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海の中

「だいぶ暗くなってきたね」


 私はアオに外の風景を指差して伝える。


「そうですね、暗すぎて何も見えません」


 彼女も何があるのかわからないほど暗いことに少し不安がっているようだ。


「アオ、大丈夫何かあったら私が守るから」


「ふふっ、期待していますよ」


 彼女にそんな事を言われるとやる気が出る。

 その場でシャドウボクシングのように拳を振る。

 そんな事をしていると、不意にブンブンが機体内に声を響かせた。


「ザーク様、アオ様、お待たせいたしました、海底300メートル海の神秘をお楽しみください」


 暗い海中がライトで照らされる。

 そこにはこの世の光景とは思えない風景が広がっていた。

 美しい色の魚達が踊るように泳ぎまわり、海産物の光沢が綺麗に輝いている。


「これが...海の中...」


 私は声を漏らしていた。

 こんな暗い場所にも生きている生物がいて、こんなにも綺麗な物が存在するのだという事実に感動していた。

 アオも私と同じように外を見ていたので、多分同じような気持ちである事は想像に難くない。


「綺麗ですね!ザーク様!」


 急に振られたので適切に答える。


「うん!こんな暗い場所に生き物がいるなんてびっくりしたよ」


 窓の外に広がる光景を目に焼き付けるように見つめる。

 こういう世界もあるんだな...。

 私が感動していると、不意にノイズ音の様な声が脳内に響き渡った。


「ザーク...ここまでおいで...」


 ...?。

 今のはなんだろうか?、確かに誰かの声が聞こえた様な気がする。

 試しにアオに聞いてみる。


「アオなんか言った?」


「いえ、特に何も言ってないですけど...どうされました?」


「ううん...なんか変な声が聞こえたから...」


 彼女には聞こえなかったらしいので、きっと空耳だろう。

 私はそのまま海の底の景色を堪能した。


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