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第4話 面白き母と魔女の弟子達の名は

 私の名前はシェリー・ヴァレリウス・エリュシュロン。竜人族にして、この世界で希少種とされる竜星の一族。


 そして、この子が私の最愛の子、シオン。


「だう!」


「ウフフ、今日も可愛いわよ。シオン」


「あぅ!」


 この子は産まれた時と、私の夫リンクの親友『輝龍ライアノル』に夜空を追われた時以外は泣いた所を見たことがないの。


 この子は私とは違う。才能があるの。本物の才能が……見た目は私に似たけれど、夫のリンクにその才能は似ている。


 シオンは産まれた時から、私やリンクとの意志疎通ができた。

 喋りはしないけれど私達の喜怒哀楽を理解して、ちゃんと私達の意見を聞いてからあいづちを打ってくれる。


「あぅ!」


「ええ、今日もセレンティシア様のお仕事のお手伝いよ。私が古代語を読めると分かってから翻訳ほんやく係としてこき使われてるの」


「はぅ!」


「……そう。シオンは私達の隣で真紅様から、魔絵本朗読を聞かせてもらうのね。お互い頑張りましょうね」


「おぅ!」


 今、思うと赤ちゃんなのに、こ完璧な意志疎通がいけなかったのかもしれない。

 こんな親子のやり取りを龍国エシュロンでやってしまったせいで、国から追われる立場になってしまったのかもしれない。


(……何故、産まれたての赤子がそれ程までに知にけている?)

(竜星の一族だからか? 特別だから不気味なのか?)

(竜星の聖女様に知られる前に消すべきだ!)


(((厄災となる赤子は消すべきだ。その母親も……英雄リンクが戻って来る前に始末せねばならない。殺せえぇ!)))


 それからはまるで悪夢だった。夫リンクが留守なのをいいことに龍国の一部の過激派は、私達の住まいを燃やし。


 夫リンクの親友でもある氏族『輝龍ライアノル』に私達の殺害をわざわざ命じた。

 

 ライアノルが私達を殺す事で、夫リンクと不仲ふなかにでもさせたいというあさはかな考えにいたった人がいたのかもしれない。


 その後は逃亡。私の得意な風魔法で〖輝星の最果て〗まで逃げて逃げて逃げ回って、ライアノルに、1度私は体の半分を、下半身を吹き飛ばされて殺された。


「……その筈なのに。私の下半身は完全に治ってるし、前よりも感度が良く……いえ違うわ。下半身が前よりも身体能力が上がったのよね」

「ばぅ!」


 恐らく龍国での私達の扱いは死亡扱い。『輝龍ライアノル』もセレンティシア様に永久石化された。龍国英雄の突然の石化、その責任は恐らく夫リンクが取らされる。


 あの人は頭が良いし私達の失踪を知れば身を隠す。竜星の一族は何をされ、何が起こるか分からない運命を背負わされた一族……緊急事態についての備えには、紅蓮の一族や新緑の始祖と遜色ないくらいに備えてきたもの。


「今頃、お父さんは私達を探してくれているかもね。シオン」

「あぅ?」

「そうね。自分自身で身を守れる位になるまではここで頑張らなくちゃね」


 セレンティシア様。龍国でも高名な世界最高峰の魔法使い。


 魔殺しの殺戮者、叡知の魔女、暗黒期の英雄、祝福の聖なる乙女。


 数百年前から『世界セファルレギア』に危機が訪れる度に、世界を救っては何の見返りも求めずに静かに消える救世主。


「そんな人に命を救われて……ご主人様として雇われて……夜は夜な夜な求められる様になって、私は……私はぁぁ!! 私には夫がいるのに御開帳されちゃうなんてぇぇ!」

「……ば、ばぅ?!」


 毎夜毎夜、竜星の一族としての実験とか言って、セレンティシア様の部屋に呼び出されては、あんな事やこんなニャンニャンを……駄目。思い出しては駄目駄目よ。シェリー!! 正気が保てなくなるわ。


「……………今日も1日お互い頑張りましょうね。愛しのシオン」

「わぅ!」


 我が子と拳と拳をくっ付け合わせて、今日1日を頑張る事を近いあった。


《セレンティシアの事務室》


 世界最高峰の魔法使い。セレンティシアです。私は今、目の前のあり得ない光景に頭がくらくらしています。何ですかこの書類と手紙の束は?

 

「何ですか? この紙の山々は私に何の恨みがあるんですか? 真紅さん」


「お黙り下さい。セレンお嬢様、貴女が数ヶ月の間行方をくらませた結果を直視して下さい……目をじ開けて見るのです。自身の罪を」


「痛たた! 私の頭を空中に持ち上げないで下さい。目、目を無理矢理抉じ開けようと頑張らないで下さい。真紅さん!!」


コンコンッ!


(……あれ? 反応がない? 失礼…するわ……します。セレンティシア様。以前、中からの反応がなかったら勝手入って良いと言われてましたよね? 良いんですよね? 入りますよ……)


ギイィ……ガチャッ!


