮れるんですけど・・私」
そう思っていると男性が近づいてきた。
「よし、撮れてる撮れてる。これでいつでも会えるわー」
男性はそういうと布団に入って眠り始めた。
「こいつ・・・女子高校生をカメラで撮るつもりか・・
何とかしないと、、何とかあの女子高校生に知らせないと。。」
早朝・・・
男性はライフを持って学校へ。
女子高校生たちの教室に行き、何事もなかったかのようにライフを
元の位置に戻した。
しばらくすると女子高校生たちが登校し始めた。
ライフに向かって「おはようー」と挨拶。
その瞬間、スキル発動。録画が始まった。
「え、この女子高校生を撮るの?どうしよう録画始まっちゃったよ。。」
何か策はないか考えたが・・ぬいぐるみであるライフがこの状況を伝える
手段がないままに放課後を迎えた。
放課後、女子高校生がライフの近くに来て話し始めた。
「最近さ・・誰かからみられているような気がするんだよね。。
心配させるといけないから誰にも話せてないんだけど・・
でもあなたをUFOキャッチャーでゲットしてからは頻度が減ってるんだよね!
ゲットしてよかった!ありがとう!」
すごくニコニコとライフに向かって話してくれる女子高校生。
ライフは思った。
それは・・後で動画見れるから直接見なくなったのでは・・?と。
今も録画続いてる。。
「自分のスキルなのに自分で止められないなんて、、
なんて謎仕様なスキルなの!」
話し終えて帰っていく女子高生。
その数分後、再びあの男性が現れた。
誰も気づいていなかったがライフの背中はファスナーに代わっており、そこから
カードを差し替えているようだった。
その時、録画スキルは止まった。
その後にやにやした男性は教室から出て行った。。
「あいつ・・・カードだけ差し替えていったな。。
明日また録画する気だ・・・何とかしないと。。!
そうだ・・録画するスキルがついたならほかにも何か
スキル身につくんじゃ・・・!」
スキル獲得の手段を色々と考えたが、、録画のスキルは男性が勝手に
埋め込んだものなので自分が望んだ結果ではない。
自分が望んだスキルを手に入れるには・・・!と考えながら、朝を迎えた。
翌朝・・・
女子高校生がいつものように「おはようー」とライフに挨拶する。
またしても録画スキルが発動した。
「もう嫌だ・・・」
そう思いながらも録画が続いていたその時、、!
ほかの女子高校生のカバンがライフにあたり、ライフがゴミ箱に落ちた。
ゴミ箱には掃除した後のほこりなどが入っていたこともあり、ライフはかなり
汚れた。
それに気づいた女子高校生はすぐにライフをゴミ箱から拾い上げた。
「ごめんねー。。ホコリまみれになっちゃって。。
きれいにするからちょっと待ってねー」
優しい声で話しかけながらほこりを落としてくれる女子高校生。
すごく大切にされているなとライフは実感した。
そしてこんな優しい女子高校生に何てことしてくれてるんだと男性に
怒りがわいた。
その時・・・「パララーン♪」
脳内で音が鳴った。
「え?レベルアップの音・・。待って!スキル増えてる!」
ライフは【スクリーン投影】のスキルを身に着けた。
ほこりを落とし終えた女子高校生はライフに向かって
「きれいになったよー。今日も見守っててね」と声をかけた。
そして授業が始まった。
ライフは一瞬心が揺らいだ。
今ライフの中に入っているカードには男性が最初にテスト録画したデータが
残ったままになっている。
取得したスキルを使えばこの男性が録画していることを女子高校生に伝えることができるが
それをしてしまうと女子高校生に「ぬいぐるみ」として大切にされなくなってしまうかもしれないと。
だがその揺らぎは本当に一瞬で終わり、投影を決意した。
授業が終わりかけたとき・・・スキル発動!
ライフの目が光り、黒板に動画が流れ始めた。
そこには男性がテスト録画した動画が流れ・・教室全体がザワつき始めた。
「え・・・?なにこれ?」
「動画?どこから流れてるの?」
「っていうかこれ・・・このひと生物の先生じゃん!いつでも会えるってなに?」
教室にいる生徒たちの視線がライフに集中し始める。
「え・・?あのぬいぐるみから映像流れてるよ・・」
「なにあのぬいぐるみ・・・」
不審な目でライフを見る生徒たち。
それでもライフは投影を止めなかった。
すると教室の前を通りかかったあの男性が教室に飛び込んできた。
動画が投影されていることに驚きライフをゴミ箱に投げ捨てた。
「違う!これは何かの間違いだ!投影機能なんてこのカメラには
ついてないんだ!あ・・」
男性は別の先生に連れられて事情を聴かれた。
どうやら女子高校生が入学してきた当初から気になっており、動画を撮影したいと
思っていたところに女子高校生がライフを教室に置き始めたため、カメラを仕込んだと
いうのだ。
ライフの中からはカメラが取り出され、録画スキルは消滅した。
カメラを取り出されるときに綿もほぼなくなってしまい、ぬいぐるみとしての
形も残らない状態になっていた。
教室にいる生徒たちからは気味悪がられ、ライフは捨てられることとなってしまった。
焼却当日のゴミ捨て担当は、ライフを大切にしてくれたあの女子高校生だった。
ライフは女子高校生にも嫌われていると思っていたが、女子高校生は違った。
ライフに話しかけてきた。
「カメラ入れられて痛かったね。。
警察の人もカメラには投影機能がないから映ったことが謎だって言ってた。
あなたが私を助けるために映して教えてくれたんだよねきっと。ありがとう。」
ライフはその言葉を聞いた瞬間、泣いた。
ぬいぐるみなので涙は出ないが、感動した。
そして意識が遠のいていった。。。
その後ライフだったぬいぐるみが焼却されたのか女子高校生の元にいるのかは
わかっていない。
なぜならライフが意識を取り戻した時にはぬいぐるみではなくなっていたからだ。
「なんかまた生命がないものに転生してるーーー!?」
ぬいぐるみを大切にする気持ちをイメージして作りました。




