マオのスキル
仕事の休憩中に執筆再び!
「おいマオよ...、これなんだ!?」
ユウリは口をプルプルと震わせながらマオに尋ねる。
マオのスキル欄を見たときに圧倒的な違和感覚えたので調べてみたら、とんでもない事実が判明した。
「お前...、お遊戯のスキルMAX経験有りってなんなんだよ!」
固有スキル、元お遊戯マスターを得ていたので、これに関して問い詰める。
マオはキョトンとした顔のまま戻らない。
「いや、何って、ただの元お遊戯マスターだけど...」
「いや、お前は魔...、コホン、とにかく、そんなもん覚えているような職種じゃないだろう」
「でも、余はそれを重点的に極めたぞ、理由は面白そうだったから!」
こいつ...、正気か!?
ユウリはマオの言葉に耳を疑った。
お遊戯のスキルなんてどれもくだらない、点で役に立たないスキルばかりだ、魔王が覚えて得になるものなど存在しない。
昔、お遊戯スキルを極めて行ってたやつを見たことがあるが、ろくなスキルを所持していなかったのを思い出す。
面白そう、それだけの理由でスキルを身につけるなど愚者のやることだ。
「とにかく、これからレベルが上がってもこんなスキルに振るなよ」
「ええ〜、せっかく面白いスキルがいっぱい手に入ると思ったのに〜」
だが、一度お遊戯マスターになった者が、もう一度お遊戯のスキル上げるとどうなるのかは少し気になったので聞いてみる。
「とりあえず、どんなスキルがあるんだ?」
「えっとね、目から光が出るスキルと舌が長くなるスキル、後気になるのは火吹き芸とカードのシャッフルが上手くなるスキル!」
「極めるの辞めちまえ!、そんな糞スキル群!」
嬉々として語るマオにイラついたユウリは、空に届くほどの大声で叫んだ。
あまりにも覚えるスキルがアホくさすぎてそんなものにスキルポイントを振るのは勿体ないと感じる。
「ええ〜、でもお遊戯のスキル以外だと魔王のスキルくらいしかいいのないよ...」
「それでいいんだよ!、お前は魔王だろ!」
つい大声で魔王の名前をはっきりと言ってしまった。
流石にこれだけ大きい声で叫べばレスカに聞かれたであろう。
恐る恐るレスカの方を向く。
レスカはキョトンとした表情でユウリを見ている。
「レスカ...、これには訳があってだな...、そうそう、ちょっと本気で魔王のスキル持っている風なごっこあそびしてただけ!、そうだよそうそう」
身振り手振りでどうにか誤魔化そうとする。
だが、レスカの真剣な眼差しが変わる気配はない。
ユウリは汗をタラタラ流しながら、言葉を考えるが出てこない。
「マオちゃん!」
レスカの一声に、二人は息を飲む。
そしてマオの両肩を掴んで、マオの瞳を覗き込みこう叫んだ。
「すごいですね!、マオのスキルだなんて!、人物名のスキルなんて聞いた事もありません!」
予想外の反応にユウリは困惑した。
(ええ〜、あの距離で聞き間違えるの〜...、もしかして俺の彼女難聴なんじゃ...)
レスカ難聴説が浮上しながらも、この場は丸く収まりそうだと苦笑いするユウリだった。