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こうして私は無双する・リダVer  作者: まるたん
会長、学生相手に大人げなく無双する。クラス予選編
29/1397

【8】

 けど、つい私はパラスを睨んでしまった。

 実際、パラスが悪い部分はない。

 そこは分かる。

 けど……私の心情が、どうにもこれを良しとはしなかったんだ。


「次、もしアンタと当たった時があったら、今度は私がアンタをぶちのめす。いいね?」


「……やれる物ならな」


 パラスは少しだけ好戦的に……けど、どこか楽しそうな微笑みを作ってから、私達の前をゆっくりと離れた。


「……う、うぅ……ん」


 ルミの意識が回復したのは、ここから間もなくだった。


 やっぱり、それなりに手加減してくれてたか。

 そう考えると、やっぱりパラスの実力は普通ではない。

 やってくれるよ。

 所詮は学生の大会だと言ってた私が恥ずかしくなる。

 こいつらは、今からすぐにプロとして冒険者を始めても、すぐに上位のランクを手にする事が可能だろう。

 パラスも、そして………ルミ姫様も、だ。


「私……負けちゃったのか」


 意識が戻り、事の顛末を理解したルミは言ってから少し笑って見せる。

 私がいる手前、素直に悔しさを前に出す事が出来なかったのだろう。

 けれど、それでも尚……悔しさが顔に滲み出てしまった。


「そかぁ………負けちゃったかぁ」


 ため息混じりに、残念そうに微笑んだ。


「悲しい時は泣いても良いんだぞ? ルミ」


「……う。そ、それを今言われたら、本当に泣いちゃう」


 一気に顔をくしゃっとさせる。

 そこから、我慢してたのだろう感情の防波堤が一気に決壊した。


「うぅぅ………うぇーんっ!」


 素直に悔しさで泣き始めるルミ。

 私はストレートに抱き締め、慰め役に徹した。

 負ける事は恥ではない。

 いや、違う。

 負ける事が次の勝利に繋がる事だってあるんだ。


 私だってそうだ。

 何度も失敗したし、何回も敗北を経験した。

 挫折した事だってあるし、頓挫し掛けて悩んだ事もあった。


 ………けど。


 それら多くの苦闘があったからこそ、人は強くなれるのだ。

 勝ち続ける事だけが、全てではない。

 負ける事だって、人間が強くなる為には必要な要素なんだ。


「次は頑張って勝とうな」


「ぐす………私、もっともっと強くなる! 今度は絶対に勝ちたいもん! うぇーんっっっ!」


 悔しさに泣きじゃくるルミを優しく抱き締めた私は、この大会が学生達に様々な教訓を与えてくれる良い機会になってるなと思わされた。


 以下、次回!


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