表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美女が魔蟲  作者: 森山明
20/33

20

よろしくお願いします


申し訳ありません

昨日は予約を入れ忘れていました

 現実世界に戻り、いろんなことを考える。


 先程の行為はいくらなんでもやり過ぎの部類に入るのではなかろうか。もしかしたら運営から警告か何かを受けるかもしれないし、最悪アカウントを消去されたら堪ったもんじゃない。


「あぁぁ、大丈夫かねぇ、いきなり消されることはないだろうけど」


 夕飯を食べ終わるとすぐにログイン。


「うっくうぅぅっ、ふう、みんなおはよう」


 リーラと我が眷属たちに挨拶をする、横の未だに目の覚めないリリーちゃんを眺めながら今日は何しようかと思案する。


 里を出てから東側にはアメリアがあった、だったら西側には何があるのだろうか。大陸の中心部は強いモンスターが多いと聞くし、未だ見ぬ同族たちにも会えるかもしれない。うん、行ってみようかな。


 予定が決まったのでさっそく装備の一新しようかと思ったが、今なお握られている右手が離れてくれない。これはもう仕方がないと諦め、リリーちゃんを愛でることにしましょうか。出来るだけ密着し左手で頭を撫でてみる。


 軽く吐息をにじませてこちら側に寝返りを打ってくる。だ、抱き付いてもいいのかな、これはもう堪りませんなぁ。


 起きるかもしれないので寝ぼけたふりをしながら覆いかぶさる。丁度彼女の頭が私の胸元に来るわけだが、これがどうもいけない。なぜならいい匂いがするのだ。只今絶賛寝ぼけ中なので目を閉じているからか、そのぶん匂いや感触に敏感になっているのだ。


「うぅ~ん、ん? フウカさん? まだ寝てらっしゃるんですかねぇ」


 軽く目を覚ましたリリーちゃんはこちらがまだ寝てると思ったのか、なんとあちらから更に密着してきた。


「すぅぅっはあぁぁ、不思議です。なぜこんなにいい匂いがするのでしょうか、落ち着くのですが、心が熱くなるというか」


 リリーちゃんが私の胸元で深呼吸をしています。匂いをかがれるというのは、こんなにも照れくさいものなのか。


「おはよう、リリーちゃん。そんなにいい匂いがしたのかしら」


 そう言葉を発すると顔を紅潮させ上目づかいに睨んできた。なんという破壊力、恐るべし。


「おはようございます。起きてらしたんですね」


 眉間にしわを寄せ恨みがましげな表情でこちらを見やる。


「ふふっ、その表情もいいわぁ、なんならもっと嗅いでもいいわよっ」


「もう! からかわないでくださいよ! 今日は朝食抜きです」


 やばい、調子に乗り過ぎた! システム的にも取らないと大変なことになるし、自分的にも取らないというのはあり得ない。


「そんなぁ、ゴメン~、謝るからもうしないからぁ、許してぇ~」


「許しません! 意地悪するからいけないんですっ! 」


 私の胃袋はリリーちゃんに掴まれている。部屋をプンスカ怒りながら出ていこうとするリリーちゃんに縋り付きなんとかお許しをもらえた。


 許してもらえたお礼にほっぺにチューしてあげました。まだ怒っているような表情をしていましたが私は見ましたよ、朝食を作っている時のあの浮かれた雰囲気を。軽く鼻歌まで歌っていた、これは言っちゃいけないね。今度は本当にご飯抜きになってしまう。






 さて今日は、最初は新しく防具と弓を作ろうかな、ではいってみよう。


 とその前に、前から考えていたことの実験をしてみよう。


 それは木偶の有効な使い方だ。簡単に言うなら私の代わりに織ってほしいということだ。本当は私自身がしなくちゃ気が済まないのだが、いかんせん時間がかかるし、睡眠度の導入で制限もあるからね。


 木偶を呼び出し織機に座らせる。


「木偶よ、とりあえず織ってみてちょうだい」


 私の言に静かにうなずくと機を織り始めた。うん、どうやら問題ないな、まあ私よりうまく織れるはずはないだろうけど、これから積極的に織ってもらおうかな




 まずは防具からだけど、忍者スタイルは変えないでいこうと思う。ちょっと意匠は変えてみよう。


 あらかじめ織って茄子紺色に染めていた反物を取り出す。


〔絹の反物〕

素材アイテム レア度:C 品質:B

茄子紺染め

陰陽蟲と土蜘蛛の糸を用いて織られた反物

肌触りが心地よく丁寧に織られている


 デザインはもう決めております。露出度を高くしてみよう。セクシーくノ一だね、肩と背中が開いてるやつ。そして最近手に入れた血狂い蟷螂の棘殻を使って防御力も底上げしないといけない、見た目的には厳つくなるけどね。


