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石の竜

「すっごい!、カチカチで強そう〜!」


「あったりめぇよ!、こいつはこのダイン様の石竜だからな!、そんじょそこらの運び屋の相棒とは訳が違う!」


 マオが目を光らせながら石竜に触れている。

 石竜とは、この世界における馬のようなものである。

 全身がゴツゴツした石で出来ており、足は4本で像ようにむっくりした体型だ。

 大の大人が何人でも乗れそうな風格漂うその姿からは、生命の力強さが感じられる。


「これほどまでに立派な石竜は初めて見ました」


 レスカも石竜の頰に触れて、価値を納得しているようだ。

 レスカとマオが触れていると、石竜もなんだか気持ち良さそうな表情をのぞかせる。


「そんなにいい石竜なのか?」


 ユウリにはいかんせん価値が分からなかった。

 ダインが説明口調にこの石竜の価値を説明するが、それでもやはりどれくらいすごいのかがわからないようだ。


「まあ、俺にはどれくらいすごいのかがわからんけど、レスカがそういうならきっといい石竜なんだろうな」


 両手頭の後ろにおいて、レスカの方を見つめる。

 すると、レスカの口調が饒舌になり下の文を語り出す。


「ダインさんのいう通りです、この石竜は普段から栄養バランスのいい石を食べて力をつけて、消化吸収のいい草を食べていますね、それにこの肌のカチカチ感、充分な睡眠と食事を与え、運動している証拠です!」


 レスカの迫力ある解説に圧倒されながらユウリの顔は引きつっている。


「そ、そうか...」


 ユウリの姿を見たマオが茶化しに入る。


「勇者がレスカに押されてるな〜w」


 頭を掻きながら勇者はそっぽを向く。

 正直レスカの迫力に押されたのは本当のことなので、返す言葉もない。


「赤髪の嬢ちゃんは見る目があるね〜、嬢ちゃんの言う通り、こいつには相当な金額つぎ込んでんだ、俺は」


 石竜の体に手をつきながら、ダインは自慢してくる。

 石竜の話で盛り上がる3人を見て一人蚊帳の外なユウリは、ため息を吐く。

 3人の盛り上がりが落ち着いてくると、ユウリは目的地を指定する。

 ダインは目的地を聞くと準備をし始めた。

 石竜と荷馬車を連結させる。

 ユウリ達はダインの荷馬車に乗り込んで出発を開始した。


 〜始まりの平原〜

 ユウリ達を乗せた竜車は力強く前進を続ける。


「おお!、竜車って早いんだな!、余は乗ったことがないから面白い感覚なんだな!」


 竜車を全速力で走らせているので少し竜車内は荒れている。


「白髪の嬢ちゃん、すまねぇな、ユウリのダンナが全速希望なんだ、少々荒れるがスピードは保証するぜ!、ってもう寝たのか...、タフな嬢ちゃんだな」


 マオはさっきまではしゃいでいたのに、いつのまにかこの荒れる竜車の中で呑気に寝ていた。

 さっきまでの戦いの疲れが出たのだろう。

 だらしなくよだれを垂らしながら右に左にコロコロ転がりながらも寝ている。

 もはやなんで寝れるのかが不思議なくらいだ。

 それほどまでに疲れているなら、ありえなくもないのかもしれないが...。


「こいつは...、なんで寝られるんだ?」


「相当疲れていたんでしょうね...、ところでユウリ、どこへ向かっているんですか?」


 マオを心配しながらも、それどころではないユウリとレスカは、竜車の前端に座り、安定感得るために運転手のいる方の手すりをしっかりと握っている。

 質問されたユウリは静かに口を開いた。


「港に向かっている」





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