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そっけないエオル

 俺とエオルが案内された店。それは、昨日の夜にエイダとも訪れた、シェーナさんの行きつけである西洋料理のお店だった。


「一度、エオルちゃんとも来たかったのよねー。ムクロンちゃん、昨日と同じ店だけど良いかしら?」

「全然構いませんよ!」


また一緒にご飯を食べられるだけありがたいのに、文句を言うだなんてとんでもない!シェーナさんと食べられるならそれだけで最高だ!


「三名で」


二つの席がテーブルを挟んで向かい合わせになっている四人席に座ったのだが、エオルは俺の隣ではなく俺の反対側に座っているシェーナさんの隣に座った。

てっきり、いつも一緒に居る俺の横に座るのかと思ったけど違ったか……。もしかして、あの二人ってそんなに仲良いのか?でも、今朝まで「店長さん」呼びだったし距離が遠いように見えたのだが。


「私はサンドイッチにしようかしら」

「私はグラタンで」


昨日シェーナさんが食べてて美味しそうだったから、同じ物を頼んでみよう。それにお店のは焼きたてだし、ポーチから取り出して熱風を魔法で出して温めた料理よりも格段に美味しいしな。


「僕はパスタにします!」


エオルが頼んだのは昨晩エイダが食べていたパスタか。アレも美味しそうだったけど、昨日の事を思い出しちゃうから頼めなかったんだよな。


「エイダちゃんも昨日、ここのパスタを食べたのよ」

「へ、へぇ〜。そうなんですね……」


エイダの事が話題にあがるとエオルの顔が曇る。それなら、昨日エイダがパスタを頼んだのを知っているから、あえて頼まなくても良かったのに。それとも、美味しいってエイダも言ってたから気になったのかな?


「おまたせしましたー!」


注文してからしばらく経ったら料理が届き、各々の前に置かれた。


「熱っ!はふはふっ、美味し〜い!」


グラタンはめっちゃ熱いけど、めっちゃ美味しかった。舌をまた火傷(やけど)してしまったので、後でヒール使って治そう。


「……うん!パスタも美味しいです!」

「うふふ。エオルちゃんも気に入ってくれたようで何よりだわ」


エオル、良い笑顔で食べてるなー。それに、シェーナさんとも会話が(はず)んでる……。うっ。今、二人が会話しているのを見て、昨日のここでの景色を思い出してしまった。昨日はエイダだったが、今日は代わりにエオルが居る……。そうか、俺はエオルやここに居る人達を守ったんだな。モンスターでは無く人と戦うのは心苦しいが……せっかく転移者特典で最強になれたんだ、これからも責任を持って守り続けないとな!たとえ、その先にどんな悲劇が待ち受けていようと……。


「今日は私が(おご)ります!」


まず始めに、みんなの所持金を守ることから始めよう。


「とても美味しかったです!このお店を紹介してくださりありがとうございました!」

「喜んでくれて嬉しいわ!また来ましょうね!」


店の外に出てシェーナさんと別れの挨拶をし、それぞれが家に向かって帰路(きろ)についた。そして、俺は食事中、エオルに対してずっと思っていた事がある。


「あのさ、エオル」

「なんですか?」

「おっ……私とあんまり話してくれなくない?」


シェーナさんと店で会ってから俺と全然会話してくれない。なんだか、思春期の子供が居る親の気持ちが理解できた気がする。


「えっ、そんな事ないですよ?」

「ほら、今もそっけなく返した」

「別に……そういう気分なだけです」


明らかに普段と態度が違っていて、冷たく扱われている気がする。まぁ、きっとショッキングな出来事があって疲れたんだろう。


「今から風呂に行くか?」

「いえ……一人で入ります」

「そっか。……あっ、じゃあ私はこっちだから。また明日なー!あっでも無理はするなよー!」


家に向かうエオルに対して大きく手を振る。明日もお店の仕事があるが、精神的にキツかったら無理せず休んでほしい。


「はーい。さようならー」


エオルは小さく手を振り返してくれた。かなり衝撃的な体験をした一日だったが、心の傷がいつか()えてくれるといいんだが……。今は一人で色々と悩んでいると思うし、そっとしてあげよう。


カポーン


「ふぅ……」


一人で温泉に入っている間も、「エオルも今入っているのかな……。リラックスできてると良いんだけど……」という悩みはずっと頭の中にあった。

それも「人が豹変(ひょうへん)して襲ってくる」事を経験してしまったので、人間不信になっていなければいいのけど……。


バタンッ


家に帰って来て布団に入る。昨日はもう一人居たのだが、居なくなると途端(とたん)に部屋が広く感じる。

……エイダとの思い出がフラッシュバックしてなかなか寝られないが、街のみんなの安全を確保する為にも、明日は絶対に国にマオウグンについて報告に行かなきゃな!


マオウグン……ゲームには居なかった謎の存在……。別の世界、変な能力、戦闘力の高さ、それに会話ができるなど、その正体は全てが謎に包まれている。……知りたい。俺は、何としても正体をこの手で突き止めたい!

これにて第一章「禁断の果実編」は終わりです。

次話から第二章「マオウグン編」が始まります。


・第二章あらすじ 〜マオウグンの存在が判明した事で、黒曜の騎士もその仲間だと疑われる!?〜

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