 完成したので装備して確認確認。


〔棘殻の鉢金〕

フウカ作 鉢金

レア度:B 品質:B

防御力:18+20 耐久値:100

重量:1


特殊効果:防御力上昇(微)

刺繍:クリティカル率上昇(微)


狂血蟷螂の棘殻を使った鉢金

前頭部を覆う黒い棘殻は軽量だが

防御力は高い

突き出した二本の棘で鬼のようにも見える

帯に縫われるユリの花が凛々しい



〔くノ一装束:上〕

フウカ作 忍び装束

レア度:B 品質:B

防御力:17+19 耐久値:100

重量:1


特殊効果:防御力上昇(微)

刺繍:クリティカル率上昇(微)


肩と背中が大きく開いた忍び装束

前掛けタイプで前面しか保護できないが

堅蛙の皮膚で補強され防御力は高い

茄子紺に染められており目立ちにくい

腹部に散る桜の花に見惚れてしまう



〔くノ一装束:下〕

フウカ作 忍び装束

レア度:B 品質:B

防御力:21+24 耐久値:100

重量:1


特殊効果:防御力上昇(微)

刺繍:クリティカル率上昇(微)


堅蛙の皮膚で大腿部を保護し

脛当てに狂血蟷螂の棘殻を使用している

脛当ての小さな棘で蹴りの威力が強化されている

外腿に佇むカマキリがいまにも飛び出してきそう



〔棘の籠手〕

フウカ作 籠手

レア度:B 品質:B

防御力:20+22 耐久値:100

重量:1


特殊効果:防御力上昇(微)

刺繍:クリティカル率上昇(微)


手の甲から肘まで細かい棘で覆われ

手のひらは堅蛙のゴム質の皮により

補強されている

指に絡みつくムカデに恐れを抱く



〔棘の足袋〕

フウカ作 足袋

レア度:B 品質:B

防御力:17+19 耐久値:100

重量:1


特殊効果:防御力上昇(微)

刺繍:クリティカル率上昇(微)


足袋の裏は堅蛙のゴム質の皮で滑りにくく

つま先と足の甲を狂血蟷螂の棘殻で覆っている

くるぶしに咲くタンポポに癒される



《<防具(布)>がレベルアップしました》 

《<刺繍>がレベルアップしました》



 良いものができたと思う、でもちょっと肌が出過ぎかな。スースーするがその分動きやすいからまあ、いいだろう。作っている途中で一回目、出来上がった時に二回目のレベルアップを果たした。


「リリーちゃんどうかな? おかしな所とかないよね」


 木偶の作業を一旦やめさせ、消してから再作成する。そこにはくノ一装束を装備したもう一人のフウカが無表情で佇んでいた。


「そうですね、ますます雄々しくなっておられます。格好いいですよ」


 自分で言うのもなんだがやっぱり私って美人だなってつくづく実感する。長い髪はポニーテールのように纏められて、風になびくさまが月夜に合いそうだ。中二心がくすぐられるな!


 木偶に機織りを続けさせ、今度は弓矢を作ることにする。ちなみにリリーちゃんは重位と木の棒を使って稽古をしている。四本の肢から繰り出される攻撃を難なく躱し、受け流し、返している、流石だ。


 竹七節の甲殻と木偶騎士の腕を鉋で削り、削ったものを重ね合わせて膠で塗り合わせ紐を巻き付け固定していく、ここで反りを出すために楔を打ちこみうまい具合に曲げて、しばし待とう。


 その間に矢を作るわけだが<防具(布)>の【大量複製】という矢専門の技能を使う。まあ一本一本作るのも骨が折れるからね。


〔蚰蜒矢〕

フウカ作 矢

レア度:C 品質:B

攻撃力:8+7

飛距離:120+137


特殊効果:命中率上昇(微)

飛距離上昇(微)


