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解放。


銃を抱えたセルピエンテの後に続き、中央広場へ現れた戦闘ヒューマノイド姿の麻衣とPCを抱えたデビッド。


このPCは電源が入ったままである。

何か粗相をすればイスロの戦闘ヒューマノイド達の挙動に影響する為、デビッドは緊張し続け。

歩きながら片時も操作パネルから目を離せない。


人質となっている生徒達の目が一斉に麻衣達に注がれ、麻衣のメカニカルな姿に対し驚嘆と好奇の視線を浴びせる。

その正体を知っているのは、鉄兜を被り機関銃を手にしたままの栄太と剣道の防具姿の山本君のみ。


そして………


(やっぱ、あの時の子だ!)


一度、この姿の麻衣に救われたことのある由美香は驚きを隠せなかった。


麻衣は輪の外にいる栄太の姿に驚いていた。

教室で待機しているとばかりに思っていたのが、鉄兜を被り機関銃を手にまでしている。


(まさか!?)


麻衣は。

栄太が皆の為に居てもたっても居られず、自ら闘いに出たのだと直感した。


(栄太………なんてムチャなことを)


憂いに満ちた麻衣の右眼と、鉄兜の下の栄太の視線が重なる。

二人は長い間見つめ合った…………

それをセルピエンテの声が打ち消す。


「小僧!

銃を返せ!!

サムライも棒切れを捨てろ!!」


栄太に機関銃を手放すよう命じ。

また、道着姿の山本君を"サムライ”と呼び、鉄パイプを手放すよう命じるセルピエンテ。


解放宣言の後の為、やむなく二人は従い銃と鉄パイプを地面に落とす。

しかし……栄太は、まだセルピエンテを信用出来ないでいた。


「テメェこそ、さっさと俺達を解放しろよ!!

どこまで引っ張ってんだよ!!」


叫ぶ栄太にセルピエンテは機関銃の銃口を向ける。


「黙れ、小僧!

大人しくしねぇと、お前もコイツらも

ハチの巣だぞ!!」


横に立つ麻衣がセルピエンテに促す。


「条件は飲むんでしょ。

PCも返すし、早くみんなを解放しなさいよ」


セルピエンテは、PCを抱えたデビッドを自身の隣りに呼び寄せ。

麻衣に告げる。


「わかった。

小娘、お前は人質達の方へ下がれ」


麻衣は一瞬考えたが、一先ずは言う通りに人質達の輪の中に入る。

隣りの大学職員の男性が目を丸くして戦闘ヒューマノイド姿の麻衣を見つめるが、麻衣は意に介さない。


次にセルピエンテは拡声器を口に当て、叫んだ。


「よ〜し!

これから解放するが、ここを俺達が去るまで後ろのビルの中へ待機していろ!!

わかったか!?

わかったら全員立って向かえ!!」


大学3号館を"後ろのビル”と表現し、セルピエンテは命じる。


人質となっていた生徒・学生、職員達は一斉に立ち上がり、セルピエンテとイスロ戦場型戦闘ヒューマノイド達を背にして歩き始める。

周囲をイスロ兵が見張っている。

そのイスロ兵が少しでもおかしな動きをしないか?見逃すまいと目を光らせるエリック=ティーチャー、キッド三人衆。


麻衣も皆と行動を共にしながらも、セルピエンテ達の動きを見張っている。


由美香は周囲に紛れながらスマホを開き、剣持へのLINEが既読になっているのを確認した。

返信が添えてあった。


(必ず行くから待っててくれ!)


と。


栄太も山本君と一緒に皆の輪の中に交じるが、遠くに居るはずの麻衣が気になった。



先方を歩く者が大学3号館の入口に差し掛かろうという時。

PCの画面に見入っているデビッドに、セルピエンテが囁いた。


「(銃撃開始だ)」


「(……え!?)」


デビッドは目を見開いてセルピエンテの顔を見た。


「(早くしろ!

銃撃開始!!)」


セルピエンテの目は、まさにカエルを飲み込まんとする蛇のそれと同じだった。


安心しきって背中を見せる丸腰の相手達に、戦闘ヒューマノイド40体の銃撃掃射を一斉に浴びせようという…………

身の毛もよだつセルピエンテの意図を悟り、デビッドは震え上がった。


「(そ、そんな………

そんな恐ろしいことなど出来ません!!)」


デビッドに悪魔の形相で命令するセルピエンテ。


「(早くやれ!!

お前が殺られたいのか!?)」


涙を流しながら、命令を拒否し続けるデビッド。


「(出来ません!!

僕には出来ない!!!)」


セルピエンテはデビッドを殴りつけ、PCを引ったくると。

操作画面のコマンド・プロンプト


attack/act/inactivate


から act を実行!


既にイニシャル動作を完了しているイスロ戦場型戦闘ヒューマノイド40体は。

大学3号館へ向かう人々の背中へ銃口を向けようとしていた!!!



「グワァァッハッハッハッ!!」



人間の形をした毒蛇の、雄叫びが響き渡る!!


〈解放・完〉


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