表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、学生相手に大人げなく無双する。学年予選編
31/1397

【2】

 こうして本戦への出場者が決まり、後は何位通過で本戦に進むかの戦いに変わった所でお昼になる。


 例によって、いつものベンチでいつもの様に食事を取る私とルミ。

 そこにフラウが加わる感じだ。

 この辺は、ここ最近の日常になっていた。


「まずは、全員本戦出場、おめでと~!」


 答えたルミは、パンをジョッキに見立てて乾杯をするしぐさだけをして見せる。


「おめでとー!」

 

 私も合わせる形で答え、


「おめでとうです! みんなと私!」


 フラウも喜びを分かち合う感じで声を返して来た。


「それにしても、まさかこの三人が全員学年代表で、本戦に行くとはねぇ」


 白パンをかじりながら、私は言った。

 こんな事を言ったら怒るかもだが、この大会が始まる前までは、ルミ姫様がここまでやれるとは思っていなかった。

 フラウは、なんとなくだが上位四人までには入って来ると思ってたんだがね。


「そうだね~。私もまさか観戦組ではなく、出場組になるなんて、実は思ってなかった」


 ルミ姫様はニッと笑い、私を見てから再び答えた。


「ありがとう、リダ」


「………は?」


 何故かお礼を言われた。

 私が何をした?


「貴女と言うお手本がいて、色々教えて貰ったから、私はここまで来れたんだと思う」


 ……う~ん。

 なるほど、そうなるか。

 実際、確かに少しはルミに教えたトコはあった。

 けど、それは本当に細やかな物で、切っ掛けになる程度のレベルでしかない。


 簡素に言うのなら、結局はルミのやる気がモノを言う。


「私がルミにしてあげた事は、言う程の事じゃないよ。ルミの実力だと思うけどな?」


「そうじゃないよ!………ほら、あたしってさ? いつもその、能天気じゃない? マイペースな感じだったから、自分でも本気でやってると思っていても、結局はまだまだ本気になれるトコがあって」


 そこまで言うと、ルミは真剣な目で私を見た。


「それを、教えてくれたのがリダだった。だから、私はここまで来れたの」


「そうか」


 私はルミに短く頷いてから、快活に笑った。


 いやはや、人間ってのは短期間でここまで成長するモノなんだな。

 身体だけじゃない、心まで成長している。

 充実した時間をどれだけ送れるかで、やっぱり人間のレベルってのは違って来る気がするな。


「わ、私もリダに会えて光栄でした! いや、あの……学生として!」


 妙な言い回しをするんじゃないよフラウ。

 ただ、気持ちは分かるからツッコミは入れないで置いた。

 きっと、フラウとしても私と一緒にいる事で、何か思う所があるのかも知れない。

 炎神アグニの祝福も、思えば私が紋様魔法から呼び出した事が切っ掛けだった。


 なるほど。

 こう考えれば、今の私がこの学園に来た意味は既にあったのかも知れない。


 本来の目的は別にあるんだがな。


「ま、ともかく、だ? ここから先は負けても本戦には出場出来るんだ。気楽にやろう」


 私は軽く笑った。

 ………が、ここでハタッと気付いた顔になるルミ姫様がいた。


「ああ………そうだ。あたし次はリダが相手だったぁ………」


 とほ~って顔になる。

 そうなのだ。

 次の戦い以降は、とうとう同じ組代表も当たる様になる。


 その最初の形として私とルミの二人が対戦するのだった。


「……相手がリダとか、もう私が勝てる可能性がないよぅ……本気の十分の一とかでも勝ち目ゼロだよ、わ~ん!」


 いや、まだ戦ってもいないのに早くも泣いてどうするの!


「気を確かにルミ! 大丈夫! リダだって鬼じゃないから。きっと本来の力の百分の一も出さないと思うから」


「それで、私に勝ち目はあるかなぁ?」


「………」


 フラウは押し黙った。

 さりげなく、視線もそっぽを向けていた。


「うわ~ん! 負けるの分かってる試合とか、したくないよ~っ!」


 その後、ルミを宥めるのに結構苦労させられたのだが、余談だ。




 ●○◎○● 

 

  

 

 昼休みも終わり、準決勝が始まる。


 第一試合は私とルミ。

 第二試合はパラスとフラウだ。


 勝った方が決勝進出、負けた方が三位決定戦になる。

 通過順位によって本戦の組み合わせが変わるので、出場枠に入っても適当に戦う訳には行かないのだ。


 ま、私はそれでもいいがな!


「始め!」


 審判のかけ声を受けて、試合開始。


 さて、どうしたモノかね。


「お手並み、拝見といこうか」


 特に様子見と言うわけでもなかったのだが、敢えて先制をルミに譲る。


「………」


 ルミは無言のまま、こちらを見据えている。

 とうとう、本気になって私に戦意を向けるか?

 いいぞ……それはそれで楽しみだ!


 しゅぅぅぅぅ!


 ………ん?

 なんか、ルミの目がおかしい。

 てか、口からエクトプラズムみたいなのが出てる!

 いや、ルミ姫様!

 あんた、緊張し過ぎだ!

 もう、魂が口から抜けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