蚰蜒の肢を箆、鏃は角ゼミの短角

矢羽を雛馬鷲の羽を使用している



 飛距離上昇の効果は恐らくキンダーヒッポグリフの羽のおかげだろう。それにしても飛距離がえげつないな。攻撃力も飛距離も弓との平均が実際の数値となるらしいけど、遠くから一方的に攻撃できる、最高のアドバンテージだね。


 【大量複製】で百本ほど作成しそこで気付いたのだが、矢筒がない。適当に作ってもほぼ戦闘に関係ないので大急ぎで作ることにする。


 竹七節の甲殻を林虎の毛皮で繋ぎ合わせて完成。三十本は入るので結構大きめだが音が出ないように内側を堅蛙のゴム質の皮が張っている。


〔竹矢筒〕

フウカ作 矢筒

重量:1


最大で三十本の矢が入れられる

消音性に富んでいる


 この矢筒は装備品ではないのでいろいろ省かれているが、丁寧に作れば売るときにも反映されるのでしっかり作るに越したことはない。


 弓のほうはだいぶいい塩梅になっている。そろそろいいかもしれないな。


 弦も作らないと作らないといけないのでさっさと作ってしまおうか。伸縮性のある飛梅の糸と頑丈なティルダとユエナの糸を撚り合わせて太めの糸が完成した。


 十分に乾きくっ付いたことを確認し弓全体を堅蛙の皮を巻き補強する。堅蛙が大活躍だな、どこにいるんだろうかこいつは。湿地帯にいるのかな、今度行ってみよう。


 持ち手の部分を更に林虎の毛皮を巻き、弦を張るのだが、意外と強いので重位に手伝ってもらって完成した。装備して構えて引く真似をして具合を確かめる。ちょっと強いけど引けない訳ではないな。遠い敵や奇襲にはもってこいだね、べつにメインは鎌なのだし一撃必中で撃てれば問題ないだろう。


〔竹七節の和弓〕

フウカ作 長弓

レア度:C 品質:B

攻撃力:18+20 耐久値:90

重量:1 飛距離:150+171


特殊効果:攻撃力上昇(微)

飛距離上昇(微)


比較的張力の強い和弓

連射性は低いが一撃の飛距離と威力は絶大



《<武器(木工)>がレベルアップしました》


 こうして作っているとつくづく思うのだが、クシナ様の加護って凶悪だよね。だって攻撃力も飛距離も基本的な数値の倍以上になることもあるのだ。ありがたや。


《〔竹七節の和弓〕に銘を授けてください》


 銘、か。いきなり言われても困るんだが、なんでこれだけ銘を付けられるのだろうか。<武器(木工)>のレベルが関係しているのかもしれない。まあシステム的なものはどうでもいいか、格好いい名前を付けてあげなきゃね。


《〔禄存・壱型〕》


 格好いいと思うんだけど、これすでに作った武器にもつけられるのかな。主要な装備品は北斗で固めていこう。


 それよりもまずは最終確認。弓矢はセットなので最終的な数値は一緒に出てくる。唖然とするね。


〔銘:禄存・壱型 竹蚰弓矢〕

フウカ作 長弓・矢

レア度:C 品質:B

攻撃力:13+14 耐久値:90

重量:1 飛距離:135+180


特殊効果:飛距離上昇(小)

攻撃力上昇(微)

命中率上昇(微)


比較的張力の強い和弓

連射性は低いが一撃の飛距離と威力は絶大


蚰蜒の肢を箆、鏃は角ゼミの短角

矢羽を雛馬鷲の羽を使用している




 つぎは棘鎌かな。試してみたが付けられなかったのでこれを機に作り直してみよう。初期のものなので耐久値も低いから丁度いい。


〔血狂いの棘鎌〕

フウカ作 鎌 

レア度:B 品質:B

攻撃力:30+28 耐久値:100

重量:4


特殊効果:出血確率(中)

気絶確率(微)


血狂い蟷螂の前肢である棘鎌をもとに作られた

鎌ではあるが殴打武器にもなる



 お、少しだけ攻撃力が上がったし、品質も耐久値も上昇した。


《武器<木工>がレベルアップしました》

《〔血狂いの棘鎌〕に銘を授けてください》


 二振り作り終えたころにまたレベルアップした。順調に育っているな。


《〔武曲・壱型〕》


 うん、かっこいい。銘を授けるって快感、でもセンスとか趣味が出るよね。恥ずかしい銘をバシバシ付けていきたい。ふふっ、これから楽しみだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