11 ゲート
「では、娘との婚姻にあたり、条件を話し合おうではないか。ジャスタ、城の事はお主に一任する。」
バルフェルトは、部屋を移した。
応接室に通された俺は、ソファに腰を掛ける。オリビアも俺の隣に座る。
「では、まず献上品だが、おぬしは、金品の類は、持っておらんと聞いておる。何か良い案はあるかの?」
俺は、ボックスのリストを見る。
「クレイボア、、、ライオンヘッド、、、ジェイダイトアイ、、、」
「悠弥、今、ジェイダイトアイと申したか?」
バルフェルトは立ち上がる。
「えっ、言ったけど?」
「ま、まさか、その素材を、、、?」
「まだ解体してないけど、持ってるな。」
「なんと、まさか。」
「そんなに珍しいのか?」
「珍しいどころの騒ぎではない。市場に出回ることのない貴重なものだ。もし、献上すれば、貴族位は約束される。」
「じゃぁ、それでいいか?」
バルフェルトは、目を覆う。
「そんな軽々しく。」
「でも、王族の面子も大事なんだろ?譲るよ。」
「一応、聞くが、、、持っているのは、1体だけであるな?」
「いや、10体くらい狩った覚えがあるな。ボックスだと数まで分からないんだよな。」
バルフェルトは、泡を吹いて、椅子から落ちた。オリビアは、ティーカップを持つ手が、止まっている。
「他にも竜種だったら、持ってるけど、ジェイダイトアイでいいのか?」
「十分だ。他の竜種は言わなくてよい。心臓が止まるかもしれん。あとは、オリビアの臣下じゃな。」
「はい。お父様。戦乙女は、連れていきます。あとは、侍女を何名か募集致します。」
「うむ。では、100名ほどか。」
ちょっと待て、侍女って、メイドだろ?そんなに俺の家に入らないぞ。
「そんなに必要なのか?」
「オリビアは、王女なのだ。侍女は多ければ多いほど、よい。要は見栄じゃな。」
「だから、嫌なんだよ。」
「あら、私は、侍女の数で嫌われますか?」
「、、、いや、すまん。進めてくれ。」
「あとは、これと、、、これも持っていきたいです。」
勝手に話が進んでいく。
「では、最後にお父様にお願いがあります。」
「なんだ?」
「シイカの事です。」
「戦乙女の隊長じゃな。幼少期は、よく遊んでおったな。」
「彼女は、私の護衛であり、私が心を許せる数少ない友人です。」
「ふむ。それで、その者をどのようにしたい?」
「悠弥の第二夫人にする事をお許しいただきたいのです。」
はぁ???
「オリビア、何言ってるんだ?」
「悠弥は、少し黙っていてください。」
はい。
「そうか。彼女は、ベント家の令嬢だったな。」
「はい。爵位も白金ですので、問題ありません。」
「よし、許そう。だが、問題は、ベント家への献上品じゃな。悠弥よ、何かないか?」
「これは、拒否できないやつか?」
「拒否しても構わないけど、あなたは、シイカを泣かせるのね?」
「お前、それはシイカに聞かないと、分からないだろ?」
「シイカは、私に遠慮して、気持ちを隠しています。自分で相手を選べるだけ、貴族の女としては最高ですよ。王侯貴族の女に、結婚の自由はありません。そこを汲んで頂きたいですわ。」
よく聞く話だな。
「分かった。じゃぁ、シイカの家には、武器でも送るか。」
俺は、刀を出す。
「悠弥、それは何という武器なのだ?」
「これは刀だ。素材は、イビライト鋼を使っている。武器自体は俺が使ってるものと同じだが、付与効果が違うくらいか。」
「またすごいものを出してきたな。性質付与されている武器は、国宝になってもおかしくないレベルの武器だ。それを軽々しく、、、」
「なら、献上品の格としては、問題ないな。」
「少し高すぎるぐらいだか、ベント家ならば、問題あるまい。」
「よし、話はまとまったな。俺はいったん家に戻る。」
「待て、悠弥よ。おぬしには、屋敷を与えるゆえ、王都で暮らせ。」
「勘弁してほしいな。百歩譲って、オリビアとの結婚はいい。」
「悠弥、私との結婚は、妥協なのですか?悲しいです。」
「入ってくるなよ。ややこしくなる。」
まぁ、俺が悪いわな。あとで、甘味をたくさんあげよう。
「だが、王都の屋敷で暮らせってのは、思惑が透けて、見え見えなんだよ。」
「なんだ、気付いておったか。」
「気付かないほうがおかしい。有事の際に、利用する気満々じゃねぇか。狸爺が。」
「別に良いであろう?臣民になれとは申しておらん。ちょっと頼みごとがある時に、ちょっと手を貸してくれれば、それで良い。」
「それはごめんだ。俺は、自分の生きたいように生きる。」
「私はその中に入っていますか?」
あぁ、ややこしい。
「入ってるよ。今、入れた。」
「ならば、私は何も言いません。」
「オ、オリビアよ。父を見捨てるのか?」
「私は、悠弥の妻です。夫がこうすると決めたなら、付いていくまでです。」
「悠弥、オリビアがワシに冷たいんだが、、、」
「俺もオリビア側だよ。どうして、助けてもらえると思ったんだよ。」
「分かった。屋敷は残しておく。いつでも使って構わん。だが、たまにはオリビアの顔を見せるくらいはしてくれんか?」
「それは約束するよ。親子を決別させたいわけじゃないからな。というわけで、俺は帰る。」
悠弥は、応接室の壁に向かって、歩き出す。
「悠弥、それは何じゃ?」
「”自在空間”だけど?」
「ゲート?それはどういう意味じゃ?門ではないのか?」
「あぁ、そういう事か。これは、一度行った場所に行けるスキルだ。魔法じゃなくて、スキルだから、教えれないのが、残念だ。」
「もし、それが本当なら、おぬしは、城に入りたい放題ではないか?」
「まぁ、そうだな。玉座の間と、応接室と、廊下か。」
「なんと恐ろしいスキルよ。」
「多分、俺しか持ってないから、安心しな。」
「なぜ言い切れる?」
「今まで知らなかったんだろ?もし、そんなものがあったら、暗殺し放題だ。」
「確かにの。分かった。だが、くれぐれも注意してほしい。おぬしのスキルは、すでに国家間で戦争が起きるレベルの代物だ。それで、オリビアを泣かせるような真似は、父親として、許さん。」
「了解した。お義父さま。」
バルフェルトは、最後に何か言っていたが、1週間後にまた来るとだけ言い残し、家に帰った。
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