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激戦! リダさん、どうしてかイリさんと戦う【10】

 翌日、私はチズとジャンの二人が住んでいたアパートに誘われ、学校が終わった後にいつもの四人と遊びに来ていた。


 そこらの関係もあり、フラウやルミ、ユニクスの三人も一緒にチズ宅へとお邪魔していた。

 いきなり四人が押し掛けたからか? 茶の間に当たるリビングは地味に狭苦しくなっていた......うん、次回はもう少し考えてから遊びに来よう。


 そこに、ニイガへ帰る前に軽く挨拶だけしようと顔を出して来たイリとキイロまで来たから、かなり大変な事に。


「えぇと、近くの店にでも行こうか?」

 

 こう言っては何だが、純然たる私のせいで、チズのアパートがすし詰め状態になってしまった訳だし......申し訳ない気持ちしかない。


「ああ、大丈夫だ。俺は俺でコイツらにも用事があったんだが、どの道すぐ終わる」


 そこでイリがかったるそうな顔して手をプラプラさせていた。

 一見すると、賞金稼ぎのターゲットとしてまた見ているかの様な発言だが、そうではない事は今のイリの態度が無言で語っていると見ても良い。


 ついでに言えば、どうしてこんな所にイリとキイロの二人がやって来たのか? その理由も分かった。


 私に別れの挨拶をする予定は別にあったのかも知れないが、今回は純粋にチズ達へと会いに来ただけみたいだ。


「はい、チズさん」


 そう答えたのは、イリの隣にいたキイロだった。 

 紙袋を両手に持っていたキイロは、ニコニコ笑顔でチズに手渡そうとしていた。


「? これは?」


 良く分からないまま手渡されたチズは、手にした紙袋の中身を見て愕然となる。


「っ! えぇぇっ!」


 中には一万マール札がぎっしりと詰まっている。

 普通に二束はありそうだ。


「出産の前祝い。これで元気な赤ちゃんを産んで下さいね! チズさん」


 答えたキイロは可愛くウインクした後、


「ファイトッ!」


 そうと、テンション高くしてチズの肩をポンと叩いて見せた。


「......キイロさん」


 チズの瞳にじんわりと涙が出ていた。


「ああ、まぁ......その、なんだ。キイロのヤツがどーーーーーしてもお前に元気な赤ん坊を産んで欲しいってきかなかったんだ」


 そこから、聞いてもいないのに言い訳をし始めるイリがいた。

 別に言わなくても良い事を強調しなくても良いのに。


「こんな大金......本当に良いのですか?」


「ぜーんぜん大丈夫ですよ! うちの旦那ってホラ? 凄腕なんで。その程度のお金なら平気で一晩も掛かんないで稼いで来るんですよ。本当に」


 キイロは手をプラプラさせながら、笑顔で言って見せる。

 冗談みたいな台詞だが、本当だったりするのだから......なんか、微妙な気持ちにさせてくれる。


「誰がお前の旦那だ......まぁ良い。ともかく今は何かと物入りなんだろう? それなら素直に貰っておけ。別に、後で返せだなんて言わないから」


「いいえ! この恩はちゃんと必ず返します!」


 チズは涙を溜め込みながらも、力強く断言して見せた。

 

 その後、この恩が巡り巡ってイリとキイロに返って来るのだが......ま、多分バージョンが違う話になりそうだから、今回はここまでにして置こう。

 そうだな? 情けは人の為ならずって事なんだろうよ。


 閑話休題。


「本来の俺は、どんなに今を正しく生きていても、罪は罪として断罪する側の人間だ。今回はリダに免じて引いてやるが......再び暗殺者としての道に足を向けた時は、今度こそ俺がお前達を断罪してやる。そこだけは忘れるんじゃないぞ」


「はい! その時は、私達はイリさんやキイロさんに裁かれに行きます!」


 なんて間抜けな宣言をしてるんだろう?

 けど、きっと本気で言ってるのだろうチズに、私は思わず苦笑しか出来なかった。


 視点を変えれば喜劇とも取れる断言をして見せたチズがいた所で、イリとキイロの二人がアパートから立ち去った。


「チズさぁーんっ! またねぇっ!」


 最後に、キイロがチズに向かって大声で叫ぶ。


 かくして。

 イリが愛用している飛竜が飛んで来ると、二人は軽く飛び乗って、そのまま大空の彼方へと飛び去って行くのだった。


 どうでも良いけど、街中で飛竜なんか乗ったら周囲の地元民が驚くぞ......ここはニイガじゃないんだからな?


 なんにせよ、これでチズ達の脅威は一先ひとまずの区切りを向かえた。


 もっとも......完全な解決はまだ先なんだけどな?


 そこらの関係もあって、私はチズの自宅へと遊びに来ていたんだ。


 視点を変えると、フラウとユニクス、ルミの三人がチズ宅の茶の間で、勝手にキャイキャイ騒いでるのが分かる。

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