リダさん、地味に正夢を見てから、何故か襲われる【8】
見事に恋する乙女してた。
そこで、ヒョコッとキイロがイリへと尋ねて来た。
「......本音は?」
「トウキ旅行が決まったから、可愛い子とウハウハ出来る日を楽しみにしてた」
......ああ。
なんか、ポロっと言ってるよコイツ。
普通に最低な台詞を。
ピキッ!
その瞬間、ルミとキイロの二人に入っては行けないスイッチがオンしてしまった。
「へぇ......トウキに来た理由ってそれなんだ?」
「もう、やってしまうしかないです、姫様!」
世の中に怒りのステータスと言う概念があったのなら、二人のステータスは現在マックス値だろう。
そう言う顔になっていた。
その後、イリはルミに凶悪な爆破魔法を喰らい、更にキイロの口から放たれたドラゴンブレスでこんがり焼けていた。
■○◎○■
イリとキイロの二人だけが、トウキにやって来た理由は福引の懸賞で一等が当たったからだそうだ。
つまり、完全なる観光だった。
ここらの関係で、オリオンと......ネタバレになるから名前は伏せるが、その彼女はお留守番なのだと言う。
所が、こっちにやって来る少し前に、事態は少し変わったと言う。
イリの所属する賞金稼ぎ組合で入手していた不穏な情報がそれだ。
恐らく、それは私達が持っている情報と同じ物なのだろう。
ただ、情報収拾能力が高いのか? 私達より少しだけ正確な情報を仕入れていた。
賞金首として全世界のお尋ね者になっていた、魔人とゴルゴンの二人がこの大陸に現れた......と言う情報だ。
ここだけだと、私達の情報よりもぼんやりしている様にも見える。
もちろん、続きがある。
この凶悪な魔人とゴルゴンは、船を使ってニイガ湾から上陸し、そのまま真っ直ぐカントー帝国を目指した。
その後、消息を絶ってしまい......謎のまま脅威が去ってしまった。
......と、思っていた所で新情報が。
今まで消息を絶っていた二人が、トウキの街で発見されたと言うのだ。
突然、消息不明になり......なんらかのトラブルに巻き込まれて死亡したのでは? とすら言われていた二人が、実は普通に街の人間として溶け込んでいたと言うのだ。
それも普通に定住するつもりでいたのではないかと言うレベルで、街の住人になっていたと言う。
まぁ、これで普通の人間であるのなら『こっちに移住したのね、よかったね』で、済む話かも知れないのだが......当然、それでは済まない。
全世界で指名手配になってる程の賞金首なのだから、賞金稼ぎ組合だって黙っている訳にも行かない。
そこで、旅行中ではあるが、標的と遭遇した時は、その賞金首も狩って欲しいと組合長であるクロノスに言われていたイリ。
飽くまでも、その賞金首と遭遇したらの話しだったし、仕事として引き受けるかどうかは現地に来てから決めるつもりだったらしい。
果たして。
二人は暫定ではあるが、標的となる二人を確認する為、観光がてら情報の場所を訪ねて見た。
情報の通りであるのなら、トウキの土産物屋で普通に店員をしてるらしい。
実際にその通り過ぎて、草が生えそうになったと、イリは苦い顔になってぼやいていた。
取り敢えず、様子見も予て二人の状況を観察していたイリとキイロ。
見る限り、怪しい部分が無さすぎて逆に困った程だった。
結局、何も怪しい部分も見つける事なく、その日は終わった。
素直に観光しておけば良かったと少し思った......的なぼやきをしていたイリが、地味に哀愁を漂わせていた。
翌日、やはり特に怪しい動きもなく......この日も徒労に終わるのか? と思われた時だ。
一人の男と遭遇してから、魔人とゴルゴンの様子が大きく変わった。
軽く聞き耳を立てて、二人の会話の一部始終を聞いたイリが言うには、
『ここには、暗殺の仕事として呼ばれていたらしいな。それでそこのクライアントと色々話しをしていた感じだった』
との事だった。
ここは、大体の予測が出来る。
暗殺の対象は恐らく私で間違いないからな。
イリの方でも、暗殺の相手が私だと気付いたらしく......ここまで分かった所で、正式に魔人とゴルゴンの二人を狩る仕事を引き受けたとの事だ。
通常の賞金稼ぎの場合、別に受注と言う方式は取らないのだが、冒険者協会公認の組合であるイリの組織は、ちゃんと正式にこの仕事を受け持ちますよと言う一定の手続きが必要だった。
賞金稼ぎとは言え組合だからな。
組合側がちゃんと把握出来る様に、身勝手な行動を制限する為の手続きなのだ。
手続きが済み、本格的に仕事として魔人とゴルゴンの二人を狩る事になったイリとキイロだったが、その行動タイミングを計っていた一方で、暗殺者である二人も私を殺そうと行動を開始していたのだった。




