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平穏な日常

眠気を誘う春の陽気に導かれ、大地に体を預け太陽のぬくもりを感じる。

芝生の柔らかさがどんなベットよりも心地よく、目を瞑ると全てに包まれているように感じてこれほど心地良いことはない。

ああ、意識が落ちて行くのがとても気持ち良くて、、


「ちょっとレオ!!あんたまたサボって!!」


あと少しで寝られる所だったのに。

聞き慣れた声が強制的に現実に引き戻す。


「風情の欠片もないやつだな」

「そういうのはやることやってから言いなさいよもう」


手を取られ半ば強制的に起こされる。

背中についた芝生を払う。


「いつまで手握ってるんだよ。逃げたりしないって」

「だーめ!連れ戻すまでは離さないから!」

「おまえなぁ……」

「ほら走るよ!ゆっくりしてる暇ないんだから!」


手を引っ張られ丘を駆け下りる。

ソフィアの銀色の髪が俺の視界を覆うようになびく。


「まだ寝起きだって言ってるだろぉー!!」

「時間は限られてるのー!!」

「くそったれー!!」


悲鳴は無情にも風に消えていく。

駆け下りるスピードはどんどん上がり、その分俺の視界は悪くなる。

ちょっと顔に当たって痒いなぁ。


「あっ!!」

「なに!?」


足元がまったく見えなく石につまづいた。

まずい!ソフィアが声にビックリして振り返るも時すでに遅し。

むしろ正面向いた分抱きついたような形になり、体勢を崩したソフィアと駆け下りるスピードそのままぐるぐると滑り落ちた。

幸い丘が低かったこともあってすぐに止まった。


「痛え」

「何が痛えよ!!?レオのせいで私までこけたじゃん!」

「うるせー。元はと言えばお前が手を取ってるからだろ!」

「レオがサボるからでしょーが!」


「「ぐぬぬぬぬ」」


「ちょっと2人ともやめなよ」

「テオ聞いてよ!レオがね!」

「はぁー!?人のせいにするな!」


俺とソフィアに詰め寄られ困ったとばかりに頭を掻く。

テオは真面目な性格でよく俺とソフィアの喧嘩に巻き込まれる。

ただ俺もソフィアもテオのことは信頼しており、テオの仲裁で大体収まる。

真面目で嘘を付かないような男だから妙に説得力があり納得せざるをえない。


「えーと2人とも揉めてるところ悪いんだけど……」


テオの指差すほうを見ると…

そうか。テオがここにいるってことは…


「村長!?」

「村長違うんですー!私がレオを連れ戻そうとし…て…」


ソフィアが必死に弁明しようとするが村長を前にして威厳に押し潰される。


「ソフィア。連れ戻しにいって喧嘩してどうする」

「すみません…」


先程までの勝ち気な態度が嘘のようだ。

ざまぁと勝ち誇っていると頭に稲妻が走った。

村長の鍛え抜かれた拳骨だ。頭が割れたのかと思った。


「そして全ての元凶のレオにはこれで充分じゃろ」


痛みで顔を上げられないけど絶対に2人が笑っているのが伝わってくる。

2発目を貰うわけにはいかないから今は耐えるしかない。


「ほれそろそろ戻るぞ」


殴られた頭を抑えながら教室に戻る。

もっともそんな立派な建物でもないが。


「それじゃあ前回のおさらいからいくぞ。我が村は西のシージリア王国と東のヴェルタン連邦の国境沿いの緩衝地帯として存在しておる」


自然とため息がでる。

何度聞いたかわからない説明。

そして聞かずとも周りを見渡せば両国の銃口がこの村に向いている。

そのような状況に悔しさと無力感で胸がいっぱいになる。


「戦争が起きればたちまち我が村は燃やされ戦争の中心となる。ではなぜ私達がここで暮らしているか。大変言いづらいが王国から追い出された者。戦争で孤児となったもの。身分により本国で生活できない者の集まりじゃ」


俺達3人は自分の親さえ知らない。物心つく頃にはこの村にいて自然と子供同士仲良くなった。それだけだ。

本来このような村に文字の読み書きなど出来る人は居るはずもなく、村長がいなければ教わる事も出来なかっただろう。


「だが皆で力を合わせ今では村人300名が誰一人飢えることなく生活できておる。これは皆の努力の甲斐である。だがこの村で唯一してはならぬ事がある。皆わかっておると思うがテオ答えてみなさい」

「はい。私達は出自を聞くことは決してしません。皆がこころに闇を抱えそれでも生き抜こうと努力してます。私達は過去に囚われず今を大切にしてます」

「そうじゃ。皆何かしらの問題がある。この村に限ったことではないがそれを聞いて幸せになるものは少ないだろう。今を生きる大切さを大事にして欲しい」


余計な詮索はしない。それがこの村のルール。

争いを避けるための絶対的な掟だ。


「ただ最近の両国の動きはどうも慌ただしい。何かあったら3人で力を合わせて生き抜くんじゃ。ソフィアは優し女の子でテオはとても賢く真面目。レオは決断力。みなそれぞれ良い所がある。足りないところは補い合い暮らしていくこと。わかったな?」

「はーい」


これから本題に入ろうかというところで扉がノックされる。

どうやら村長の仕事が入ったようだ。

今日はここまで解散となった






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