リダさん、地味に正夢を見てから、何故か襲われる【9】
どうやら、クライアントに焚き付けらた二人は、その翌日にリダが友人と一緒に街へと買い物に出掛けると言う情報をプレゼントした上でリダを殺せと言って来たらしく、二人いた暗殺者の一人......綺麗な顔をした 美人のお姉さんが私を襲った。
ここからは、私も知ってる流れだな。
書店から出て来てすぐにゴルゴンが私を襲おうとした所で、そのゴルゴンを狩ろうとしていたキイロとイリの賞金稼ぎがやって来た。
結果、私を殺しそびれたゴルゴンの女が、舌打ち混じりで逃走した。
......と、なる。
それにしても、ゴルゴンか......。
また、面倒な相手に狙われてるなぁ......。
思わずほやきたくなる相手だ。
一応、イリ達の方ではゴルゴンの詳細も出ているらしい。
少し長くなるが......なるべく掻い摘まんで説明するとこうだ。
ゴルゴンには三つの派生がある。
正確には三姉妹と述べた方が良いか?
まぁ、元々は三姉妹なんだが......ここに関しては長くなるから割愛する。
大まかに別れて、以下の三つだ。
・エウリュアーレー
・メドゥーサ
・ステンノ
この三つが基本で、ここから派生する。
真ん中のメドゥーサは結構有名かも知れないな?
ゴルゴンと言ったら、真っ先にメドゥーサの名前が出て来る位、有名な名前だとは思う。
さて、この三つと言うか、三人のゴルゴンなのだが......実はメドゥーサはとある女神に殺されてしまう為、メドゥーサはメドゥーサ単体しか存在しない。
仮に何らかの方法を駆使して、メドゥーサを甦らせたとしたら、それは派生表の最上段にいる本家本元のメドゥーサと言う事になる。
もしかしたら、この辺の関係もあって、メドゥーサが一番有名なのかも知れない。
能力としても、メドゥーサが一番高いし......まぁ、なんだかんだで有名になる理由もあった。
そこらはさておき。
残りの二人はゴルゴンとしての能力を持ちつつ、ひっそりと暮らしていた。
一説によると、この二人は不老不死らしいのだが、少なからず私の知るゴルゴンはちゃんと絶命もするし、年も取っていた。
多分、これは伝記か何かで生まれた、物語的なエッセンスっぽい。
......もしかしたら、純粋なゴルゴンは本当に不老不死なのかも知れないけどな。
この辺は私も分からないので、不老不死かもしれないと言う程度にとどめて置こう。
今回のイリの調査だと、三番目に述べているステンノを最上段に置いたゴルゴンの血筋なんだそうだ。
千年以上も昔に、西の大陸の辺境で隠者同然の生活をしていたステンノ。
メドゥーサもそうなのだが、実はゴルゴン三姉妹は全員美女だ。
ただ、その美女っぷりが元で色々な粗相をしてしまう海の神様が原因で、残念な悲劇に発展してしまう。
また、根本的に悪魔の様な性質も持ち合わせてはいない。
メドゥーサの場合は......まぁ、なんてかちょっと可哀想な事がありすぎて、最後は病んでる人になってしまう傾向にあるのだが、ステンノはそこまで酷い事にはならなかった所もあり、隠者と言う憂き目こそ遭ってはいたけど、壊れた人間までは行かなかった。
結果、ステンノには長い派生図がある。
......尚。
これはフィクションなので『そんなのないのですが?』とか言わないよーにっ!
閑話休題。
エウリュラーレーの方にも長い派生はあるんだが......長くなるから割愛。
ともかく、ステンノにスポットを当てるぞ?
隠者ながら、それなりに幸せに暮らしたのか? 結構な数の子供が生まれている。
そこから千年。
現在では、ステンノの血を引いたゴルゴン系の人間がそこそこいる。
噂ではステンノの名前をそのまま使っている、ステンノの街に住む大半の地元民は大なり小なりゴルゴンの血筋を持っており、その能力もまた個人差がある物の、ちゃんと備わっているんだと言う。
そして、今回の暗殺者に繋がる。
地味に長かったねぇ。
チズ・ステルアと言う名前の女で、極めて希となるゴルゴンの隔世遺伝を持つ人物らしい。
簡単に言えば、先祖返りしてゴルゴンの能力を強く持ってる訳だな。
元々は地元のステンノでひっそりと暮らす農夫の娘でしかなかったのだが、野盗に襲われて奴隷商人の元に引き取られてしまい......彼女の人生は大きく狂って行った。
以後、奴隷としての生活を余儀なくされた彼女だが、ある切っ掛けを境に暗殺者としての道を進む事に。
ここで、ゴルゴンの血筋である事が彼女の運命を左右したのだった。
その後、色々あって全世界指名手配となり、今に続いている。
イリの情報を見る限りでは、ここまでだ。
もう一人の魔人については、今の所は詳細が入って来ていないらしい。
詳しい事が分かり次第、話すとの事だ。