「おはようございます。セレンティシア様。真紅先輩……てっ何なさってるの? こんな朝早くからイチャイチャしてるなんて」

「うぁ!」


 扉が突然開いたと思ったら、私の専属人妻メイドのシェリーが、愛弟子候補のシオン君を抱きながら現れましたね。


「シェ、シェリー! 良いところに来てくれました。この生意気メイドの真紅さんが私にお仕事をさせようとしているんです。止めさせて下さい。私はお仕事が大嫌いなんです!」


「……この野郎ですね。セレンお嬢様は、全く。セレンお嬢様が行った大魔連合討伐を祝う式典への出席の要請が王城から来ています。それとセレンお嬢様の弟子になりたいというお子様達を連れた貴族の方々が国中から来られる予定です」


「それは弟子の魔剣使いのジルさんに行ってもらいましょう。そうしましょう!」


 面倒事めんどうこどは今まで育てきた弟子に丸投げ一番効率が良いのですよ。そうすれば私は自由を謳歌おうかできます


「……またですか。このアホ魔女様は……では近々あるセレン魔法学園の入学式挨拶はどうされますか?」


「弟子のリーゼロッテちゃんに代理を務めてもらいましょう!」


「……では次にセレンお嬢様が書かれた著者物のミネルヴァ魔法図書館への封書・・ほどこされますが、どうされますか?」


「それは弟子のシェフィールド・シャマルさんに任せましょう」


「……最低のお師匠ですね。では次に……宝石の国『ティアラ王国』での講義の依頼はどうされるのですか?」


「100年前から弟子にしているマルス君に行かせて下さい」


「……宝石の国に行きたくないからマルス様を捨て石にする気ですか? お可哀想な弟子様ですね……それと魔笛車ヴォルフガングの破壊依頼が冒険者ギルドから依頼として来ていますが、そちらはいかが致しますか?」


「そうですね……最近、私の元を卒業した弟子達『氷の落日』に対象させて下さい。あの子達は今やA級冒険者。師匠の私を遥かに越える力を持っていますので」


 そう。あの子達ならば必ず魔笛車ヴォルフガングを攻略してくれます。なんせ私よりもよっぽど働く意欲にみちみちていますもんね。


魔笛車ヴォルフガングに乗りたくないからって、言い訳が苦し過ぎますね。あの方々程度ではまだ対象しきれないと思いますが伝えておきます」


「何を言っているんですか。なんとかしてくれますよ。あの子達なら余裕ですよ。では私は愛弟子候補のシオン育成に忙しいですし。それでお願いしますね。真紅さん これで全部解決ですね!」


「いえ……最後に1つ残っております。『古の放浪者』の対象はどうするのですか? 封印時期が近付いておりますが」


「それは……私が育てあげた最強の弟子『ゼロ』君に封印してもらいましょう。私から直々に手紙を送っておきますよ」


かしこまりました……面倒事は歴代のお弟子様達に一任する。その様に各方面にはお伝えしますが……多分。後々、セレンお嬢様自ら対象する羽目になるかと私個人は思いますが、本当によろしいのですね? セレンお嬢様」


 零距離で……真紅の瞳で睨み付けないでほしいですね。心臓に悪いので。


「え、ええ、皆さん。私の自慢な弟子達なのでなんとか乗り越えてくれますよ。多分!」


「……はぁ〜、畏まりました。皆様にはそうお伝えします……シェリーさん。私はしばらくの間屋敷から離れますので、セレンお嬢様のお世話を宜しくお願いしますね…では」


「は、はい。行ってらっしゃいませ。真紅先輩……」


 真紅さんはムッとしたお顔で私専用の事務室から退出していきました。


ギィィ……ガチャッ!!


「なんか……真紅先輩。起こってませんでした? セレンティシア様」


「3人の時は敬語は必要ありませんよ。シェリー」


「え、? あっ! 分かったわ。セレンティシア様……それで何であんなに真紅先輩は怒ってたの?」

「しゃう!」


「……私に舞い込む問題事が多いからでしょうね。それを対象する為に忙しくなり。個性豊かな私の弟子達と接触するのが嫌なのでしょう……」


「はぁ、そ、そうなの……」

「ほぅ!」


「ええ、どうやら私がここ数ヶ月の間、世界の情勢から目をらしている間に、色々な場所で事件が頻発している様ですね」


 ……竜星の一族もその1つの様ですが。この件はまだこの親子には伏せて置きましょう。この子達にはまず先に自衛できる位の力を付けてもらわないといけませんからね。


「えっと。今日は何をするのかしら? セレンティシア様……まさかまたエッチィ事でもするの?」

「ホァ?! ウシャア///」


 シェリーは自分の赤ちゃんの前で顔を赤らめながら何をトンデモ発言をしているんですか? それにシオン君も顔を赤らめちゃって、本当に似た者親子ですね。この親子は。


「そうですね……先ずは世界最高峰の戦闘をシオン君にせてあげたいので、あの人の元へと向かいましょうか」


「あの人の元?」

「うぅ?」


「はい。この世界の極東最強であるナルカミ君の元へ行きます」


《ヒノ国 天島 鳴神社》


「ミコト様〜! セレンティシアさんから念話が来ましたよ〜!」


「あん?……何だ? セレンティシアの奴。いつぞやの時の様に、戦争でも仕掛けて来たか?」


「いえいえ。普通に遊びに来るそうです。新しいお弟子さんをお連れになって」


「新しい弟子?………何故、俺の元に見せに来る必要がありやがる?……」

《ヒノ国雷将軍 ナルカミノミコト》



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